2008年7月アーカイブ

『偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する』武田 邦彦

偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する (幻冬舎新書 (た-5-1))
『偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する』
武田 邦彦
幻冬舎 2008-05

現代は空前のエコブームだが、著者は一般的に信じられている環境問題は真実ではなく、メーカーや行政の利益のために無駄なエコ生活をさせられている!と強く主張する。「ダイオキシンは危なくない」「マイバッグ、マイ箸などはただのエゴ」「ゴミの分別→リサイクル、温暖化対策に意味はない」・・等々。

"常識"とされていることを何とか覆したい信念からか過激に書き上げているようにも感じるが、データや科学的見地に基づく論理はなるほどそうだったのか、と驚き納得できる。だが、この著者の言うことが絶対かというと実はよくわからない・・。何故なら、いくら科学的なデータであっても、どの側面で切り出すかで全く別の結果を生み出すことがあるし、他のデータや論理は著者が否定するマスコミを通じてしか知らないので戸惑ってしまうのだ。

家庭で小さなエコ生活を心がけても大して意味はない、と言うが、環境問題に興味を持つという点では重要な役割を果たしていると思う。その先に一歩進んで本当に必要かどうか各人が自分で判断して行動できるようになるまで、専門家の方々には情報を発信しつづけていただきたい。

1つ確かなことは、消費後のリサイクルに力を入れるのではなく、最初から無駄な消費をしないことが本当のエコということ。著者は最後に「心が満足していれば物は少なくてすむ=ゴミが減る」と述べているが正にその通りだと思う。(ショッピング好きの私は心が満足していないのか~・・^^;)

読了日:2008.7.28
★★★★☆


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2008年7月28日

ruru (22:24)

カテゴリ:社会・ルポ・ノンフィクション

『日本でいちばん大切にしたい会社』坂本 光司

日本でいちばん大切にしたい会社日本でいちばん大切にしたい会社 (2008/03/21) 坂本 光司

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中小企業経営の研究者である著者は、会社経営とは「五人に対する使命と責任」を果たすための活動であると定義する。

1 社員とその家族を幸せにする
2 外注先・下請企業の社員を幸せにする
3 顧客を幸せにする
4 地域社会を幸せに、活性化させる
5 自然にうまれる株主の幸せ

第1部では、上記定義を元に経営がうまくいかないことを規模やロケーション等外的な要因のせいにせずオンリーワンを目指そうと説く。第2部では具体的に「日本でいちばん大切にしたい会社」として、主に5つの会社を挙げている。

障害者雇用、斜陽産業や過疎地での経営、地方にとどまっての地域交流、シャッター街での店舗経営とどれも難しい状況を内からクリアにし、著者の考える定義を実践している「日本でいちばん大切にしたい会社」ばかりだ。この本を読めば、誰もがこんな経営をしたい、働いてみたいと思うのではないだろうか。全体的に概論的なまとめ方ではあるが(この辺が学者かな・・と)様々なノウハウ本が溢れる中根源に帰らせてくれる書籍。会社の紹介でうるっときてしまうというのがすごい。。


読了日:2008.7.24
★★★★★


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2008年7月25日

ruru (00:11)

カテゴリ:ビジネス・自己啓発

『三たびの海峡』帚木 蓬生

三たびの海峡 (新潮文庫)
『三たびの海峡』
帚木 蓬生
新潮社 1995-07

釜山の実業家である主人公河時根は、旧知の同胞からの手紙を受け取り日本へ向かう。
大韓海峡を渡るのは生涯3度目のことである。

1度目は戦時下炭鉱で働かされるための強制連行、2度目は終戦後愛する日本人女性を連れての帰郷・・それ以来日本を拒否しながら半世紀を生きてきた。

しかし、当時自分たちを強制連行した男が市長として炭鉱跡にショッピングセンターを誘致する計画を立てていることを手紙で知った主人公は3度目かつ最後の渡峡を決意したのだった。

戦時下の日本の支配、過酷で屈辱的な炭鉱での労働の日々、同胞同士の信頼と裏切り・・つらい思い出の地を巡る現代と半世紀前の出来事が交差しながら物語は進む。

読み応えのある素晴らしい作品だった。

帚木さんのはずれの無さに驚くほどだ。
もっとこういうテーマの作品が世に出るべきだと思う。

物語としては★5つの出来栄えだと思うが、主人公の憎しみが日本より裏切り者の同胞に向いてクローズアップされていたり、やけにいい日本人が登場したり・・・反日になりすぎないよう意図的にまとめてあるように感じたので-1とした。


読了日:2008.7.21
★★★★☆


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2008年7月21日

ruru (19:32)

カテゴリ:国内小説一般帚木 蓬生(一般)

『呼人』野沢 尚

呼人 (講談社文庫)
『呼人』
野沢 尚
講談社 2002-07

1985年呼人は友達の厚介、潤と秘密基地で遊び、同級生の小春に思いを寄せる普通の12歳の少年だった。
しかし、周りの人間たちが大人になり別の道を進み始めても、呼人はずっと12歳のまま体の成長が止まってしまう。

自分の出生の秘密を追いながら、永遠の12歳を生き続ける少年の2010年までが描かれる。

成長が止まってしまった日本経済を呼人になぞらせたり社会情勢と絡み合いながら話が進みノンフィクションとフィクションが混在した場面も多い。
呼人の出生の秘密や結末などドラマ的すぎてやや食傷気味だがさすがの野沢尚らしくうまくまとめてあり単純に面白く読めた。

読了日:2008.7.20
★★★☆☆


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2008年7月20日

ruru (23:46)

カテゴリ:国内小説一般その他の作家(一般)

『フェイク 』楡 周平

フェイク (角川文庫)
『フェイク 』
楡 周平
角川書店 2006-08

三流大学を卒業後銀座の一流クラブでボーイとして働き始めた陽一は、雇われママ摩耶の運転手を務めるようになったことをきっかけにママからある"仕事"を頼まれる。
大金を手にすることができた喜びもつかの間すぐに状況は一変、元の安月給ボーイに逆戻りと思いきやまたもやママから"相談"を持ちかけられ・・。
銀座を舞台にした騙し騙されのコンゲーム小説。

楡 周平と銀座の夜??と違和感を持ちながら読み始めたがさすがの出来栄えで面白い。

「高級クラブの裏側」であったり、「愛人」「詐欺」「借金」「恐喝」等々どこにも日向の要素がないのだがコメディタッチで楽しめ後味の悪さもない。
平凡な青年陽一が虚飾の世界に翻弄されながらも成長を見せる(悪い意味で?)ラストは痛快。

読了日:2008.7.15
★★★★★


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2008年7月15日

ruru (22:24)

カテゴリ:国内小説一般楡 周平

『安楽病棟』帚木 蓬生

安楽病棟 (新潮文庫)
『安楽病棟』
帚木 蓬生
新潮社 2001-09

様々な症状の痴呆患者が入院する痴呆病棟で患者が相次いで急死し、理想を持って真剣に看護に取り組む新任看護師だけがその真相に気づく・・というストーリーで痴呆患者の看護や安楽死といった重いテーマを扱っている。
いや、ホントに帚木さんはすごい。

また良い作品に出逢えた。

前半は患者それぞれの人生が語られるのだがこれがまた1つ1つ良くできたエピソードで素晴らしい。

その後病棟での日々が看護師の目線で綴られていくのだが、看護師の患者への眼差しは深い愛で包まれている。
医療の進歩により長生きできるようになったことで出てきた痴呆という病。
私自身身近に祖父母を感じながら読んだし、誰もが現在抱える問題の一つだと思う。

どの章も胸を打つ内容でミステリーというより人間の生と死を真剣に扱っている作品なので、いわゆる殺人事件のようなものを求めて読むと肩透かしをくらう。個人的にはミステリーのカテゴリからは外すこととする。
この本を読めば誰もがやがて行く道、歳を重ねた時のこと、自分の最期について真剣に考えることとなるだろう。

読了日:2008.7.12
★★★★★


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2008年7月13日

ruru (23:23)

カテゴリ:国内ミステリー帚木 蓬生(ミステリー)

『出逢いの大学』千葉 智之

出逢いの大学
『出逢いの大学』
千葉 智之
東洋経済新報社 2008-05-15

普通のサラリーマンが黄金人脈を作るには?がテーマ。
実際3000人以上と交友を持つという著者の実体験に基づく人脈術の本。

著名人でもない普通の人では黙っていて人が寄ってくるのは難しいので、とにかくまずは量→質ということでかなりアクティブな活動が必要そう・・。
ここまでやったら人疲れしちゃう・・と個人的にはややひいたが、著者のバイタリティと心構えには脱帽。

装丁、イラストが可愛い読みやすい作りで人脈術入門本という感じ。

読了日:2008.7.11
★★★☆☆


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2008年7月11日

ruru (23:17)

カテゴリ:ビジネス・自己啓発

『成功の五角形で勝利をつかめ!』三田 紀房

成功の五角形で勝利をつかめ!
『成功の五角形で勝利をつかめ!』
三田 紀房
大和書房 2008-05-22

東大受験漫画『ドラゴン桜』作者によるビジネス本。
三田紀房一体どこへ向かっているのか・・(苦笑)

漫画ではなく書籍でも独自の理論で一刀両断、読みやすく痛快な文体。
成功の五角形の”五角形”とは国語・数学・理科・社会・英語の5教科のこと。
国語・数学で仕事の基礎力、理科・社会・英語で応用力が身につくという理論には確かにうなづける。

国語・・「行間を読む」ことは「空気を読む」力だ!
数学・・数学で論理的思考を鍛えろ!
理科・・理科を通じて「仮説」と「検証」を身につけろ!
社会・・社会は「ネットワーク力」を鍛える手段だ!
英語・・英語で「クソ度胸」をつけろ!

・・おおあらでこんな感じ。ビジネス本を読むより教科書を読めとのこと。ちなみに読書は「根気と集中力のトレーニング」なので知らぬ間に私にも根気と集中力が!?(笑)漫画の延長のように面白くすぐに読める。何故かこの人の言うことって真髄を言い当てている気がしてしまうので1度読んで損は無いと思う。

読了日:2008.7.8
★★★★☆

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2008年7月 8日

ruru (22:58)

カテゴリ:ビジネス・自己啓発

『千日紅の恋人』帚木 蓬生

千日紅の恋人 (新潮文庫 は 7-18)
『千日紅の恋人』
帚木 蓬生
新潮社 2008-03-28


二度の結婚を経て独身の時子は、ヘルパーのパートをしながら父の遺した古いアパートの管理人として一癖も二癖もある入居者たちを家族のように見守っていた。
もう恋はしないと思っていたが、入居してきた青年のことを意識し始める・・。

『閉鎖病棟』同様立ち上がりはスローだ。

多くの登場人物それぞれの性格がはっきりと浮かび上がるまで恋愛らしい展開も無いので、しばらく話の軸が見えてこない。
最近の小説にはないこのスローテンポさがこの作者の個性かなと思うしここがまた良い。

山場や刺激は無いが、読後何故か心の中が満たされている。

きっと作者は人間が好きなのだと思う。

どんな人物にも暖かい眼差しが感じられるところに惹かれるのではないか。

読了日:2008.7.3
★★★★★


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2008年7月 7日

ruru (00:48)

カテゴリ:国内小説一般帚木 蓬生(一般)

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