2008年10月アーカイブ

『稀覯人の不思議』二階堂 黎人


『稀覯人の不思議』二階堂 黎人
光文社 2008-10-09

手塚治虫愛好会会長の星城が殺され、貴重な手塚漫画コレクションの一部が盗まれる。現場は完全な密室に思えた。大学生水乃サトルを中心に、愛好会のメンバーたちが犯人とトリックを推理していく。

まず、この表紙で買わない手塚ファンがいないはずがない。ちょっと汚い戦略だ、と思いつつ即購入。しかし、読み始めて考えが変わった。これは逆に手塚ファン以外には読むのが厳しい、あまりにも趣味に走り過ぎた作品だ。戦略どころか縛りがきつすぎる。。

ここまで手塚作品を詳細に取り上げ、ストーリーの軸に練りこんであることに脱帽。
もちろんただの推理小説として読むことは可能だが、手塚作品がわからずに楽しむことは難しいのではないだろうか。それとも何も知らない方がただの小説として流し読むことができるのかは、手塚治虫(←神)ファンの私には判断できない。

とにかく数々の手塚作品についての熱い語りやウンチクは作者のマニアぶりが伝わってきて楽し過ぎる1冊だった。

読了日:2008.10.23
★★★★☆

人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログへ

タグ

2008年10月23日

ruru (23:58)

カテゴリ:国内ミステリー二階堂 黎人

『厨房ガール!』井上 尚登

厨房ガール! 『厨房ガール!』井上 尚登 角川書店 2007-09

卒業するだけで一目置かれるという名門料理学校SWATでは、プロの調理人から素人までもがフレンチ修行に勤しんでいる。元警視庁勤務の理恵は、同じクラスの仲間たちと日々起こる事件の謎を解いていく。

ミステリーとは言え軽いタッチの身近な事件簿で「大人の学園小説」という趣き。料理学校が舞台なため情景描写に使われる料理シーンは詳細でお腹が空いてくることは間違いない。

色々な背景を持つ仲間たちのキャラ作りは上手いし舞台が料理学校というのも珍しい。楽しく読めたが、どちらかというと漫画の様な本なので読み流し用だ。軽い娯楽小説が好きな人ははまるかもしれない。

読了日:2008.10.21
★★☆☆☆


人気ブログランキングへ
 にほんブログ村 本ブログへ

タグ

2008年10月21日

ruru (18:42)

カテゴリ:国内ミステリーその他の作家(ミステリー)

『誘拐』五十嵐 貴久

誘拐 『誘拐』五十嵐 貴久 双葉社 2008-07

普通のサラリーマンであった秋月孝介が、総理大臣佐山の孫娘百合を誘拐。折りしも日韓条約締結のために韓国大統領来日を控えた時期であり、政府は政治的な意図を持った北朝鮮の犯行と考えたことで、逆手を取り意外な手順で犯行を進める孝介の策に翻弄されることとなる。韓国大統領来日の当日、身代金の受け渡しが行われることになるが・・。

犯人である孝介の視点、政府・警察側の視点で語られるため明快な事件に思えるのだが、終盤まで孝介の誘拐の意図が見えてこないのでじらされる。

ただの真面目なサラリーマンであった孝介が政府・警察中枢を混乱に陥れていく様が面白い。誘拐犯から被害者家族へのコンタクトの取り方、総理大臣への脅し方等今までの常識を打ち破っており感心させられる。

協力者の存在は最初からわかってしまうし、最終的に警察に追いつかれる過程は理解しにくい部分があるが、存分に楽しめた。この作品の面白さは現代の問題点や社会情勢を複数上手く取り入れている点だと思う。ミステリーと言うよりはエンターテイメント小説。 個人的には高評価!

読了日:2008.10.18
★★★★☆

人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログへ

タグ

2008年10月20日

ruru (22:10)

カテゴリ:国内ミステリー五十嵐 貴久

『誰か』 宮部 みゆき

誰か (文春文庫 み 17-6) 『誰か』 宮部 みゆき 文藝春秋 2007-12-06

今多コンツェルン会長の娘婿杉村三郎は、自転車に轢き逃げされた会長付運転手梶田の娘たちの犯人探しを手伝うこととなる。父の人生を本にまとめることで犯人に訴えたいという妹梨子に対し、姉の聡美は父親には暗い過去があるに違いないので過去を掘り返したくないと反対する。本の出版を手伝うと言う形で梶田の過去を辿る内に杉村が知った事実とは・・。

 宮部みゆきらしく、登場人物たちの人間像、心理が細やかに描かれている。ミステリーと言うよりはヒューマンドラマの趣き。現代で起きた事故よりも、被害者の過去の謎に軸を置いている。

 容貌も性格も相反する姉妹の間に立ち、真摯に取材を続ける杉村とその妻の人間像が良い。 姉妹の関係については分り易すぎた気はする。ミステリーとしてはやや物足りないが、面白い小説だった。

読了日:2008.10.11
★★★☆☆


人気ブログランキングへ

にほんブログ村 本ブログへ

タグ

2008年10月12日

ruru (23:45)

カテゴリ:国内ミステリー宮部 みゆき(ミステリー)

『人形が死んだ夜』土屋 隆夫

人形が死んだ夜 『人形が死んだ夜』土屋 隆夫 光文社 2007-11-27

中学校教師の咲川紗江は、休暇で訪れた温泉地で弟のように可愛がっていた甥の俊を轢き逃げで亡くしてしまう。一人で写生に出かけていて事故にあった俊を、手厚く介抱し最期を看取ってくれたのは南原という男性であった。南原に感謝の思いを抱いていた紗江であったが、後日事件現場を訪れた際に南原の証言に疑問を抱く。紗江は彼自身が轢き逃げ犯ではないかと疑い、復讐を考え始める。

 米寿の記念に書いたという土屋隆夫の作品。50年来のミステリ作家というのがすごい。江戸川乱歩が序文をよせたこともあるとあとがきにあり、それだけで感動的でもある。

 作品自体は文体やストーリー展開等ところどころ旧さを感じる。昔の女風の紗江の人物像がどうも共感できるところに無い。俊の事故、紗江の復讐、そして14,5年経っての後日談と3構成になっており、事件の真相は見えているようではっきりとしないまま話が進む。復讐に軸をおきたいのか、最後の後日談に軸を置きたいのかが曖昧で少々消化不良だ。

読了日:2008.10.6
★★☆☆☆

人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログへ

タグ

2008年10月 6日

ruru (23:08)

カテゴリ:国内ミステリーその他の作家(ミステリー)

このページの先頭へ