2009年10月アーカイブ

『薔薇窓』帚木 蓬生

薔薇窓〈上〉 (新潮文庫)薔薇窓〈上〉 (新潮文庫) (2003/12) 帚木 蓬生

商品詳細を見る

薔薇窓〈下〉 (新潮文庫)薔薇窓〈下〉 (新潮文庫)
(2003/12)
帚木 蓬生

商品詳細を見る

パリ警視庁特別医務室に勤務する精神科のラセーグは、犯罪者や警察に保護された者の診断を行っている。
日本の文化に造詣が深いラセーグは、保護されてきた失語症の日本人患者音奴に興味を持つ。
時は1900年、万博開催で沸くパリの街で外国人女性の誘拐が相次いでいた。
音奴の過去、ラセーグにつきまとう貴婦人、誘拐犯の正体と多くの謎が絡まりあう中で、 ラセーグは音奴との交流を深めていく。

タイトルの「薔薇窓」は、主人公ラセーグが好きなシテ島サント・シャペルの薔薇窓を現す。

パリ万博や当時のパリ市民の生活や文化、また日本や海外での日本人の様子などが生き生きと描かれており、自分が当時のパリの街に立っているような錯覚に陥る。

ラセーグは日本の骨董品を集めるのが趣味の日本びいきでということで、ところどころに日本文化やフランス人から見た当時の日本像が書かれている。
そのため、パリを舞台とした小説でありながら日本的要素も強く編みこまれた作品になっており、純粋な海外小説とはまた違う趣がある。

猟奇的事件の謎解きよりも恋愛的な要素や人間関係の描写の方に力が入っているので、ミステリーを楽しむというよりも、帚木さんらしい美しい描写を堪能した作品だった。

読了日:2009.10.
★★★☆☆

人気ブログランキングへ

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

タグ

2009年10月31日

ruru (21:58)

カテゴリ:国内ミステリー帚木 蓬生(ミステリー)

『ソロモンの犬』道尾 秀介

ソロモンの犬ソロモンの犬 (2007/08) 道尾 秀介

商品詳細を見る

大学生秋内静の目の前で、准教授椎崎鏡子の息子陽介が事故死する。
車道に飛び出した愛犬オービーに引きずられてトラックに轢かれたのだ。
静は、オービーの暴走のきっかけを作ったのが友人の京也ではないかと疑問を持ち始める。

静、京也、ひろ子、智佳は大学での親しい仲間である。

熱血純情派の静とどこか冷めた印象の京也。
女の子らしい京也の彼女ひろ子とボーイッシュな智佳。

そこに加えてクールビューティーな准教授鏡子に変人の動物生態学者間宮、京也の実家は金持ちだが影があり・・等等いかにもな設定が青臭いが、青春ミステリーなのでそれも楽しんでしまえば良いのかもしれない。

物語は静の智佳への恋心と友人京也への疑惑が軸になって進む。

兄弟のように仲が良かった陽介とオービー。
オービーの行動を動物生態学的に解明していくのが面白い。
また、最終的に解明された事実もなるほど、と意外性があって楽しめた。

ただ、ソロモンの指輪やバベルの塔があまり意味なく使われていたり、二人目の死者が・・などと言っておきながら事件性が薄かったりと、広げようとしたけれど広がらなかったような中途半端な伏線が多い印象は受けた。

もっと面白くなるような気配はたっぷり漂っているのだが、微妙に未完成な感じである。
道尾秀介への期待が高すぎるだけかもしれないが。

読了日:2009.10.31
★★★☆☆

人気ブログランキングへ

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

タグ

ruru (11:55)

カテゴリ:国内ミステリー道尾 秀介

『魚神』千早 茜

魚神魚神 (2009/01/05) 千早 茜

商品詳細を見る

かつては一大遊郭で栄えたとある島で、白亜とスケキヨは姉弟として育てられていた。
相手がいるからこそ自分の存在を確かめることができる・・二人は強い絆で結ばれていたが、やがて別々に身売りされ、引き離されてしまう。
島で評判の遊女となった白亜だったが、心は常にスケキヨを求めていた。
一方スケキヨは事件を起こし終われる身となって・・。

雷魚と遊女白亜の伝説、その伝説の遊女と同じ名を持つ美しい白亜、姉に劣らず美しいスケキヨ。

幻想的で倦怠感ただよう異世界を舞台に、白亜とスケキヨの魂がぶつかり、求めあう。

世界観やストーリーはどこかで見たようなありがちなものだ。
漫画的な気もして、内容は浅い。

しかし引き込まれるように一気に読ませるものはあり、デビュー作と考えると完成度は高いのではないだろうか。

読了日:2009.10.30
★★★☆☆


人気ブログランキングへ

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

タグ

2009年10月30日

ruru (22:25)

カテゴリ:国内小説一般その他の作家(一般)

『流星ワゴン』重松 清

 

流星ワゴン

流星ワゴン (2002/02) 重松 清

商品詳細を見る

永田一雄はリストラで職を失い、息子の暴力と妻の不倫で家庭は崩壊、離婚寸前で全てに絶望しているところだった。その上、故郷の父は疎遠なまま余命いくばくもないという状態である。
「・・もう死んだっていいや・・。」駅前にたたずんでそう考えた時、1台のワゴン車が目の前で停まる。
それが幽霊の橋本さん親子がナビゲートする過去へのドライブの始まりだった。

主人公の一雄と息子の広樹、一雄と父親のチュウさん、そして橋本さん親子の父子の物語である。

橋本さん親子は、免許取得直後のドライブで事故死した幽霊親子。
息子の健太君が成仏できずにいるため、もう5年もドライブを続けている。

父親は朋輩のチュウさんとして一雄と同じ歳で現れ、共にこの車の乗客となる。

死を望んだ息子と死にかけている父親。
生と死の狭間に存在するモノたちが時空を超えて共に旅をするのである。

一雄と父親であるチュウさんは、同じ父親の立場となり、対等な付き合いをすることで初めて心を近づけることができるようになる。

「親の心子知らず」「子の心親知らず」とやりあうシーンがあるが、互いに愛情がないわけではない。
ただ分かり合えなかったのである。

一雄と広樹もそうではないのか。

一雄も特別家庭を顧みない父親というわけではないようである。
少しずつの心のずれが大きなひずみとなって二人の距離を引き離しているのだ。

物語は、2世代の父子の触れ合いやそれぞれの心の動き、葛藤などが丹念に綴られていく。

人生に取り返しがつかないことはない。

橋本さん親子とのドライブはそのことに気付かせてくれる。

橋本さん親子に至っては、死んでからこそ父子の絆を深めたことになっているのだ。
この辺は希望をこめたファンタジー的な作りだが。

大切な分かれ道である過去へドライブ、というタイムスリップネタはありきたりだが、その過去でどんなにあがいてもやり直せないところがこの小説の面白いところだ。

色々と抵抗を試みても、決して起こったことは変えられない。
過去は過ぎたこととし、今ある現実を受け入れて道を切り開いていくべきだという姿勢が良い。

ただ、永田家にしろ橋本家にしろ母親の影が薄い。
徹底して男同士の物語なところが、女の私としては100%感情移入できずやや残念だった。

読了日:2009.10.29
★★★★☆

 人気ブログランキングへ

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

タグ

ruru (21:52)

カテゴリ:国内小説一般重松 清

『鬼蟻村マジック』二階堂 黎人

鬼蟻村マジック (ミステリー・リーグ)鬼蟻村マジック (ミステリー・リーグ) (2008/07/23) 二階堂黎人

商品詳細を見る

先祖は鬼だとされる鬼蟻村の旧家上鬼頭家。
水乃サトルは会社の先輩竹美に頼まれ、結婚話を断る為の偽婚約者として上鬼頭家の法事に同行する。
しかし、宴会の席に予期せぬ後継者が現れたことで、上鬼頭家を舞台に次々と殺人事件が起こり・・。

探偵水乃サトルシリーズ。
「閉鎖的な村の旧家で起こる骨肉の争いと密室トリック」という本格的な舞台背景はわくわくするが、どうもそのトリックが弱い気がする。

真犯人は意外だったが、途中の事件や過去のトリックなどは大分前から読めてしまう。
サトルの活躍が弱いのもやや残念だ。

多少物足りないが、全体的にはどっぷりと本格ミステリの雰囲気が味わえて楽しめた。

読了日:2009.10.27
★★★★☆

人気ブログランキングへ 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

タグ

ruru (19:47)

カテゴリ:国内ミステリー二階堂 黎人

『夢は枯れ野をかけめぐる』西澤 保彦

夢は枯れ野をかけめぐる夢は枯れ野をかけめぐる (2008/08) 西澤 保彦

商品詳細を見る

羽村祐太は失業中の48歳の中年男である。
責任を負うのが怖くて結婚もせず、貯金を趣味に地味に暮らしてきた。
そんな祐太の周りで起こる不思議な事件の数々、6編。

殺人事件などではなく、リアルな生活ミステリーがメイン。
全体的に介護などの高齢者問題を取り上げているので、地味ながら身につまされる事件ばかりである。

凝った謎も派手なアクションもなく、地味な中年男が他人の家庭内の出来事に巻き込まれたり、謎を解いたり、人助けをしたり・・と淡々と進む連作集。

働くのが嫌いだけど出世してしまったり、結婚に興味なんかないのに女性にもてたりする祐太のキャラクターが良い。 

祐太には好感が持てるし、続編も色々書けそうだからどんどん広がって続いていかないかなあ・・と期待しながら読んでいたが、最終話を読む限り作者にそのつもりはないようだ。
その点が残念だが、6編でしっかり物語をまとめ上げているので仕方無いかもしれない。

読み進めるにつれ、色々な登場人物が絡み合っていく様が面白い。


読了日:2009.10.28
★★★★☆

人気ブログランキングへ 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

タグ

ruru (19:15)

カテゴリ:国内ミステリー西澤 保彦

『悼む人』天童 荒太

 

悼む人悼む人 (2008/11/27) 天童 荒太

商品詳細を見る

第140回直木賞受賞作。
事件・事故に限らず、人の死んだ場所で”悼む”行為をしながら日本全国を旅する坂築静人。
彼は一体何を思いこのような旅を続けているのか?

購入後かなり長い間放置しており、やっと読む気になれた。

”悼む人”である静人は、死者が「どんな人に愛されたのか、感謝されたのか」を周囲に聞きこみながら、その死に場所で独特の儀式を行いながら日本中を旅している青年である。

静人の行為は完全に自己中心のものでしかなく、心を閉ざした狂気の世界だ。

しかし、彼のことを気味悪く思う者が多いとは言え、時に遺族の気持ちを和らげ救うこともある。
”いつまでもその人の存在を忘れずにいて欲しい”という遺族の願いを受け止めてくれる存在だからだろう。

人は近しい人の死ですら、時と共に思い出とし、乗り越えて自分の人生を歩んでいくものだ。

それは悲しみに明け暮れて前進できなくなることへの防御本能でもあり、平等に訪れる死を冷静に受け止めている証でもあると思う。

死を軽んじてはいけないが、静人のように死に囚われるのは愚かなことだ。

純粋さは嫌悪すべきものではない。
静人の気持ちが切なく伝わってくるところもある。
しかし、いき過ぎては自らの首を絞める諸刃の刃とも言える。

作品では、静人に惹かれていく人物として、人の死に慣れ過ぎた裏ジャーナリスト蒔野と殺人の前科者倖世が登場する。
極端な人物像だが、純粋に死を受け止め続ける静人と相反する人間として描かれているのだろう。

二人は静人とは別な意味で死に囚われている。
そのため、相反するようでいて静人とは紙一重、彼に強く惹かれるのである。

「死を追い続ける静人・蒔野・倖世側」、「生にこだわりつづける坂築家側」と物語は視点を交互に変えながら進んでいく。

愛が溢れる家族に背を向け、自分の母に死が迫っていることも知らずに他人の死を悼み続けている矛盾。

最終的に、静人にとっては母の死ですら赤の他人の死と同等になったのではないかと感じた。
平等に人を悼むということはそういうことだろう。

生きているからには常に死がつきまとう。
生があってこそ死があるのであり、それは決して切り離せない影のようなものである。

静人は影に取り込まれてしまっている。

”巡る”という文字を使った名前の母巡子は、最後に孫の誕生を見届けて旅立った。
生は確かに次の世代に受け継がれたのだ。
肉体は滅びても家族の中に巡子は生きていく。

最後まで生きようとした巡子だからこそ後悔のない旅立ちができたのである。
母の愛が届き、静人が”こちらの世界”へ戻ってくることを願いたい。

作品全体の感想としては、詰め込み過ぎている印象を持った。

読後感が何となくすっきりしないが、読み応えはあり、作者が時間をかけて構想した大作であることは確か。

読了日:2009.10.
★★★☆☆

人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログへ

タグ

2009年10月29日

ruru (00:30)

カテゴリ:国内ミステリー天童 荒太

『「婚活」時代』山田 昌弘・白河 桃子

「婚活」時代 (ディスカヴァー携書)「婚活」時代 (ディスカヴァー携書) (2008/02/29) 山田 昌弘白河 桃子

商品詳細を見る

今や結婚は生活必需品ではなく嗜好品となった!?
話題の「婚活」について、社会学者山田昌弘とジャーナリスト白河桃子が現代の結婚事情について記した一冊。

結婚はかつてのように生活必需品ではなくなった。
嗜好に合わない結婚ならしなくても良い。
結婚をしなくても一緒にいることができるような時代になった。
結婚生活に求めるものが細分化されたことで、自分に合う結婚相手を探すのが難しくなった。

など分析してみればそうなんだろうなと思うことは多かった。

ただ、「自然に結婚がしづらくなっているので婚活をしよう」という趣旨に基づいた本のため、「~だから結婚できないのです!」「~したら結婚できます!」的な熱いトーンで書かれていて疲れる。

男性はコミュニケーション力を高め、女性からアプローチしていけ、となっているが果たしてそれで解決できるのか?

「若者の四人に一人は結婚できない!?」といかにも衝撃的風な帯見出しがついているが、別に衝撃を受けない辺りに温度差を感じる。

就職でも結婚でも色々な面で選択できる複雑な社会になったからこそ非婚化や少子化等の問題が起きているわけだが、そもそも結婚するかしないかの選択ができるようになったと考えればよいのでは?と思う。

自然に結婚しようと思えないのに無理にする必要があるだろうか?
結婚制度そのものが問われているのに、いかにして結婚するかを議論するのはナンセンスな気がする。

読了日:2009.10.
★★★☆☆ 

人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログへ

タグ

2009年10月27日

ruru (20:51)

カテゴリ:社会・ルポ・ノンフィクション

『人は「感情」から老化する―前頭葉の若さを保つ習慣術』和田 秀樹

人は「感情」から老化する―前頭葉の若さを保つ習慣術 (祥伝社新書)人は「感情」から老化する―前頭葉の若さを保つ習慣術 (祥伝社新書) (2006/10) 和田 秀樹

商品詳細を見る

人間の老化は「知力」「体力」からではなく、「感情」から始まる。
感情のコントロール、自発性や意欲を失うことが老化に繋がるのである。
「前頭葉を若く保つ習慣術」で感情の老化を食い止めよう。

父が「面白かった!」と渡してきたこの本。
かなり年配の方(50~60代位?)向けに書かれているが、私が読んでも面白かった。

・「欲望」は生きる為の原動力になる
→あきらめがよくなりすぎると「何をやってもつまらない」人になってしまう。欲望をコントロールして「何でも楽しめる人」になる。

・予想外の刺激を受けるチャンスを意識して作る
→人生経験により期待や驚きが減っていくもの。意識して積極的にチャレンジする。

・過去の話をするなら自慢話ではなく失敗談を。
→若い人の役に立つ未来に繋がる話をする。

・鵜呑みにしないでいちゃもんをつける。
→感情が老化した時真っ先に影響が出るのは「注意」の感情。「注意」の要素「関心」「集中」を意識する。
→「恥意識」が高まり質問できなくなるのは感情の老化。偉くなるほど頭を下げる価値が上がることを利用して人に聞く。

年齢を重ねると保守的になっていきがちだが、向上心と好奇心は常に持っていたい。

最近読書をして心を揺さぶられることが減ってきた気がする。
良い作品を読んできて自分なりに目が肥えてきているのもあるだろうが、何か1つでも心に刻めることを見つけながら読んでいきたい。

読了日:2009.10.
★★★★☆ 

人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログへ

タグ

2009年10月26日

ruru (22:36)

カテゴリ:美容・健康

『C.M.B.森羅博物館の事件目録』加藤 元浩

C.M.B.森羅博物館の事件目録 12 (月刊マガジンコミックス)C.M.B.森羅博物館の事件目録 12 (月刊マガジンコミックス) (2009/10/16) 加藤 元浩

商品詳細を見る

『Q.E.D.証明終了』と同じ作者によるミステリー漫画。

『Q.E.D.証明終了』がミステリー×数学なのに対して、『C.M.B.森羅博物館の事件目録』はミステリー×博物館学。
自分が歴史や遺跡などが好きなこともあってこちらの方がお気に入り。

最新刊12巻ではルーブル美術館を舞台にした古代バビロニアの壺の行政文書盗難など、3事件を扱っている。

絵も可愛いし、キャラクターもストーリーも魅力的で最近好きな漫画の1つ。

個人的には大ヒットなのに、本屋では新刊コーナーにすら置いてくれない扱いの悪さ。
そんなにマニアック?

『Q.E.D.』は結構認知度があるのだから、関連作品として注目されても良いのに・・。

歴史、ミステリー、漫画が好きな人は是非読んでみて欲しい。

読了日:2009.10.
★★★★★

 

ちなみに『Q.E.D.』最新刊も今月発売された。

こちらは世銀の難民キャンプでの不祥事、遠野での殺人事件など。
数学的要素は低いがいつも通りの安定感。

ちなみに主人公燈馬想と『C.M.B.」主人公の榊森羅は従姉妹の設定♪

Q.E.D.-証明終了- 34 (月刊マガジンコミックス)Q.E.D.-証明終了- 34 (月刊マガジンコミックス)
(2009/10/16)
加藤 元浩

商品詳細を見る

人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログへ

タグ

ruru (00:07)

カテゴリ:漫画

『草祭』恒川 光太郎

草祭草祭 (2008/11) 恒川 光太郎

商品詳細を見る

美しく幻想的な街”美奥”にはいたるところに異世界への扉がある。
用水路の先のどこでもない野原、屋根猩猩の守り神、闇の存在のらぬら・・。
”美奥”を舞台にしたオムニバス形式幻想小説。

恒川ワールド全開、ホラー要素を含んだファンタジー連作集。
唯一無二の世界観を作り上げているところがすごいと思うし、民話的なところが個人的に好み。

『夜市』で衝撃を受け、『秋の牢獄』でやや残念に感じたのだが、今回でやっぱり良いと思えた。

当作品は、ダークファンタジーと言い切るほど暗い世界観でもない。

時に残酷に、時に温かさを持って、人と街が溶け合っている土地が”美奥”だ。
読み進めると、視点を変えて別の異世界を覗きながら美奥の街を多面的に歩くことができる。
舞台にどこまでも奥行があるのがこの作品集の魅力だ。

ただ、思春期の女の子が主人公である「屋根猩猩」と「天化の宿」だけ文体が違うのがやや疑問に感じた。
女の子のつもりで書こうとするとそうなってしまうのか、精霊的な異質な存在が登場する作品だからわざとそうした等何がしかの効果なのだろうか?
読み進めるのに若干違和感を感じた。

また、何となく全作品が繋がっているのだが、5作品では広がりに限界があるのが残念だ。
ここまで世界を作り上げたのなら、また美奥を舞台にした作品を出して欲しい。

読書中は常に霧がかった世界に身を置いているような感覚に襲われるのだが、そこが良い。
小説の中にしかない”美奥”だが、そこから更に入り込んでいく異世界の奥行に魅せられる。


読了日:2009.10.23
★★★★☆

人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログへ

タグ

2009年10月25日

ruru (15:52)

カテゴリ:国内小説一般恒川 光太郎

『腕貫探偵』西澤 保彦

腕貫探偵 (ジョイ・ノベルス)腕貫探偵 (ジョイ・ノベルス) (2007/12/14) 西澤 保彦

商品詳細を見る

知人が夜のベンチで死んでいた!警察を呼んで戻ると死体は消え、遠く離れた自宅で発見された?
再婚に胸躍られされていた母が原因不明の体調不良に。原因は一体何なのか?
他、櫃洗市で起こる連作ミステリ7編。
悩める人を救うのは市内各所に現れる「市民サーヴィス課臨時出張所」窓口職員、通称”腕貫さん”である。

以前読んだ『腕貫探偵、残業中』の前作にあたる短編集。
読む順番が逆になってしまったが、こちらも面白かった。

身近な珍事から殺人事件までを、市民サーヴィス課臨時出張所職員が”公務員的”かつ”事務処理的”対応により読み解いていく異色の探偵モノ。

腕貫さんは地味すぎて出番がかなり少ない。
いい味を出しているのだけれど、『腕貫探偵、残業中』の腕貫さんの方が人間味が出て面白くなっていた気がする。
作者も段々愛着が湧いたのだろうか?^^

事件や推理そのものが凝っているわけではないのだが、軽快な文章とイキイキとした登場人物の動きで飽きることなく読むことができる。
ライトミステリーといったところだろうか。

個人的にはかなり好きな”探偵”なので続きを出して欲しい。

読了日:2009.10.
★★★★★

人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログへ

タグ

ruru (14:45)

カテゴリ:国内ミステリー西澤 保彦

『47都道府県 女ひとりで行ってみよう』益田 ミリ

47都道府県 女ひとりで行ってみよう

47都道府県 女ひとりで行ってみよう (2008/06) 益田 ミリ

商品詳細を見る

漫画「すーちゃん」などが人気のイラストレーター益田ミリが、月に1度のペースで日本中を一人旅した旅日記。

イラスト付の旅行エッセイは面白いモノが多く、外れたことがあまりないのだが・・これは楽しめないエッセイ集だ。

この人の漫画は嫌いではないのだが、作者も”すーちゃん”同様脱力系ゆるゆる人間らしく、旅に全くやる気がない。

「ま、いっか」的なほんわかムードも度が越えるとこんなにうっとうしいとは・・。
まあ過度な脱力感がこの人の持ち味なのだろう。

観光スポットにも歴史にも土地の食べ物にも興味がなくて、疑問に思うこともすぐに頭の外に追いやって追求することもないし、人と触れ合うことも面倒くさがって、こんなにやる気のない人がこの世にいるのかという驚きにかられる。

「この人は一体何に興味があるんだろう?」「ああ、こんなことを楽しいと思う人なのか~・・」と旅行よりも人間観察的な視点で読んでしまったのは私だけではないのでは?

だらだらエッセイのような捉え方で読むのなら良いかもしれないが、旅好きには絶対に薦められない1冊だ。

読了日:2009.10.
★★☆☆☆

 人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログへ

タグ

2009年10月23日

ruru (22:15)

カテゴリ:エッセイ・随筆・対談

『ルパンの消息』横山 秀夫

ルパンの消息 (カッパノベルス)ルパンの消息 (カッパノベルス) (2005/05/20) 横山 秀夫

商品詳細を見る

15年前にあった女性教師の自殺。
あと1日で時効という日に、実は殺人事件だったというタレこみ情報が警視庁にもたらされる。
24時間以内に真相を明らかにすることができるのか?
犯人と名指しされた当時の教え子3人の取調べが始まる。

横山秀夫本格デビュー前の作品を改稿して発行されたミステリー。
「名前が売れたから掘り出してきただけか」とあまり期待して読まなかったが、なかなかどうして。
さすが横山秀夫の秀作である。

作品は、容疑者である喜多の証言により過去を掘り起こしていくという流れで進む。

現在進行の取調べ室や捜査の状況と同様に、容疑者3人のみずみずしい青春時代がリアルに蘇ってくるのが見事だ。

警察小説であり、学園小説でもあるところが面白い。

ちょっと悪がきだった喜多、竜見、橘が「ルパン作戦」と称し、期末テストを盗もうと学校に忍び込む。
その夜の英語教師嶺舞子の死。

高校生のちょっとしたゲーム、自殺とされた女教師の死の謎、そこにあの「三億円事件」までがからめられてめまぐるしく展開していき、引き込まれて一気に読んでしまった。

「三億円事件」はミステリーに登場しがちだがこじ付け的なものも多い。
斬新なアイディアではないが、ほどよく作品に融合していてすんなり読めたので好感がもてる。

青春を共にした仲間たちや関係者のその後の人生も感慨深い。

さすが横山秀夫と感じる読後の充実感がある作品だった。


読了日:2009.10.21
★★★★☆

人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログへ

タグ

2009年10月22日

ruru (09:55)

カテゴリ:国内ミステリー横山 秀夫(ミステリー)

『お金の地図』泉 正人

お金の地図ーー先の見えない時代を生き抜くお金の基本お金の地図ーー先の見えない時代を生き抜くお金の基本 (2009/04/18) 泉 正人

商品詳細を見る

30年前の世代とはライフスタイルが様変わりして人生モデルが当てはまらなくなっている。
お金の知性を高め、国や企業に頼らずに生きていける力を身に付けよう。
「お金の地図」を作るということは、将来の不安を取り除き今何をすべきか明確にすることである。

不景気で国の保障が当てにならない等色々不安要素がある昨今こそ、自ら知識を身に付け実践していくことが重要である。(・・と思う人が多いのでこういう本も売れるのだろうが。)

・貸借対照表を作成→給与明細も細かくチェック。貯蓄等の資産やローン等の負債をしっかり把握。
・収入の上昇率と同じ比率で支出レベルを上げない。
・無駄な物リストを作る→自分の買い物グセをチェックして修正。

「今売ったらいくらで売れるのか」という計算を定期的にするというのは習慣づけたい。
人は購入前と売却前にだけ情報収集をしがちだが、常に資産価値の現状を確認するというのは大切だと思った。

読了日:2009.9
★★★☆☆ 

人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログへ

タグ

2009年10月 6日

ruru (17:17)

カテゴリ:ビジネス・自己啓発

『がんばらないで成果を出す37の法則』平野敦士カール

がんばらないで成果を出す37の法則ーアライアンス人間関係術ーがんばらないで成果を出す37の法則ーアライアンス人間関係術ー (2009/03/26) 平野敦士カール

商品詳細を見る

これからはアライアンスビジネスパーソンの時代だ!
アライアンスを意識した人間関係術、仕事術について。

タイトルに”がんばらない”とあるが、”気楽にやろうよ”的な意味ではなく、”一人で頑張らない”をテーマにした人間関係術を説いている。

・目指すべきは成果主義を生き抜くビジネスパーソンではなく、人に助けてもらえる人
→自分の強みや弱点を自覚し周りに発信し、補い合える人脈を築く。
→人脈を持っていれば人材と考えた時に単なる一人の人間ではなくなる。

仕事がうまくこなせても孤立した人を尊敬することはできない。
円滑な人間関係にはまずは自分を知り、どの部分を発信していくのかはっきり認識することが重要だと改めて感じた。

資格の勉強等スキルアップは第一段階であり、自己成長の努力はあくまで周りの信頼を得てより良い人脈を築くためだということを忘れないようにしたい。

読了日:2009.9
★★★☆☆

人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログへ

タグ

2009年10月 5日

ruru (06:43)

カテゴリ:ビジネス・自己啓発

『にじんだ星をかぞえて』上原 隆

にじんだ星をかぞえて (朝日文庫)にじんだ星をかぞえて (朝日文庫) (2009/06/05) 上原 隆

商品詳細を見る

普通の人たちのささやかな生活を追ったノンフィクション・コラム集。
朝日新聞夕刊be連載より。

家庭、仕事、友情、恋愛等人々の様々な感情を追う1冊。
もの哀しかったり、愛情を感じてほっとしたり、残酷だったり素の人間に触れ合うコラム集だ。

身近にありそうな題材ばかりだからこそ共感を得ることができるのだろう。

読んでいる時にはそれなりに感情移入をしながら読むのだが、何故か読後残るものはない。

それなりのドラマをピックアップしてはいるものの、あまりにも日常的過ぎるのかもしれない。
人間誰しも人生を追えば分厚い本も出せるだろうから。

よくある日常を見つめなおすという視点で読むには良いのかもしれない。

読了日:2009.9
★★★☆☆

人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログへ

タグ

2009年10月 4日

ruru (09:36)

カテゴリ:社会・ルポ・ノンフィクション

『3秒で好かれるとっさの一言』本郷 陽二

3秒で好かれるとっさの一言3秒で好かれるとっさの一言 (2008/10) 本郷 陽二

商品詳細を見る

物は言いようでカド立たず。
ビジネスでもプライベートでも一言付け足すだけで人間関係がスムーズに!

前回に引き続き”3秒”シリーズ。
おそらく手ごろ感が高いのでタイトルに使われやすいのだろう。

内容としてはちょっと素敵なフレーズ集といった感じ。

同じ言葉でも使い方一つで印象が変わるし、一言ポジティブな言葉を付け加えるだけでその後の商談や付き合いが上手くいくもの。

・初対面から津日に繋がる人間関係を作る
→「今日はいい日ですね。こんな出逢いがあるなんて!」

・相手に特別感を感じさせる
→「あなただからこそ~なんですね!」「あなたでなければだめなんです」

・共感を得る
→「すごいですね!」と成果を褒めるのではなく「努力されたんですね」と背景に思いを寄せる。

などなど・・。

この本に載っているフレーズを全て素で言える人がいたら素晴らしい人格者すぎてちょっと引く・・などと思いつつも、自分なりに程よく取り入れたいと思った。

ただ、つきつめてみれば相手を思いやれば自然と出てくるフレーズばかりである。

言葉を使うことにとらわれず、常に思いやりと気配りをもてるようになりたい。

読了日:2009.9
★★★★☆ 

人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログへ

タグ

2009年10月 3日

ruru (01:40)

カテゴリ:ビジネス・自己啓発

『大事なことは3秒で決める!』午堂 登紀雄

大事なことは3秒で決める! 資金ゼロから3億つくる“反常識”発想法大事なことは3秒で決める! 資金ゼロから3億つくる“反常識”発想法 (2008/02/22) 午堂 登紀雄

商品詳細を見る

一人ではお金持ちにはなれない。人が集まるところに情報が集まりお金も集まるのである。
社会的コミュニケーションを軸に自己成長術と投資方法について著者独特の視点で解く。

「人と違った思考と行動をする」
→その他大勢の人の思考と行動を理解した上でニッチなニーズやチャンスを捉える。

「反常識な発想」で常に習慣を見直す
→”思考停止”を阻止して常に前に進む。

「夢をかなえるノート術」
→自分の思考の足跡を残して何度も読み返す。
→必要なのは他人の言葉のメモではなく、自分自身がどう感じ、何を考えたかを書き残すこと。


一貫して書かれているのは人と違った視点を持つ重要性である。
常識とされること、当然のように行われていることなどを鵜呑みにせず、必ず別の発想で考えるようにすることを繰り返し解いている。

基本的に投資についてかかれているのだが、自己啓発に十分刺激を受けることができた。

読了日:2009.9
★★★☆☆

人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログへ

タグ

ruru (01:17)

カテゴリ:ビジネス・自己啓発

このページの先頭へ