2009年12月アーカイブ

『陰の季節』横山 秀夫

陰の季節 (文春文庫)陰の季節 (文春文庫) (2001/10) 横山 秀夫

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天下り先ポストに固執する大物OBを説得する中で浮かび上がってきた未解決事件とは・・「陰の季節」他D県警を舞台とした4編の連作集。

 

代表的な警察小説の一つであるが、緻密な心理描写が光るヒューマニズム小説とも言える。

 

プライドや打算、組織に翻弄される警察人でありながら、一個人としての在り方をも模索する登場人物たちの心情にスポットを当てており、同じ登場人物が別の視点で再登場してくるところが面白い。

 

警察という特殊な組織を詳細に描き出しているところも魅力だが、人の深層心理を深く抉り出してくる技術が横山秀夫のすごさだ。

 

全体的にほの暗い雰囲気のストーリーばかりだが、どこか突き抜けたものを感じさせる結末ばかりなのですっきりとした気持ちで読むことができる。

 

上質な作品で大満足。


読了日:2009.12.29
★★★★★


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2009年12月30日

ruru (23:19)

カテゴリ:国内ミステリー横山 秀夫(ミステリー)

『神様からひと言』荻原 浩

神様からひと言神様からひと言 (2002/10) 荻原 浩

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入社早々にリストラ予備軍が集められたお客様相談室へ異動となった涼平。
家賃のためにと苦情電話に対処しながら上司について訪問謝罪へ向かう日々。
辞めるか辞めないか・・・サラリーマンの苦闘。

 

「お客様の声は、神様のひと言」がモットーのはずの珠川食品。 融通の利かない生え抜きの専務や格好ばかりの改革に夢中なボンボン副社長のおかげで迷走し続けている。

しかもお客様からの苦情は的確に処理されることなく、ご機嫌取りや現金での問題解消が日常茶飯事。

会社の状況や抱える問題など現実的にあり得過ぎて、笑える半面切ないところもある。

 

シリアス&ユーモラスな荻原浩らしいサラリーマン小説だった。

主人公の涼平が少しずつ仕事に誇りを持って成長していく様子は微笑ましいが、お客様がほとんど不在なまま話が終わってしまったのはやや中途半端な気もする。

エンターテイメント小説としては面白かったが、もう少し訴えるものが強かった方がもっと良かったかも。

 

篠崎のキャラが良かったし、苦情処理相談会社モノの続編があったらそちらの方がおもしろくなるような気がする。

読了日:2009.12.28
★★★★☆

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2009年12月29日

ruru (19:49)

カテゴリ:国内小説一般荻原 浩(一般)

『レイクサイド』東野 圭吾

レイクサイド (文春文庫)レイクサイド (文春文庫) (2006/02) 東野 圭吾

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湖畔の別荘地で子供たちの勉強合宿が行われていた。並木俊介は妻の美菜子から自分を追って現れた愛人の英里子を殺してしまったと告げられる。4家族の親たちは協力してこの殺人事件を葬ろうとするのだが・・。

 

始まりから違和感だらけで入り込みづらいし、真相も想定内で「それはちょっと・・」というものだった。

 

夫婦関係や親子のつながりなど繊細な描写もあるが、伏線が丸見えな構成と子供の絡み方や親たちの歪んだ行動に不快感を感じるあたりがダメなのかもしれない。

 

共感を持ってストーリーに入り込めるか、トリックに打ち負かされるか。

ミステリにはどちらかの要素がないと読後の満足感が低くなってしまう。

 

東野圭吾なので無難にまとまってはいるのだが、私の中ではあまり評価できない作品だった。

 

読了日:2009.12.27
★★★☆☆ 

 

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2009年12月28日

ruru (13:18)

カテゴリ:国内ミステリー東野 圭吾

『真相』横山 秀夫

真相 (双葉文庫)真相 (双葉文庫) (2006/10) 横山 秀夫

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息子を殺した犯人が10年経ってやっと逮捕された。父親は事件の真相が明らかになるにつれ息子の別の顔を知ることとなる。~「真相」他5編からなるミステリ短編集。

 


短編集になるが、どれも重厚で隙がない作品ばかりで読み応えが十分である。

事件が終わった後にこそ、人の胸を焼き焦がす「真の真相」が頭を擡げる。

事件の謎解きが軸ではなく、起こった事件後の関係者たちの心の澱や葛藤を描いている作品集である。

とにかく心理描写が鋭く繊細で、正に胸が焼き焦がれる感覚を味わうことができる。

息苦しいほどのリアルな切なさや苦しみが伝わってくる秀逸な作品集だった。

さすが横山秀夫である。

 

個人的にはリストラされた中年男性の苦しみと近所で起こった殺人事件を絡ませた「不眠」が良かった。

 

どの作品も追い詰められる圧迫感の強さにどうにかなりそうだが、それだけの文章力にただただ圧倒されるのみである。 

読了日:2009.12.27
★★★★★

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『このミステリーがすごい! 2010年版』

このミステリーがすごい! 2010年版このミステリーがすごい! 2010年版
(2009/12/10)
不明

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すごくないことも往々にある"このミス"。

いつも立ち読みする程度だったが、最近ミステリをよく読んでいるからと買ってみた。

海堂尊などの書き下ろし短編ミステリもあるので好きな人は読んでみるといいかもしれない。
意外と面白かった。

いくつか読みたい本があるのだけれど、単行本で買うべきか文庫化を待つべきか・・迷うところ。

読了日:2009.12.27


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2009年12月27日

ruru (22:38)

カテゴリ:国内ミステリーその他の作家(ミステリー)

『オイアウエ漂流記』荻原 浩

オイアウエ漂流記オイアウエ漂流記 (2009/08/22) 荻原 浩

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トンガから飛び立った小型飛行機が墜落し、乗客たちは無人島に漂着することに。
接待旅行中のリゾート会社社員とお坊ちゃま、新婚旅行夫婦、戦時の思い出旅行に来ていた老人と孫、謎の外人と犬一匹での共同生活が始まった。


ユーモアたっぷりでありながらシリアスに生を考えるシーンも多々あり、人間観察に富んだ荻原流無人島漂流記となっている。


大体漂流記物は途中から争いにまみれていくことが多いが、生きるために食に執着する中で現れてくる各自の人間性も、基本的に明るく描かれているのでハラハラすることなく安心して読める。

各自能力を発揮しながらサバイバルに慣れていくところが面白いし、ぶれのない人物設定や変わっていく人間関係などの描き方もさすがに上手。

 

ただ、あまり盛り上がりもなく淡々と無人島生活が描かれているだけと言えばそれだけの印象なのが残念。

面白いのだけど強い感動はないといった感じの作品だった。

荻原さんの作品なので、当然一定の質は保たれている。
ただ、もっともっと面白い作品を読ませてくれるはずだと勝手にハードルを上げすぎているのだろうか。

 


読了日:2009.12.26
★★★☆☆


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2009年12月26日

ruru (22:14)

カテゴリ:国内小説一般荻原 浩(一般)

『幸せまでもう一歩』岸本 葉子

幸せまでもう一歩 (中公文庫)幸せまでもう一歩 (中公文庫) (2005/02) 岸本 葉子

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普段あまりエッセイは読まないのだが、可愛い表紙に惹かれて手に取ってみた。

何ということのない日常エッセイ集だが、著者のポジティブでからっとした語り口に好感が持てる。


知らなかったが有名なエッセイストさんらしい・・。


素直で明るい視点と文章で心が軽くなってくる一冊。

他にもエッセイ集や料理本など色々と著書があるようなので読んでみようと思う。


読了日:2009.12.24
★★★★☆


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2009年12月25日

ruru (10:28)

カテゴリ:エッセイ・随筆・対談

『失われた町』三崎 亜記

失われた町失われた町 (2006/11) 三崎 亜記

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30年に一度「町」が消滅する世界。
消滅を拡大させないためには、「町」の痕跡を全て消し、親しい人を失っても悲しみを感じてはいけないこととされていた。 失われた町”月ヶ瀬”に関係した人々がタブーを超えて寄り添いあい、次の「町」の消滅を阻止しようと動き出す。

 


『となり町戦争』に続けて読んだが、全く空気感が同じでとても特徴のある小説だ。
これがこの作家さんの世界観なのだなあと改めて実感した。

今回は消滅していく「町」という理不尽な力に立ち向かう人々を描いている。
居留地だの西域だのと世界が広がり、主要人物が増えた分物語は広がりを見せているのだが、その分まとまりがなく雑然としている印象を受ける。


ストーリーや背景に魅力はあるのだが、冗長的に感じてしまったのが残念。


それでも「町」が意志を持って消滅する理不尽さや汚染や拡大などの詳細な設定は面白いし、色々な形で関わった人々をそれぞれ主役とし、エピローグとプロローグでつながる構成は良かった。


読後の満足感はやや物足りないが、独特の世界観・表現力がある作家さんだと思うので今後に期待したい。


読了日:2009.12.17
★★★☆☆


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2009年12月18日

ruru (10:35)

カテゴリ:国内小説一般三崎 亜紀

『となり町戦争』三崎 亜記

となり町戦争 (集英社文庫)となり町戦争 (集英社文庫) (2006/12) 三崎 亜記

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となり町と戦争が始まり、僕は偵察業務従事者となった。
戦争といっても目に見えた闘いがあるわけでもなく日常は淡々と過ぎていく。
「本当に戦争は行われているのか?」
僕は疑問を感じているが、広報が知らせる戦死者は増える一方で・・。

 

奇抜な設定で注目のこの作品。

以前から気になっていたけれど、この手の作品はがっかりすることも多いので、読みたいと思いながらも今まで避けていた。

たまたま図書館で見かけて読んでみたところ、なかなか面白くて想像以上に良かった。

 

架空の時代と場所設定の下、公共事業として戦争を行う異常な行政と無関心な住民たちを描く。

 

決まったことだからと疑問ももたずに”戦争”を遂行することだけに精力を傾ける役人たち。 

戦争を生業とする戦争コンサルティング会社の介入。

戦争が始まったと聞いても自分たちの利害にしか興味を持たない住民たち。

一部の戦争に関わりを持った人間のみが戦死していく事実。

 

 

目に見えない戦争ということで、風刺的かつ抽象的に話が進むが、時折作者の意図が直接的に描かれている。

主人公の思索のシーンは逆にストレートすぎるくらいだ。

 

戦争は悪いとたたきこまれながらも、大義名分の下戦うことは正当化されている現状。
消極的な否定はあるが、積極的に否定ができるのか?
実際の戦争は予想し得ない形で僕たちを巻き込み、取り込んでいくのではないか?(P76・77要約)

「現にここにある戦争」を、僕たちは否定することができるのであろうか?(P77抜粋)

 

僕たちは、自覚のないままに、まわりまわって誰かの血の上に安住し、誰かの市の上に地歩を築いているのだ。(P193抜粋)

 

 

 

この作品では一般会社員の”僕”が、偵察員という客観的な立場で、戦争についてぼんやりと疑問を持ったりほんの少し恐ろしい体験をすることで、やっぱりこれからも「変わらぬ日常を送っていこう」と決意するところで終わる。

物事は必ず表裏一体なので、戦争を考えることで日常に思いを馳せるというのはセオリー通り。

奇抜な設定ながらも内容としてはオーソドックスでわかりやすい小説と言える。

 

市役所のとなり町戦争係香西さんとの関係はどうでもいいといえばどうでもいいが、話を進める主人公のパートナーとしては適任だっただろう。

 

しかし、やはり読まず嫌いは良くないと改めて感じた。

どんどん読んでみないと自分の琴線に触れる小説にも出会えないのだから。

私にとってこの作品は、絶賛とはいかないまでも予想以上に気に入った作品だった。

 

読了日:2009.12.12
★★★★☆

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2009年12月15日

ruru (13:49)

カテゴリ:国内小説一般三崎 亜紀

『交渉人 遠野麻衣子・最後の事件』五十嵐 貴久

交渉人 遠野麻衣子・最後の事件交渉人 遠野麻衣子・最後の事件 (2007/09/11) 五十嵐 貴久

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『交渉人』続編。
銀座で起きた爆破事件。
その場に居合わせた麻衣子の携帯に犯人からの電話が入る。
犯人の要求は10年前に起きた地下鉄テロ事件の首謀者宇宙真理の会代表・御厨の釈放しなければ爆破が続くという脅迫だった。

 

前作『交渉人』から2年後の設定で話が始まる。

程よく前作と絡みながら進むので順番に読んだ方が面白いだろう。

最近シリーズ物を順不同に読むことが多かったが、こちらはまだ記憶が新しかったので繋がる箇所などが楽しめた。

 

テロ事件の犯人から指名を受けて警察との交渉人となる麻衣子だが、やはり今作でもあまり本格的な交渉はない。

 

今回はメールや掲示板という手段で”交渉”していくのだが、返信文言に気を使う場面はあってもやり取りの回数は少ないし、テロという事件上犯人からの一方通行気味の展開で進んでいく。

 

電話接触した麻衣子が事件の展開を観察して犯人を絞り込んでいくのが見所なのだが、”交渉人”らしく交渉で事件を解決していくというよりは、犯人分析に優れている刑事が重要な役割を果たすといった印象だ。

そのため、緊迫した犯人とのやり取りを期待すると肩透かしを食らうかもしれないが、視点を変えながらの警察と犯人の攻防戦は先が読めない面白さがある。

 

また、実際の事件をふんだんに取り入れている分細部を想像しやすい。

平成の大事件をひたすら詰め込んだ感は否めないが、それでも前作よりもずっと良いと思ったし純粋に面白かった。

 

何故か「最後の事件」となっているが、結末を見る限りではまた続きが出るのではないかと予感させられるので次回作にも期待したい。

読了日:2009.12.11
★★★★☆


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ruru (10:07)

カテゴリ:国内ミステリー五十嵐 貴久

『無痛』久坂部 羊

無痛 (幻冬舎文庫)無痛 (幻冬舎文庫) (2008/09) 久坂部 羊

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神戸の住宅街で教師一家四人が惨殺された。
現場の様子や遺留品の多さから犯人の異常性が疑われるが、犯人像が絞られないまま月日だけが過ぎていく。
そんな中、精神障害児童施設の少女サトミが自分が犯人だと職員の菜見子に告白をする。
菜見子は外見だけで症状がわかる医師為頼に少女を診てもらうことにしたのだが・・・。

最初に語られる一家殺人が話の軸だと思っていたが、そうではないらしい。

医師為頼は、見た目だけで症状がわかるが故に無駄な治療を施す空しさに襲われて、町の片隅で小さな診療所を営んでいる。

対照的な人物として、同様な診断ができながら日々医療の研究に力を入れ、病院を拡大していくやり手の医師白神が登場する。


彼らを中心に、情報不安定な少女サトミ、白神の元で働く無痛症のイバラ、菜見子をストーキングする元夫の佐田ら”通常ではない”登場人物たちの行動がかなり詳細に語られていく。

 

ミステリだと思って読んでいると、途中で一体この話は何の話なのかわからなくなる。

殺人事件の謎を解く作品ではない。

それよりも心神喪失で罪を免れる刑法第39条の是非を問うのが主眼と言えるだろう。

 

少年犯罪同様デリケートな問題であるが、この小説内には精神的な病気で苦しむ人、詐病する犯罪者や性格異常者ら様々な人物が登場し絡み合うことで問題提起をしている。

 

あえて言うならば刑事の早瀬が読者と同様の視点を持っているかもしれない。

案を練りこんで構成したのだなとは感じるしっかりした小説ではある。

 

ただ、あまりにもねちねちと異常な描写が多いので読んでいて気が重くなってくる。

殺人シーンがあまりにグロテスクなのも特徴。
医師が書いたのがよくわかる。
人体を組織で見る感覚は一般人にはないだろう・・。

それでいて投げ出すことなく一気に読めたので、文章や構成は巧いんだろうなと思う。

 

なかなかの長編で読み応えはあるが、共感を覚える箇所がないせいかどうにも読後感が良くない。

せめて結末位はカラッと終わって欲しかった。

 


読了日:2009.12.10
★★★☆☆


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2009年12月11日

ruru (15:50)

カテゴリ:国内ミステリー久坂部 羊

『長い長い殺人』宮部 みゆき

長い長い殺人 (光文社文庫)長い長い殺人 (光文社文庫) (1999/06) 宮部 みゆき

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車に引きずられた挙句に殴殺された男の死体が見つかった。
疑わしきはその男の妻と愛人。
二人の周りでは次々と殺人事件が起こるが、状況証拠ばかりで物的証拠が出てこない。
犯人は周囲の予想通りの二人なのか、それとも別に真犯人が・・?


刑事、探偵、目撃者等、章ごとに主人公が変わっていくのだが、ナレーションをそれぞれの財布が受け持つという不思議なつくりだ。

確かに財布には個性があり、持ち主がよくわかるので適切なナレーターかもしれない。

さらに老若男女誰でも身に付けているという点で最良の選択だったのだろう。

財布を人格化し、持ち主ごとに財布の性格も変わっていくので最初はややとっつきにくかったが、慣れてくると違和感もなくなり物語に没頭してしまった。 

最後に明らかになる真相は、『模倣犯』とも繋がっているように感じた。

憎しみや欲望だけが動機とならないところが人間観察眼に富んだ宮部みゆきらしい。

 

 

10人もの視点で物語は進むのだが、章が変わってもすんなり受け入れながら読み進められるところが巧い。

殺人事件の謎を解くというよりも、様々な立場の人間たちを財布という目を通して体感できることの方が魅力的な作品かもしれない。

読了日:2009.12.8
★★★★☆


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2009年12月 9日

ruru (01:17)

カテゴリ:国内ミステリー宮部 みゆき(ミステリー)

『ハードボイルド・エッグ』荻原 浩

ハードボイルド・エッグ (双葉文庫)ハードボイルド・エッグ (双葉文庫) (2002/10) 荻原 浩

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フィリップ・マーロウに憧れ、ハードボイルドをこよなく愛する探偵最上俊平。
しかし、ペット探偵に甘んじているのが現状だ。
殺人事件の第一発見者となったことで念願の本格的な事件にぶつかるのだが、犯人はやっぱり動物で・・!?

 

先日読んだ『サニーサイドエッグ』と同シリーズ。
こちらの方が先になるので、後からつながった設定などもあって面白かった。
両作読んでみると『サニーサイドエッグ』ではチビが活躍しなかったのが残念だったかもしれない。

 

ただのペット探しで追い込まれるような緊迫感を感じたり、俊平やJの痛々しさに笑い切なくなったりと飽きない文章はさすが荻原浩流。

”ナイスバディ”の秘書の存在もいい味を出している。

 

笑いあり涙ありで大いに楽しめたが、一番感じたのは切なさだろうか。

俊平やJの格好悪い生き方も綾の格好つけた生き方も克之たちの動物に固執した生き方も、皆一生懸命生きている印だ。

ミステリ小説というよりはヒューマニズム小説と思ってもいいかもしれない。

 

今後も続編ができそうな作品なので期待して待つこととする。

 

読了日:2009.12.7
★★★★★

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2009年12月 8日

ruru (20:20)

カテゴリ:国内ミステリー荻原 浩(ミステリー)

『硝子のハンマー』貴志 祐介

硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2)硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2) (2007/10) 貴志 祐介

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株式上場を控えた介護会社の社長が撲殺死体で発見された。
厳重なセキュリティで守られた社長室に入ることができたのは、隣室で仮眠をしていた専務のみ。
弁護士青砥純子は専務の無実を証明するために、防犯コンサルタント榎本径の力を借りて密室の謎に挑む。

暗証番号に防犯カメラで守られた役員フロアが舞台である。
犯行は日曜日の昼時で、フロアには社長に専務、秘書が一人がいたのみ。

純子と経は、外部からの進入ルートを1つ1つ探りながら検証していく。

 

久しぶりにこれは面白い!と思えた推理小説。

こういった推理物は、もやもやといくつかの可能性を頭に浮かべながら読み進めることが多いのだが、思いつくトリックをあまりにもきれいに潰されていくのが痛快だった。

後半は倒叙になる。

最初のうちは作者の狙い通りこの人物の正体を錯覚してしまい、やられたなという感じ。

 

こちらはこちらで長い1つの物語となっていて読み応えがある。

最終的なトリックはやや弱い気もしたが、話運びが巧いので読後感は充実している。

 

行動力溢れ、正義に燃え立つ純子と裏の顔を持ち、冷静に推理を進める経のコンビが良い。

純子が経の裏の顔を笑い飛ばしているところには違和感を感じるが、探偵と助手という組み合わせとしてはバランスが良いのではないだろうか。

 

犯人、被害者関係者らの人間関係や背景も綿密に計算され、うまく織り交ざっているので疑問や飽きがこない。

経の正体だけが気になってしまうのだが、読者の興味を引くよう上手く設定されていると思う。

 

文庫版を読んだのだが、法月倫太郎との対談も収められている。

作者の意図などが明かされておりこちらもおもしろい。

 

読了日:2009.12.4
★★★★★


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2009年12月 7日

ruru (12:41)

カテゴリ:国内ミステリー貴志 祐介

『夢にも思わない』宮部 みゆき

夢にも思わない (角川文庫)夢にも思わない (角川文庫) (2002/11) 宮部 みゆき

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雅男は中学1年生。
白河庭園で行われる”虫聞きの会”で大好きな工藤さんの従姉妹が殺された。
従姉妹の悪い噂が流れて苦しむ彼女のために、親友の島崎と事件の真相を探り始めるが・・。
『今夜は眠れない』続編。

 

今夜は眠れない』は大人も楽しめる子供向けの探偵小説とも言えたが、こちらは大分大人向けになっている。

主人公が子供で軽快な語り口で進むのだが、 人の暗部を描いている点や事件が殺人になったことで前回とは全く趣が変わってきているのだ。

しかし、登場人物たちが大人だろうと子供だろうと、人間心理を鋭く描き出しているのは宮部みゆきならでは。

雅男はまだしも島崎が中学生とは思えないが、取り巻く女の子たちの立ち位置などの設定はさすが女流作家という視点でリアルに感じた。

ストーリーの重要な鍵となる工藤さんの行動などもいかにも現実的だ。

 

ただ雅男と島崎が良いキャラクターなので、彼らにはもっと中学生らしい明るいミステリに挑戦して欲しかったとは思う。

 

どろどろした人間心理を描きながらも、全体的に暗い読み心地ではない。

平易な文章で軽快に進むのでノンストップでさらっと読めるが、読後にぽつんとシミのように苦い思いが残る。

宮部みゆきらしい作品で面白かったと思う。

 


読了日:2009.12.3
★★★★☆

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2009年12月 4日

ruru (10:46)

カテゴリ:国内ミステリー宮部 みゆき(ミステリー)

『出会って4分でエコヒイキされる心理術』内藤誼人

出会って4分でエコヒイキされる心理術 ~太鼓持ちの人脈スキル~出会って4分でエコヒイキされる心理術 ~太鼓持ちの人脈スキル~ (2009/08/21) 内藤誼人

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”太鼓持ちの人脈スキル”とサブタイトルにあるように、愛想よく人に接して円滑な人間関係を築いて成功しましょう、というコミュニケーションに関する本。


初対面の場合、最初の数分で印象で決まってしまう。
その時の印象の色眼鏡をかけて常に見られるようになってしまうのだから、全力で自分をアピールすべしとある。

”太鼓持ち”というとどうも人にこびへつらうようなイメージがあるが、著者はつまらないプライドは捨てて愛想を振りまこうと提案している。

 


結局のところ相手の喜ぶようなことを言うということ、相手の気持ちを思いやることと同じだということだ。

 

似たような本は多いが、こちらは心理学の学術に基づいて説明されているので読みやすく説得力がある。

 

一番気に入ったのは「”ギブアンドギブ”の気持ちで人と接しよう」というところである。

そのくらいで丁度良いというのはその通りかもしれない。

読了日:2009.12.1
★★★☆☆


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2009年12月 1日

ruru (23:44)

カテゴリ:ビジネス・自己啓発

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