2010年7月アーカイブ

『違法弁護』中嶋 博行

違法弁護 (講談社文庫)違法弁護 (講談社文庫)
(1998/11/13)
中嶋 博行

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横浜本牧ふ頭倉庫街で巡回中の警官が射殺された。 事件翌日、巨大ロー・ファームの若手弁護士水野由里子は現場の倉庫に関係する貿易会社の担当を命じられる。 法的危機管理を任された水野だったが、会社の実情を調べるにつれ巨大な陰謀が浮かび上がってくる。

『検察捜査』に続く法曹界を舞台にしたミステリ。

後書きに前作よりも評価が低かったとあるが、個人的にはこちらの方が面白かった。

検察官よりも弁護士の方が想像しやすく、ノンキャリ警官の視点にページを割いているのでとっつきやすかったのだと思う。
ストーリーも前作よりも殺人事件に重要性があるので、見慣れたミステリの世界で安心なのかもしれない。

何となく伏線が最初から読めるところがあるのは残念だが、やはり現役弁護士ならではの弁護士視点の展開は興味深い。
ロー・ファームや検察内部の雰囲気が味わえるのも良かった。

しかし、またもや若い女性が主役であるにもかかわらず全く色気がない。
特に恋愛的な要素はなくても良いが、潤いに欠けるというか・・。
足がすらりとした美人の設定にするのは単なる作者の好みか。
第一線で働く女弁護士のリアリティはこうなのかもしれないが、機械的な印象を受けるのでどうも共感しづらい。

あとほんの少しエンターテイメントやヒューマニズムの要素があると深みが増すような気がするのだが、本格的なリーガル・サスペンスという点では読み応えがあって満足できる。

読了日:2010.7.20
★★★★☆

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2010年7月24日

ruru (00:01)

カテゴリ:国内ミステリー中嶋 博行

『iPhone仕事便利帳―1台を使い倒す300の活用法』山崎 潤一郎他

iPhone仕事便利帳―1台を使い倒す300の活用法iPhone仕事便利帳―1台を使い倒す300の活用法
(2010/03/24)
山崎 潤一郎鈴木 麻里子

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図書館で予約していたのを忘れていた位の本。
iphoneを使いこなす参考になればと思って読んでみた。

300の活用法とあるが、何のことはないアプリの紹介である。
無料アプリが多いので気軽に試してみるきっかけにはなりそう。

買うほどの内容ではないが、一読してみても悪くはない。

読了日:2010.7.20
★★★☆☆

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2010年7月20日

ruru (17:17)

カテゴリ:ビジネス・自己啓発

『幽霊剣士―若さま同心徳川竜之助』風野 真知雄

幽霊剣士―若さま同心徳川竜之助 (双葉文庫)幽霊剣士―若さま同心徳川竜之助 (双葉文庫)
(2009/09/10)
風野 真知雄

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徳川家の血筋である竜之助は身分を隠し見習い同心となっている。 独特の視点で様々な事件を解決していく竜之助は町の暮らしにも馴染んでいた。 しかし、秘伝の剣・葵新陰流の使い手でもある竜之助には次々と刺客が襲い掛かってくるのだった。

徳川田安家の若様が市中の事件を解決しながら刺客も相手にするという設定。
シリーズものらしいが、ふと手に取ったので初めて読んだ第八弾・・。
こういった時代物は途中から読んでも意外と読めてしまうからと油断していたが、登場人物や作品の背景などわかりにくかった。

どうやら竜之助はちょっとした探偵役のようである。

章ごとに事件が起こるのだが、それがつながりがないので最初はやや驚いた。
かと言って、刺客は最初から最後までちびちびと登場するので一応つながっているのだなあと思うと何となくまとまりがない印象を受ける。

それでも章毎にそれなりの人情話や謎があるのでさらりと楽しむことはできた。
文字が大きく文章も読みやすい。

シリーズを最初から読んで把握しながらの方が楽しめたようなので、機会があれば遡ってみたい。

読了日:2010.7
★★★☆☆

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2010年7月18日

ruru (20:41)

カテゴリ:国内小説一般その他の作家(一般)

『涙堂 琴女癸酉日記』宇江佐 真理

涙堂 琴女癸酉日記 (講談社文庫)涙堂 琴女癸酉日記 (講談社文庫)
(2005/08/12)
宇江佐 真理

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同心だった夫高岡靫負が何者かに斬られて命を落とし、妻の琴は浮世絵師の次男賀太郎が住む通油町へと引っ越してきた。 町家の暮らしに戸惑いを感じながらも息子の世話に忙しく立ち回る日々。 幼馴染たちとの交流を楽しみながら新生活に馴染み始めた琴には就寝前に日記を書き留める習慣ができていた。 一方、息子たちは父の死の真相を探ろうとしており・・。

副題の「琴女癸酉日記」は琴が書く日記のことである。
毎回噂話が背景にあり、琴が書き留めた江戸の世情が各話の最後を飾っている構成が面白い。

武士を捨て絵師として一人前となっていた息子賀太郎の元に身を寄せることで、琴の視野は広がっていく。

いつの間にか成長していた息子、しかし口を出したくなる親心。
町家の人々に辟易しながらも徐々に深まっていく交流。

琴の新しい暮らしと夫の死の真相の2本を主軸にさすがの人情話に仕上がっている。
妻であり母であり女である琴の心情が見事に描かれているのは女流作家ならではないだろうか。

伊十の本心がもう少し最初から読み取れるともっと感情移入できたかもしれないが、多くの登場人物を抱えながらも皆それぞれにしっかりとした存在感があるところも巧いなあと思ってしまう。

やや女性向きかもしれないが、良い作品だった。


読了日:2010.7
★★★★☆

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2010年7月17日

ruru (20:08)

カテゴリ:国内小説一般宇江佐 真理

『春風ぞ吹く―代書屋五郎太参る』宇江佐 真理

春風ぞ吹く―代書屋五郎太参る (新潮文庫)春風ぞ吹く―代書屋五郎太参る (新潮文庫)
(2003/09)
宇江佐 真理

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小普請組村椿五郎太は茶屋で代書屋の内職をしながら学問吟味の合格を目指していた。 のらくらとやる気をみせない五郎太に、母の里江じれったくて仕方がない。 五郎太自身も幼馴染の紀乃のためにとやっと重い腰を上げはしたのだが、なかなか勉強もはかどらず・・

女たちに尻を叩かれてやる気を出した五郎太が、徐々に学問に力を入れていれ成長していく姿が微笑ましい。
また代書屋という設定により、持ち込まれる手紙の内容から様々な人間模様が浮き上がってくるのも面白い。

例によって連作短編集となっているので、全編を通して五郎太の成長と恋の行方を描きながら、1つ1つの短編ごとには代書の依頼に絡んだ様々な人間模様が瑞々しく描かれていて、切ない思いをしたりほっこりと温かい気持ちになったりと宇江佐さんらしい人情話となっている。

後書きに小題について触れられているが、各話のタイトルが素敵だった。
「月に祈りを」「赤い簪、捨てかねて」「魚族の夜空」「千もの言葉より」「春風ぞ吹く」である。

久しぶりに?ハッピーエンドなのも良かった(笑)

読了日:2010.7
★★★★☆

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2010年7月16日

ruru (20:48)

カテゴリ:国内小説一般宇江佐 真理

『検察捜査』中嶋 博行

検察捜査 (講談社文庫)検察捜査 (講談社文庫)
(1997/07/14)
中嶋 博行

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大物弁護士・西垣文雄が自宅で何者かに惨殺された。 横浜地検の若手検察官・岩崎紀美子が担当となり捜査を進めていくが、真実は法曹界の闇へと繋がっていく・・。

現職弁護士が法曹界の裏側をミステリ仕立てに書いた作品で、乱歩賞を受賞している。

ミステリと言うよりは社会小説的な作りだが、未知の世界を垣間見ることができる楽しさがあるせいか一気に読める。

警察小説も組織社会の愚かさを描いたものが多いが、法曹界を書いても似た様なことになるらしい。
やや狂信的な関係者らの言動が在り得そうで興味深い。

個人的には岩崎と伊藤の関係にもう少し触れて欲しかった。
一応二人の関係性が重要な伏線でもあるのだが、どうも色気がなさ過ぎる。
大体女性が主人公なのに名前でなく苗字で進む辺りが固い(笑)

また、物語の軸となる被害者西垣の存在感が薄いのも寂しい。

全体的にはまとまりが良く、固い文章ながらどんどんページを捲ってしまう面白さはあった。
ベストセラーになるような軽いミステリのつもりで手に取ると毛色が違うのでご注意を。

読了日:2010.7.13
★★★★☆

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2010年7月15日

ruru (03:10)

カテゴリ:国内ミステリー中嶋 博行

『ワイルド・ソウル〈上〉〈下〉』垣根 涼介

ワイルド・ソウル〈上〉 (幻冬舎文庫)ワイルド・ソウル〈上〉 (幻冬舎文庫)
(2006/04)
垣根 涼介

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ワイルド・ソウル〈下〉 (幻冬舎文庫)ワイルド・ソウル〈下〉 (幻冬舎文庫)
(2006/04)
垣根 涼介

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戦後国策を信じてブラジルに渡った家族を待っていたのはジャングルでの過酷な生活だった。 国に騙され壮絶な人生を送らざるを得なかった衛藤、ケイ、山本、松尾らは日本に乗り込み、政府と当事者たちへ宣戦布告をする。 テレビ局記者貴子を巻き込み進められていく復讐計画とは・・。

かなりの大作である。
文庫も上下巻共に厚みがある大長編だが、物語に引き込まれて一気に読んでしまった。

戦後ブラジルに渡った日本人たちの凄惨な人生を浮き彫りにしながら、この犯罪計画を通して、衛藤・山本の過去への清算、ジャングルで生まれ現在を生きるケイ・松尾の未来へとつながっていく構成が素晴らしい。

国へ思い知らせようとする周到な計画もスリリングで面白く、記者の貴子を巻き込んでいくことで物語に彩が添えられているのも良い。

とにかく読み応えがあって文学賞を3賞も受賞したと言うのには納得。

欲を言うのなら、ブラジル移民についてもう少しページを割いても良かったのではないだろうか。
ケイと貴子のやり取りの割合が高すぎるような気がした。
歴史小説ではないので、現在の犯罪計画の進行に主軸があるのは当然かもしれないが、重厚なテーマなのでもっと触れて欲しかったように思う。

そして個人的感情としてはもっとギリギリと政府と関係者が追い詰められる状況になってほしかったので、樹海の切迫した描写などがあっても良かったかも。

それでも1つの納得いく結末を迎えてくれたので、読後感は満足している。

読了日:2010.7.14
★★★★☆

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『あやめ横丁の人々』宇江佐 真理

あやめ横丁の人々 (講談社文庫)あやめ横丁の人々 (講談社文庫)
(2006/03/15)
宇江佐 真理

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大身旗本の三男紀藤慎之介は、婿入り祝言の最中に妻と逃げた間男を斬り捨てた。 妻は自害し、お家が存続できなくなった笠原家は慎之介を怨んでつけ狙うようになる。 「あやめ横丁」なる町に匿われることとなった慎之介だが、ここの住人たちは皆訳ありの様子で・・。

武士のお坊ちゃま慎之介が、初めての町家暮らしをしながら訳ありの住人たちと交流を深めていく人情物語である。

この"訳"が普通の"訳"でない。
それは「あやめ横丁」というこの町の名にも現れているわけだが、何をやってもいま一つだった慎之介が過去を背負った町の人々のことを思いやりながら成長していく姿が良い。

しかし、宇江佐さんはどうしていつもハッピーエンドにしてくれないのだろう。
とても巧くまとまって終わるので全くもって悪くはないのだが、たまには楽観的なハッピーエンドにしてくれてもいいのに・・と恨みに思ってしまう。
それだけ感情移入して読めるということの証だろうけれど・・。

住人たちそれぞれの過去が少しずつ明らかになっていく楽しさ、その度に感じる切なさや温かさ。
人の持つ多面性や人間関係が上手く絡み合ってすっきりと展開していくのも良い。

少々在り得ない設定ではあるものの、こんな横丁があっても良いのではないかと感じさせられるほど生き生きと町民たちが描かれていて面白かった。

読了日:2010.7.10
★★★★☆

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2010年7月12日

ruru (20:20)

カテゴリ:国内小説一般宇江佐 真理

『君がいなくても平気』石持浅海

君がいなくても平気 (カッパ・ノベルス)君がいなくても平気 (カッパ・ノベルス)
(2009/12/17)
石持浅海

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2社共同開発チームにより生み出された「着ロボ」がいきなりの大ヒット。 その祝勝会の翌日、チームリーダーである粕谷が出勤後に不振な死を遂げる。 死因はニコチン中毒でどうも自殺とは思えない。 開発チーム内でお互いを疑い合う中、水野は同僚で恋人の早智恵を犯人だと確信することになる。

長編なのに最初の数十ページで話が読めるっていうのはミステリとしてどうなのだろう。
伏線のつもりなのかもしれない描写はあるが、明記しすぎでバレバレである。

一見刺激的な言葉がところどころ登場するが、実のところそうでもないし、水野のぐずぐずした内面を見せられるだけで意外性もどんでん返しもなければ彼の成長を描いているとも言い難い。

続けて作品を読んで感じたことだが、この作者はひらめきには優れてはいるがミステリを書くには素直すぎる人なのではないだろうか・・。

「とても視界の良い一本道をひたすら進んでいるけれど、実はこの道は間違っているんだよね?」と思わせてページを捲らせるのが手なのか?
「色々と可能性を考えてしまう自分はひねくれているのかも」と思ってしまうほど"間違いのない"想定内の結末を迎えてくれる。

疑わせて惑せて迷わせて立ち止まらせるのがミステリの醍醐味ではないだろうか。
読者としては、障害物を乗り越えて思考の迷路を抜け出た先の爽快感を味わいたい!

あまりにもまっすぐ過ぎてミステリとしては成り立っていないし、せめて登場人物に共感できるかというと人間心理の機微の描写が優れているわけでもなく曖昧な小説である。

何となく一気読みしてしまったが、空疎な印象しか残らなかった。

若者のエゴイズムというテーマは良いと思う。
パーツの組立がちょっと・・。

いつか素晴らしい作品を読ませてくれるかもしれないという期待は持てるのだが、今のところは残念。

読了日:2010.7.9
★★★☆☆

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2010年7月11日

ruru (12:08)

カテゴリ:国内ミステリー石持 浅海

『月の扉』石持 浅海

月の扉 (光文社文庫)月の扉 (光文社文庫)
(2006/04/12)
石持 浅海

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沖縄那覇空港で旅客機がハイジャックされる。 犯行グループ3人の要求は、那覇警察署に留置されている彼らの「師匠」を空港まで連れてくること。 犯人らはそれぞれ乳幼児を抱えて人質とするのだが、トイレへ行った人質の母親が死体となって見つかる。 ハイジャックと予期せぬ死体。航空機内で起こった2つの関連は・・?

ハイジャック中に計画にない死体が発見される。
犯人たちは第一発見者の彼氏である座間味島のTシャツを着た観光客を「座間味くん」と名づけて謎解きをさせる、というストーリー。

ハイジャック中の機内という密室、何故か居合わせた「師匠」のキャンプ関係者たち、本名が明かされることもなく探偵役を無理やりつとめさせられる男など面白い設定が多く、文章も読みやすい。
ハイジャックと殺人事件(これは最初から明らか)の2本立てというのも良い。

しかしそれにも関わらず読後感として全く満たされない。

ハイジャック犯の動機や結末ががばかばかしく、機内の殺人事件がわかりやすすぎるからだろうか。

ハイジャック犯により密室とさせられているという設定は面白いのだが、人質の子供も乗客も乗務員も全て無の存在であるところに違和感があるし、ところどころ警察側の描写になるのだが、こちらも登場人物が多いわりに意味のないセリフなど無駄が多い。

きっと何かあっと驚くような展開を見せるのではないか、まさかこのまま終わるまい!と思いながら読んだが結局そのまま終わってしまった。

かなり物足りない。
しかしバッサリと切り捨てられない面白みがところどころあるのが複雑である。
美味しい食材を揃えてみたが、調理をしたら大した料理にならなかったという印象。

一番の感想としては「勿体無い」。

読了日:2010.7.9
★★★☆☆

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2010年7月10日

ruru (16:11)

カテゴリ:国内ミステリー石持 浅海

『堪忍箱』宮部 みゆき

堪忍箱 (新潮文庫)堪忍箱 (新潮文庫)
(2001/10)
宮部 みゆき

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近江屋に伝わる小さな黒い文箱。 蓋を開けたら災いが降りかかると言われる家宝を持ち出すために火事から逃げ遅れた祖父と母。 譲り受けたお駒の心はざわめいて・・。 表題作「堪忍箱」他時代小説短編集。

宮部みゆきの時代小説を初めて読んだ。
人の深層心理を巧みに描く宮部さんのことなので、かなり期待して読み始めたのだが意外とつまらなくて逆に驚いた。

確かに人の心の闇やざわめきを書こうとしているのはわかるのだが、時代小説特有の人情モノでもなし、推理捕り物でもなしでやや中途半端な印象だ。

読むのをやめようかと思いつつ何とか読んでいると急に後半は面白くなってきた。
「お墓の下まで」以下4作は人の気持ちの多面性がよく表されていて良かったと思う。

文庫の収録順が良くないかもしれない。
全8作がうまく混ざっていれば面白い話もあるしそうでもないのもあるなあ、となるのだが、最初から続けてつまらない思いをさせられると最後まで読む気が失せる場合もあるだろう。

個人的にはそのくらい前半と後半に差があったように感じる。
全体的にはやや物足りない1冊だった。
たった1冊で決められはしないが、宮部さんは現代の推理物の方がおもしろいのかもしれない。

読了日:2010.7.8
★★★☆☆

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2010年7月 8日

ruru (21:38)

カテゴリ:国内小説一般宮部 みゆき

『人柱はミイラと出会う』石持 浅海

人柱はミイラと出会う人柱はミイラと出会う (2007/05) 石持 浅海

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アメリカからの留学生リリーは数々の日本の風習に戸惑いを感じている。
工事期間中地中に潜って工事の無事を祈る人柱、既婚女性が歯を染めるお歯黒、厄年休暇に警察鷹・・。
リリーが遭遇する奇妙な日本の習慣と周囲で起こる事件の謎解き短編連作集。


古い日本の習慣が現代にも残っているという設定はとても面白い。
真面目な調子で人柱職人(人柱として地中に潜る専門職)などを説明されるとおかしくてたまらない。

留学生リリーの驚きを通して読者も驚き、古い風習が関係してくる様々な事件の謎解きは飛び道具的でありながらも楽しめる。

ただ、最初はかなり面白いと思って読み進めていったのだが後半少し飽きたのかペースが落ちた。
奇抜さだけで何話も読むのは厳しいのかもしれない。

純粋なミステリではなくエンタメ小説のような趣きで文章も軽やかで読みやすい。
設定は最高なので謎解きに深みがあったらもっと良かったと思う。

読了日:2010.7.7
★★★☆☆

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2010年7月 7日

ruru (18:39)

カテゴリ:国内ミステリー石持 浅海

『赤死病の館の殺人』芦辺 拓

赤死病の館の殺人 (光文社文庫)赤死病の館の殺人 (光文社文庫) (2005/04/12) 芦辺 拓

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素人探偵・森江春策の助手新島ともかが迷い込んだ奇怪な作りの館で、使用人が惨殺され、主人と孫娘が失踪するという事件が起こる。
犯人は外部の人間なのか。それとも主人と孫娘による犯行か・・?
表題作「赤死病の館の殺人」他森江春策シリーズ中短編集。


7色に塗り分けられ、ジグザグに部屋が続く怪しい館。
いかにも本格の舞台らしい。
少しぞっとするようなムードも良く出ていて最初から物語に引き込まれてしまった。
 
事件は予想していなかった方向へ動いていくので、わくわくした気持ちは味わえるのだが、最終的に明かされるトリック自体はちょっと無理やりに思えた。

他の3篇も何となく想像がついたり、ごり押し感を感じたりでトリックに感嘆!というところまで至らないのだが、どれもスピードがあって読みやすいので楽しみながらさらりと読めた。
本格でありながらも春策やともかのノリのおかげか軽やかさもあるのが良い。

読了日:2010.7.6
★★★★☆

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2010年7月 6日

ruru (23:43)

カテゴリ:国内ミステリー芦辺 拓

『銀の雨―堪忍旦那為後勘八郎』宇江佐 真理

銀の雨―堪忍旦那為後勘八郎 (幻冬舎文庫)銀の雨―堪忍旦那為後勘八郎 (幻冬舎文庫) (2001/08) 宇江佐 真理

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北町奉行所の同心為後勘八郎は、下手人に対して寛容な姿勢を見せるからか「堪忍旦那」と呼ばれている。
気がかりは不器量な一人娘小夜が、見習い同心岡部主馬に岡惚れしていること。
主馬の若さからくるまっすぐ正義感は、時折「堪忍旦那」勘八郎とぶつかっていたのである。
人情捕り物と思春期の娘の恋心を追った短編連作集。


若い娘たちが関わってくる様々な事件と小夜の主馬への恋心が絡み合って話は進んでいく。
主人公は勘八郎なのだが、話の主軸は小夜にあると言える。

登場人物たちの思春期特有の瑞々しくも痛々しい繊細な心理描写が巧な作品集である。
 
しかし、宇江佐さんの書く男は未熟者が多すぎないだろうか。
今回の作品でも主馬が考えを改めて成長していく過程が描かれてはいるが、これが何とも苛立つ男だ。

若者の残酷さを描きたいのかと思いつつも、岡部主水のように老人の愚かさも描かれており、傾向としてしっかり女とダメ男の構図も多いような気がする。

前半の「その角を曲がって」「犬嫌い」「魚棄てる女」は、市井の人々の愛憎を温かくも切なく描いてありとても気に入った。
人々の喜びや憎しみ、心の痛みが胸を打つ。

後半の「松風」「銀の雨」は、今までサブテーマだった小夜と主馬の関係がメインになってくるのだが、上記のように主馬にイラッとくるのでどうも感情移入し切れなかった・・。

それでも年月を重ねながら小夜や主馬が大人になっていく瞬間を見事に切り取っているのは巧いと思う。
温かく甘いだけでなくどこか現実的でシニカルな側面を持つところが女性の著者らしいかもしれない。

読了日:2010.7.3
★★★★☆

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2010年7月 5日

ruru (22:56)

カテゴリ:国内小説一般宇江佐 真理

『室の梅 おろく医者覚え帖』宇江佐 真理

室の梅 おろく医者覚え帖 (講談社文庫)室の梅 おろく医者覚え帖 (講談社文庫) (2001/09/14) 宇江佐 真理

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奉行所検屍役の美馬正哲は死体専門の医者として"おろく医者"と呼ばれていた。
妻で産婆のお杏とともに人の生死に立会い、人々の心に触れていく短編連作集。

"おろく"とは「南無阿弥陀仏」の6文字から死を現している。
夫は死を見る医者、妻は生の瞬間に立ち会う産婆という一見対照的な設定になっているが、生死は表裏一体、生きている人間だけでなく死体からも様々な人間模様や人の心の奥底が浮き上がってくるものである。

お杏の産婆という立場、またなかなか二人に子ができないもどかしさと絡めてか、妊娠が絡んだ事件や男女の愛憎が主題となっている。

あまりにもこの主題に囚われすぎているように感じたが、江戸を舞台にちょっとした推理や捕り物がありながらの人情話なので面白く読めた。

最後、宇江佐さんが「ハイ、子供が出来て終わり」とはしないだろうなあと思っていたら案の定な展開だった。
それでも比較的ハッピーエンドだったので安心して読み終わることができたので良かった・・。

せっかく華岡青洲に弟子入りまでするのだから、もう少し展開に影響があってもいいような気がしたのが残念。

読了日:2010.7.1
★★★☆☆

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2010年7月 4日

ruru (22:40)

カテゴリ:国内小説一般宇江佐 真理

『心とろかすような―マサの事件簿』宮部 みゆき

心とろかすような―マサの事件簿 (創元推理文庫)心とろかすような―マサの事件簿 (創元推理文庫) (2001/04) 宮部 みゆき

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元警察犬のシェパード・マサは、蓮見探偵事務所の用心犬。
ご主人家族の所長や加代ちゃん、糸ちゃん姉妹の身を守り、鼻を使って探偵家業の手助けをしている。
マサの周りで起こる5つの事件を1冊にまとめた連作集。

『パーフェクト・ブルー』続編。

相変わらずマサが主人公という設定が面白い。
近所の猫や犬への深夜の聞き込み調査や犬目線での推理が楽しく、スイスイと読める。
動物たちにも色々な事情があり、人間心理の描写に長ける宮部みゆきがさすがの動物心理も描ききっている。

マサは本当に頼りになるし可愛い。
動物好きならついつい一気読みしてしまうこと間違いなし。

事件としては、子供や若者が被加害者のパターンばかりなのでよく考えると胸の中がモヤモヤしてくるのだが、マサ目線で話が進んでいく面白さで事件の悲惨さが薄くなっているように思う。
少し前の作品だが、動物虐待や親子関係など現代社会の問題をしっかりと扱っていて古びた感じがしないのも良かった。


読了日:2010.7.2
★★★★☆

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2010年7月 3日

ruru (00:10)

カテゴリ:国内ミステリー宮部 みゆき(ミステリー)

『青の時代』三島 由紀夫

青の時代 (新潮文庫)青の時代 (新潮文庫)
(1971/07)
三島 由紀夫

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久しぶりの三島。
少し前に『真説 光クラブ事件 ―東大生はなぜヤミ金融屋になったのか―』を読んで購入してあった本。

記憶がないので初読なのかもしれないがどちらにしろ上記のような解説本を読んだ後に読むのは面白いと思う。

戦後初のアプレゲール犯罪と言われる光クラブ事件を物語調に書いたもので、三島らしい言い回しの割に読みやすくすぐに読み終わってしまった。
三島と山崎は同じ時期に東大に在籍しているので、交流があったかもしれないとのことだが、どちらにしろ一つの三島的主眼によりまとめられているのでどうでも良いことではないか。

三島自身この作品は納得のいかない出来だったらしいが、何となく中途半端な展開や結末だったのは確か。
それでも、私としては山崎(作中では川崎)の心情が手にとるように伝わってきて面白く読むことができた。

読了日:2010.6
★★★★☆

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2010年7月 2日

ruru (23:48)

カテゴリ:国内小説一般その他の作家(一般)

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