2009年3月アーカイブ

『架空取引』高任和夫

架空取引 著者: 高任和夫 出版社: 講談社 サイズ: 文庫 ページ数: 399p 発行年月: 2000年12月

大手銀行系リース会社社員の甲斐は詐欺にあって会社に損失を出したことで左遷されていたが、同僚の急死により急遽本社に呼び戻される。審査部長に就任し多量の不良債権やずさんな取引内容を知ったことで会社の危機を感じ始めた頃、過去と同じような架空取引が起こる。

親元の銀行とリース会社の力関係、役員各個人の思惑、銀行出身者と生え抜き社員の確執など様々な要素を背景に、一度は一線を離れた甲斐が会社の膿を出し切り再生させようと情熱を燃やす様が描かれている。

ノンバンク、リースの仕組みの不可解さが興味深い。
経済に弱い私でもよくわかるように書かれているのでつまづかず読むことができた。

バブル崩壊後の金融業界では実際にこのようなことも多くあったのではないだろうか。
会社のずさんな体制、甘えきった社員、体裁を繕う上層部、情無く切り捨てに入る銀行本部。
少し前の小説だが今読んでも臨場感があって面白い。
甲斐が冷静に立ち回りながら権力者や組織を追い詰めていくストーリーは快感も味わえる。

銀行員から志を持って系列リース会社の立ち上げに加わった甲斐と同僚たち、銀行に残り権力熱にうなされる元友人の複雑な心境の対比も上手く描かれていて読み応えのある小説だった。

読了日:2009.3.

人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログへ

タグ

2009年3月17日

ruru (23:03)

カテゴリ:国内小説一般高任 和夫

『14歳』千原ジュニア

14歳 著者: 千原ジュニア 出版社: 講談社 サイズ: 単行本 ページ数: 189p 発行年月: 2007年01月

最近ドラマにもなっていた千原ジュニアの自伝的小説。 14,5歳の少年の人生や社会への苦悩ともがきが続き、最終的にお笑いの道に進むことを決めたことで彼の気持ちは解放されて終わる。

最初奇妙なリズムの文体が読みにくかったが、段々気にならなくなってスイスイ読むことができた。

この年代独特の繊細で苦い想い出が蘇ってきて共感は持てた。
ただ本当の葛藤や苦しさについてはさらりとかわしているような印象。
人の根本的な性質は変わらないと思うので、乗り越えた過去としてもあまりさらけ出さない防御の姿勢が見えるかも。

その点でおそらく現在進行中の少年たちの心にはあまり響かない気がする。
案外大人や普通のジュニアファン向けの本かもしれない。

この本を読んで面白かったのは、少女時代の自分では気付かなかった周囲の大人の立場や考えにも思いを馳せてしまう自分がいたこと。
確実に歳を取っているのかな・・と。

読了日:2009.3
★★★★☆


人気ブログランキングへ
 にほんブログ村 本ブログへ

タグ

ruru (00:20)

カテゴリ:自伝・伝記

『偽装報告』高任和夫

偽装報告 著者: 高任和夫 出版社: 光文社 サイズ: 単行本 ページ数: 388p 発行年月: 2006年04月

東北でトラックによる死亡事故が起こり、名門財閥グループ会社である五代自動車ではリコールを逃れようと上層部が躍起になる。 追求を続ける新聞記者、会社の腐敗に失望しながら変革を求める五代自動車の社員たちそれぞれの闘い。

過去にあった事件を元に企業倫理崩壊を小説として書いた作品。 フィクションではあるが、かなり実際にあった事件と通じている。

この事件はかなり衝撃的だった。
そういえばネットでリコール隠しの音声が公開されていたような記憶がある。

企業が「王国」化し、その中でしか通用しない倫理観がまかり通る怖さが小説という読みやすい形で伝わってきて面白かった。

一流会社の社員であることに誇りを持つと同時に、生き残る為に己の倫理観と葛藤し続ける峯岸・斯波の「ギアチェンジ」。
ヒントを与える窓際族の元社員の話は丁度話題になっているオリンパスと重ね合わさる部分も。

昨今の食品偽装事件多発を見てもこのようなモラルハザードは多々起きていると想像出来る。
小説のように正義が勝つ結末ばかりならいいのにと思わずにはいられない。

参考:三菱リコール隠し / オリンパス人権救済申し立て


読了日:2009.3.1
★★★★★


人気ブログランキングへ
 にほんブログ村 本ブログへ

タグ

2009年3月 4日

ruru (11:25)

カテゴリ:国内小説一般高任 和夫

このページの先頭へ