2010年2月アーカイブ

『骨の記憶』楡 周平

骨の記憶骨の記憶 (2009/02) 楡 周平

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末期癌の夫の看病をする清枝の下に50年前失踪した父親の遺骨が送られてくる。
添えられていた手紙には父親の死についての詳細が書かれており、差出人は集団就職で上京後焼死したはずの同級生の名前であった・・。
旧家の跡取りである曽我弘明、父の失踪後曽我家の援助を経て妻となった清枝、貧しい百姓の家に生まれ清枝に思いを寄せ、弘明を嫉み続けた一郎。
東北の山間部に生まれ育った三人の同級生が辿った人生とは。


平成の現在、栄華を極めた曽我家は没落して見る影もない。
清枝が、夫弘明の治療費のために最後の山を売ることで物語は始まる。
夫への愛をもって看病に尽くす清枝だったが、父の死の真相はそんな彼女の人生を否定するようなものだったのだ。

 

手紙から時代は遡っていくが、語られる人生のほとんどは長沢一郎のものである。
旧時代から続く貧富の差、戦争の傷跡が残る中での戦後復興の時代において、同じ学校で学ぶ同級生たちは全く違う道を歩き始める。

 

家計を助ける為に集団就職で上京する貧しくも純朴であった少年一郎。

常に彼につきまとう出自。

黙って受け入れるのか、切り捨てるのか。

ある出来事を境に彼の人生は大きく変わり始める。

 

混沌とした時代から一気に復興へ突き進む様子を感じることができたのが面白かった。

また、成田空港建設や東京湾の埋め立て地等用地転売の話なども興味深く、経済小説ではないが楡周平らしさが出ていると思った。

幼少期の経験が人生を大きく左右していく人間の生き様が生き生きと描かれていて読み応えは十分。

故郷での暮らしぶりの描写は生々しく、五感で時代を感じることができる。

 

衝撃的なプロローグ・エピローグも重要だが、恐ろしさよりも切なさを感じさせられる。

とにかくテンポが良くどんどん引き込まれて徹夜で読んでしまった! 

読了日:2010.2.17
★★★★★

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2010年2月20日

ruru (14:32)

カテゴリ:国内小説一般楡 周平

『楽園 上下』宮部 みゆき

楽園 上 (文春文庫)楽園 上 (文春文庫) (2010/02/10) 宮部 みゆき

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楽園 下 (文春文庫)楽園 下 (文春文庫)
(2010/02/10)
宮部 みゆき

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『模倣犯』から9年後。
事件からまだ立ち直れないでいた前畑滋子の下に不思議な取材依頼が持ち込まれる。
それは死んだ少年が書き遺した絵に実際の殺人事件が予言されていたというものだった。
果たして少年には超能力があったのか?
滋子は少年の超能力の真偽を探るため、描かれていた殺人事件について調査を始めたのだが・・。

『模倣犯』の続編となるこの作品。
再び滋子と会えたのは良かったが、冗長過ぎて最後まで気持ちが入りきらなかったのが残念。

読後の感想はまちまちでも、大抵のミステリは2~30ページも読めばその世界に入り込んで抜け出せなくなるのだが、それがなかった。
宮部みゆきの作品なのだからという期待が最後まで裏切られて本当に残念。

 

超能力については過去の作品にもあったし、好きなテーマなのだろうと思うのでミステリに使っても別に構わない。
しかし、等(少年)の力の解明と少女の殺人事件の2本立てが上手く混ざり合っていないように感じた。
最初は等について書かれ、途中からころりと少女殺人事件に話が移り、最後は全く別の事件、とぶつ切りの印象で流れがスムーズでないのだ。
最後に起こる事件も『模倣犯』と無理につなげたような荒さを感じさせる。

『模倣犯』の犯行現場である山荘の絵が遺されていたことで滋子が興味を持つわけだが、その件に関しても宙に浮いたまま終わってしまったようだ。
かなり重要な伏線だったはずだが、これは一体どういうことなのだろう。

新聞連載作品なので連載中にわけがわからなくなってしまったとか?(まさか!)


ただ、滋子のジャーナリストとしての再生や登場人物たちの心の機微などの描写は、さすが人間観察眼に優れた宮部さんらしい良さがあったとは思う。


読了日:2010.2.17
★★★☆☆


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2010年2月18日

ruru (00:12)

カテゴリ:国内ミステリー宮部 みゆき(ミステリー)

『真説 光クラブ事件 ―東大生はなぜヤミ金融屋になったのか―』保阪 正康

真説 光クラブ事件 ―東大生はなぜヤミ金融屋になったのか―真説 光クラブ事件 ―東大生はなぜヤミ金融屋になったのか― (2004/11/19) 保阪 正康

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終戦後の混乱期、山崎晃嗣は東大法学部に席を置きながらヤミ金融会社を立ち上げる。
急成長した光クラブは注目を浴びるが、すぐに会社の経営に行き詰り自殺。
戦後初のアプレゲール犯罪とされる「光クラブ事件」を追ったノンフィクション。


東大生が高利貸しを始めたという新鮮さと自らの遺影や作り上げられた遺書を残しての社長室での自殺、多く遺されている日記などから山崎晃嗣という人物の名は歴史に刻まれているわけだが、読後の感想として、この山崎という男の人物への興味も事件の衝撃もあまり感じることができなかった。


何となく事件と山崎の名を知っていた程度だったので、これだけ語り継がれるには余程のカリスマ性があるだとか終戦後の寵児であったのだろうなどと劇的なものを勝手に想像しすぎていたかもしれない。


この本を読む限り、山崎は独善的で病的な秀才という印象でしかなく、よくいるタイプの人間ではないか。

それとも現代がそのような人間を多く生み出しすぎていて、戦後に人々が受けた衝撃と温度差が出てきているのだろうか。

 

わずか1年強の間に起業、急成長、司法の介入、破綻、自殺といった流れとなったことは劇的と言えば劇的かもしれない。

時代への怨嗟がもたらしたという一つの分析もあるが、戦争というあれほどの経験をもってのこの始末というのは解せない。

三島由紀夫が『青の時代』で山崎を書いたことは知られているが、著者は彼らは親しい友人関係にあったと推測している。
これは本人から聞いたのでなければわからないような描写が多々あるという事実からであり、確かにそうかもしれないが、懸命の取材はなされているものの真実と言わしめる物証(手紙であるとか)には行き当たっていない。

しかしそういった視点で『青の時代』を読み返せばまた面白そうである。

確かに山崎は”青い”。
昔読んだ時にはあまり興味が持てなかった小説だが、もう一度読んでみたくなった。


読了日:2010.2.12
★★★★☆

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2010年2月13日

ruru (10:40)

カテゴリ:社会・ルポ・ノンフィクション

『流星の絆』東野 圭吾

流星の絆流星の絆 (2008/03/05) 東野 圭吾

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功一、泰輔、静奈の3兄弟はペルセウス座流星群を見るため、両親に内緒で深夜家を抜け出す。
その間に両親は殺され、泰輔が裏口から立ち去る男を目撃するも犯人は捕まることなく14年の時が過ぎていった。
大人になった彼らは詐欺で生計を立てていたが、その中で泰輔が目撃した男に再び出会うこととなる。
その男こそが犯人と確信した兄弟は今度こそ確実に逮捕されるようにと男に罠を仕掛けるのだった。


実はドラマを1話だけ見たことがあった。
特に印象もなかったのだがどうやらかなり核心の部分だったらしく、読み進めるうちに苦い気分になってきた。
何しろ推理のどんでん返し部分だけを知っているというわけである。
そのためあまり楽しめなかったのが残念。
こんな話だったのかと思いながらざっとよむ羽目になってしまった。


しかし結末は以外だった。
あまりにも濃い誘導なのでそこはないのだろうとは思っていたが、思いがけないところに着地して驚かされた点は良かった。

タイトルにもなっている3人の絆の深さについては、浅いような印象だった。 あまりにも淡々と話が進むからだろうか。

 

血縁関係の背景なども大きな伏線のようであまり意味を成していないのが勿体無い。 また、苦渋をなめてきた3兄弟の対比として登場する行成の純粋さが面白い反面できすぎである。

 

何となく物足りなさがあるのだが、全体的には読みやすく後味も悪くない。

 

読了日:2010.2.9
★★★★☆

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2010年2月11日

ruru (23:12)

カテゴリ:国内ミステリー東野 圭吾

『名城を歩く 会津若松城』PHPムック


『名城を歩く 会津若松城』PHPムック
西ケ谷恭弘
PHP研究所
発行年月: 2010年01月


今日は珍しくムック本。
城シリーズから会津若松城(=鶴ヶ城)の回。

田舎が会津なので衝動買いしたという単純な話(笑)
私にとって城と言えば鶴ヶ城。
書店に並んでいたら購入必須!?なのである。

内容としてはそこそこの写真と説明があるものの、後半は周囲の城跡の紹介になってしまったのがやや残念。
もっとみっちりと鶴ヶ城の話が読みたかった。
でもまあ、知らなかった城跡が多くあったので見聞は広がったかも。


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2010年2月 7日

ruru (22:29)

カテゴリ:歴史・民俗

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