2010年10月アーカイブ

『今日を刻む時計―髪結い伊三次捕物余話』宇江佐 真理

髪結い伊三次捕物余話シリーズ最新作。 前作より10年。 伊三次とお文の息子伊予太は絵師の弟子となり、娘のお吉も産まれていた。 不破家では龍之進がいつまでも独身でいることにやきもきしていたが、龍之進自身結婚できないことにすっかり心が腐り芸子屋に入り浸っているのだった・・。

前作が伊三次とお文が焼け出されたところで終わっていたので、どうなることかと気が気でなかったがまさか10年も時が過ぎるとは!(苦笑)

唖然としてしまったが、年はとっても登場人物たちは変わらぬ魅力ですぐに10年後の八丁堀に慣れることができた。

全編を通して龍之進の結婚話が取り上げられている。
母いなみの出自が問題となってなかなか結婚できない龍之進だったが、様々な経験を経て自分でパートナーを選び取る。
今巻は大団円で終わっていたので読後感もすっきり爽やかで良かった。

新しい登場人物として伊三次とお文の娘お吉が加わり、愛らしさが好ましい。
伊三次が主人公だった名残が段々なくなってきているが、物語の中で時が過ぎていくことでよりリアルな彼らの人生を堪能できると思えば、こういった形も悪くないかもしれない。

読了日:2010.10.31
★★★★☆

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2010年10月31日

ruru (23:58)

カテゴリ:国内小説一般宇江佐 真理

『我、言挙げす―髪結い伊三次捕物余話』

髪結い伊三次捕物余話シリーズ第八弾。 尾張屋押し込みの犯人は見つからないままだったが、伊三次は自分に偽りの情報を流した船頭を見つけた。 船頭の証言から、事件は薩摩藩に見捨てられた若武者たちへこ組の仕業だと判明する。 龍之進は一つの価値観に囚われる彼らと同心として生きるしかない自分を重ね合わせるのだった・・。

伊三次・お文夫婦の倦怠期や龍之進の成長など、登場人物たちの今日がまんべんなく描かれた今作。
少しずつ時が流れていることとを実感させてくれる。

龍之進らが目の敵にする本所無頼派の出番はあまりないが、しばらくは敵として間を持たせながら登場するのかもしれない。
本所無頼派を捕らえた時こそ、八丁堀純情派が一皮向けてランクアップする時なのだろう。

あれほど情熱的だった伊三次とお文の倦怠期もあまりに現実的で苦笑してしまったが、衝撃的だったのは結末の火事である。
またまた伊三次らは火事で焼け出されてしまった!
人生山あり谷ありを地で行く本当に油断ができないシリーズである。
そこがくせになるのだが。

読了日:2010.10
★★★★☆

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2010年10月27日

ruru (10:57)

カテゴリ:国内小説一般宇江佐 真理

『男振』池波 正太郎

若くして頭髪が抜け落ちる奇病にかかった源太郎は、容姿を侮蔑した若君に乱暴を働き監禁される。 名前を変えて生きることを許された源太郎は国許に帰り静かに暮らそうとするが、今度は血筋のせいでお家騒動に巻き込まれることとなる。

久しぶりの池波さん。
()の使い方など、こんなへんてこな文章だったか?とやや疑問に思いつつも一気読み。

眉目秀麗・文武両道の少年。
前途洋々だった源太郎だが、15歳から頭髪が抜け始めて禿頭になってしまったことで激しいコンプレックスを抱くようになる。
他人から嘲笑されることで深く傷ついていき、不満とコンプレックスが頂点に達して若君に襲い掛かるという事件を起こしてしまうのである。

かなり変わった設定であるが、容姿一つが人生を変えていく残酷さがリアリティが高く共感を呼ぶのではないだろうか。

自信に満ち溢れていたはずの少年が、容姿を気にして背中を丸め何とか健気に生きるようになっていた。
運命は更なる試練を与えていくが、少年は事件を境に成長し、人生を自らのものとしていくのである。

力強く自信を持って生きる姿こそ男振が良いと言える。
容姿など抗えないものに翻弄されることもあれば、生き様一つで人を納得させることができるのもまた事実。
爽やかな結末にほっとした1冊。

読了日:2010.10.25
★★★☆☆

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2010年10月26日

ruru (02:37)

カテゴリ:国内小説一般池波 正太郎

『インシテミル』米澤 穂信

大学生の結城は、コンビニで美しい女性須和名にアルバイト情報誌のことで声をかけられる。 募集要項には時給11万2千円の文字が。 怪しさを感じながらこのバイトを受けることにした結城は、会場で須和名と再会する。 バイトの内容は参加者十二人が密閉された空間<暗鬼館>で7日間を過ごすという心理モニター実験だった。 綿密なルールと各自に凶器が用意され殺人と謎解きが奨励されるものの、参加者たちはそのまま7日をやり過ごすことに同意。 しかし3日目に第一の殺人が起こってしまい・・。

最近映画の宣伝が激しいので興味を持って読んでみた。
感想としては「なるほどいかにも映画向けだな」というところ。

いわゆるクローズドサークルミステリだが、ノリが軽く現代的である。
"館"もどこか近未来的なイメージであるし、監視システムやロボットなどの要素も本格をなぞっているようでいて在り得ない設定。
登場人物たちの人物像は浅く、関係性も希薄。
集まる理由が高額バイトなら行動も謎解きも考えなし!

これはこれで時代を反映していて面白い設定だ。
なかなか真相が見えてこないので推理をめぐらせてしまうし、背景が見えないだけ薄ら寒さもあってつい引き込まれて一気に読んでしまった。

だからつまらない本だとは言わないが・・内容があるかというと無い。
結末に至っても全く主催者の意図がわからないし、館内の犯人にしても動機は不明なまま。
疑問だらけのまま後味の悪いエピローグ。

事が起こっている最中はそれなりにスリルと派手さがあるので映画には向いているかもしれないが、読書して満足感を得るのは難しいだろう。
面白い要素もありつつ根幹がずれている印象。
玉石混合で全体的には残念な読後感。

読了日:2010.10
★★★☆☆

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『三日月が円くなるまで―小十郎始末記』宇江佐 真理

仙石藩士刑部小十郎は、藩主の汚名を雪ぐためにあだ討ちを計画する正木庄左衛門の手助けをするよう父から申し渡される。 小十郎は古道具屋紅塵堂の元に潜伏して藩邸と庄左衛門とのつなぎ役となった。 町家での暮らしと町人との交流、そしてあだ討ちの行方は・・。

主人公の小十郎は、あまりあだ討ちに乗り気でもなく人に言わるままに言ったり来たり・・。
町に暮らせば自分は武士だと意識するものの自ら考えて武士らしい行動をするというわけでもなく、恋愛だけはいっちょまえ。
まあ等身大の青年像とは言えるが、あまりにも情けなくて応援する気持ちになれないのが残念。

小十郎のあだ討ちだけだとどうも話に入り込めないが、古道具屋紅塵堂が再登場していることでそれなりに楽しく読むことができた。
折角再登場してきたゆたのお相手が小十郎というのはやや不服ではあるが、見知った登場人物にまた会えるのは単純に嬉しいものである。

交流を深める僧賢龍や紅塵堂主人の八右衛門らの助けがあって小十郎も少しずつ成長したと言えるだろうか。
一青年の一時を描いた正に"始末記"。

良くも悪くも淡々と読み進めることができた1冊である。

読了日:2010.10
★★★☆☆

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ruru (00:44)

カテゴリ:国内小説一般宇江佐 真理

『おちゃっぴい―江戸前浮世気質』宇江佐 真理

札差し駿河屋のお吉はおちゃっぴいと言われるおてんば娘。 手代の惣助との突然の縁談話に動転して店を飛び出し、見知らぬ色男に助けを求めた。 男は絵師の菊川英泉と名乗り、お吉を葛飾北斎の下へ連れて行ってくれた・・。 『おちゃっぴい」他江戸の連作短編集。

連作集と言っても話によって登場人物が重なる程度で、『おちゃっぴい』などは1話限りの短編である。
鉄火な江戸娘お吉と貧しさ故に武士を捨てた二人の男惣助・英泉の物語。

お吉は惣助のことがまんざらでもないが、自分の知らぬところで話が進んでいたことに腹を立てる。
逃げる途中勢いで声をかけた英泉との1日がお吉の心の整理をつけていく。
はつらつとした思春期の少女の心の内が瑞々しく描かれていて好感が持てる作品だった。

『町入能』と『概ね、よい女房』は甚助店を舞台にした人情話。
町人と長屋に住む訳有武士との心の交流が爽やか。

『れていても』と『あんちゃん』は、薬種問屋丁子屋の跡取り菊次郎の物語。
思い人の恋を応援したり、鼻つまみ者の妻の兄をかばったり・・。
なよなよした雰囲気の菊次郎だが、常に男気ある言動が格好良くてすかっとする。

『驚きの、また喜びの』は短編。
娘の恋人が気に入らない岡っ引き伊勢蔵だったが、あることをきっかけに許す気持ちになり・・。
こちらは親子の愛情物語。
娘たちの幼い一途さも父親の心配する気持ちも現代に通ずる普遍のテーマで、違和感なく入り込める作品である。

ふんわりとした優しい気持ちだけでなく、妬みや疑い、意地悪な気持ちなどにもしっかりとスポットをあて、きれいごとだけでない複雑な人間心理をリアルに描き出すところが宇江佐作品の魅力。

切ない結末の話も多いが、この短編集はハッピーエンドばかりで読後感もさっぱりしている。
ただし、テーマは"笑い"とのことだが、その点に関してはあまり感じられなかったように思う。
さらりと読める江戸人情話でとても読みやすい1冊。

読了日:2010.10
★★★☆☆

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ruru (00:07)

カテゴリ:国内小説一般宇江佐 真理

『ハッピー・リタイアメント』浅田 次郎

財務官僚樋口慎太郎と自衛官大友勉が55歳にして紹介された再就職先JAMS。 仕事内容は何もせずに定年を待つこと。 天国のような天下り先に喜ぶ二人だったが、庶務係の葵と共に真のハッピーリタイアメントを求めて"仕事"をすることになる。

天下りと定年退職をテーマに浅田流におちょくったような娯楽小説。

ひたすら真面目に務めてきたノンキャリアの二人が、何も仕事がない天下り先を手放しで喜んでしまう辺りに人間の浅ましさを感じる。
愚民化思想という言葉が使われていたが、人は環境次第で如何様にもなるのである。

しかし、それで終わっては物語は始まらず・・。
二人は元銀行員の葵の提案に乗って、独自に仕事を始めることとなる。
大金を手にして早期退職=ハッピーリタイアメントを求めて。

ここに書かれているような腐った天下り先は山ほどありそうに思える。
ところどころにちりばめられた社会風刺は時代を反映していてホットだ。

結末としてはやや意表をつかれたものの、全体的にとにかく明るく読みやすい。
ただあまり内容はないので心には残らなそうである。

読了日:2010.10.21
★★★☆☆

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2010年10月21日

ruru (12:12)

カテゴリ:国内小説一般浅田 次郎

『雨を見たか―髪結い伊三次捕物余話』宇江佐 真理

シリーズ第七弾。 伊三次とお文の一人息子伊予太はおっとりした性格だが、同じ年である不破の娘茜はお転婆で周りを煩わせていた。 お文といなみが二人を遊ばせてお茶を飲んでいる間に、茜がかどわかされるという事件が起こる。 犯行にはどうやら伊三次が見知ったおよしが関与しているようで・・。

それぞれの親の気苦労があれば、娘を売り飛ばそうとする親もいる。
お勤めに励む若者がいれば、おもしろ半分に犯罪を起こす者もいて、またやむなく縄付きとなる娘もいる。

一人前の同心を目指す龍之進が、自分とは異なる同年代の若者たちそれぞれの人生に直面し、また組織内での越し方に疑問を持ちながら成長を続ける。
宇江佐さんは母の眼差しで、大人のような一面を持ちながらも大いに未熟な少年龍之進を描く。

本日の小生の生き方、上々にあらず。
下下にあらず。
さりとて平凡にもあらず。
世の無常を強く感じるのみにて御座候。

龍之進の日記に記された一文が現在の彼の日々を表している。

一方お文はお座敷で年増芸者扱いされて憤り、伊三次は自分になついていた龍之進から小者扱いされることに寂しさを感じる。
大人になっても世の中はなかなか世知辛く、平穏な気持ちで暮らすことは難しい。

毎回登場人物たちが年を重ねていくこのシリーズ。
とうとう伊三次とお文は三十路に突入した。
まだまだ若い夫婦だが、江戸では大分中年扱いで少し脇に追いやられてきたのが寂しい。

やはりこのシリーズは"伊三次捕物余話"なのだから、世代は移り変わりつつあっても伊三次に主人公であって欲しい。
面白くて夢中で読んでいるが、それだけが引っかかる。

読了日:2010.10.19
★★★★☆

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2010年10月19日

ruru (20:47)

カテゴリ:国内小説一般宇江佐 真理

『君を乗せる舟―髪結い伊三次捕物余話』宇江佐 真理

シリーズ第六弾。 不破の長男龍之介が元服を迎え、名を龍之進と改める。 同心見習いとなった龍之進は仲間たちと「八丁堀無頼派」を結成し、巷を騒がす「本所無頼派」の捜索に乗り出した。 一方伊三次の息子伊予太が疱瘡に罹り危ない状態に陥る。 お文は覚悟を決めるが、伊三次は不思議な娘に導かれて見知らぬ寺で伊予太の回復を一心に祈る・・。

世代交代が起こり始めている本シリーズ。
今回は龍之進の活躍が目覚しい。

元服したとは言えたった14歳。
まだまだ子供ながら、出仕してお勤めに励むことで大人の世界を垣間見始める。

『君を乗せる舟』では、龍之進の初恋相手あぐりが自分が追う本所無頼派の若者と恋仲となった上に、暮らしのために年上の男の後家として嫁いで行くのを見守ることとなる。
自分では何もすることができず、花嫁姿のあぐりを乗せる舟になりたいと言った龍之進の言葉が切ない。

人の複雑な心模様は現代と同じだが、身分や貧富の差、少しのことで命を落とす点などやはり江戸の生活は厳しいと感じるような話が今回は多かった。

龍之進の青春をなぞらえていく楽しさも大きいが、伊三次の出番がぐんと減ったのは寂しい。
伊予太はまだまだ小さいし、しばらくは龍之進の話が続くのだろうか。
龍之進の成長を追いながらも伊三次・お文にも活躍して欲しいと切に願う。

読了日:2010.10.18
★★★★☆

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ruru (20:14)

カテゴリ:国内小説一般宇江佐 真理

『黒く塗れ―髪結い伊三次捕物余話』宇江佐 真理

お文は身重を隠してお座敷に出ていたが、とうとうそれも無理になってくる。 生活が厳しい伊三次は回向院の富突きに掛けてみることに。 一方お腹の子は逆子とわかり、喜久壽と緑川に産科の医師を紹介してもらう。 出産の時お文は伊三次に側にいて欲しいと頼むが、お上の御用で出かけなくてはならず・・。

江戸の時代も同じことか?
伊三次は家庭と仕事の狭間に立ち、お文は子育てと仕事の両立に悩む。

早くお座敷に戻りたいが、伊三次はお上の御用もあっていつ出かけてしまうかもわからず頼りにならない。
女中を頼むにはお金がかかる・・と現代と相通ずる女の悩みである。

所帯を持ったことで大分生活臭が出てくるが、二人の人生と共に取り上げられる事件は割と血なまぐさいものだ。
「蓮華往生」などは公衆の姥捨て山のような話でぞっとした。
老人が蓮の花の中に入り、信者たちが周囲を取り囲んでお経をあげるとコロリと極楽浄土に行けると言うのだが、どうも怪しいと八丁堀が捜査を始めるという話。
参考文献があるので実話なのかもしれないと思うと耐え難い。

ただの人情話でなく、様々な事件を通して夫婦や家族の在り方、生き様などが描かれているのが面白いのかもしれない。
捕物要素もあることでちょっとしたミステリも楽しめるのがこのシリーズの魅力ではないだろうか。

今回元巾着切りの直次郎の恋が再び取り上げられる。
後書きを見ると、読者の要望が無ければ二度と登場させなかったとあって驚いた。
印象の強い登場人物だったので、今後更に活躍するのではないかと思っていたのだ。
最期落ち着くところに落ち着いてくれたのは嬉しいし、また登場して欲しいものである。

最近翁屋が存在感を増してきているのもアクセントになっている。
若夫婦の良い先導役となっており、好感が持てる。

読了日:2010.10.16
★★★★☆

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2010年10月17日

ruru (19:00)

カテゴリ:国内小説一般宇江佐 真理

『さんだらぼっち―髪結い伊三次捕物余話』宇江佐 真理

お文は芸者を辞めて伊三次と長屋で暮らし始めるが、隣のお須賀とけんかをして出て行ってしまう。 伊三次はお文のために仕舞屋を借り、改めて二人の生活をやり直すこととする。 お文は日本橋で芸者に復帰し、伊三次は弟子を取り・・ようやく新生活も落ち着くかと思われたが・・。

長屋の暮らしに違和感を感じながらも馴染んでいくお文。
深川芸者のお文がこのまま長屋のおかみさんになっていくのは似合わないと思っていたが、やはりそう簡単にはいかなかった!

隣のお須賀が子供に当たるのが許せないお文。
馴染みとなった娘が理不尽な死を遂げたことも重なってとうとう大喧嘩をしてしまう。
この喧嘩がかなり激しく、久しぶりにお文の気性を見せ付けてくれた。

しかし、少しずつお文も普通の女性のように変化してきている。
伊三次と一緒になれたことで次は子供、とばかりに今回は子供がらみの話が続く。

最終話「時雨れてよ」では、妊娠したお文が子供が流れたばかりのおみつの意地悪い言葉を聞いてしまう。
少しのことでお互い分かり合えたように思えたり、遠い存在に感じたり・・。
女性らしい人間心理の機微が描かれていて、切ないながらもリアリティに溢れていて読み応えがある。

今回宇江佐さんが後書きでタイトルについて触れていた。
「さんだらぼっち」は突然思いついてメモを取っておいたものだったそう。
かと思えば「時雨れてよ」は夏目雅子さんの俳句からいただいたのだとか。
元の俳句はこちら。

時雨れてよ 足元が歪むほどに

余韻があってなんだか良い。
使いたくなる気持ちがよくわかる。

ただ宇江佐さんの作品はいつもタイトルが素敵だと思っていたので、オリジナルではないものも多いのかと思うとちょっと残念な気持ちにもなった。

しかしすっかり伊三次捕物余話の世界にはまってきて、次が楽しみでたまらない。

読了日:2010.10.15
★★★★☆

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ruru (18:24)

カテゴリ:国内小説一般宇江佐 真理

『さらば深川―髪結い伊三次捕物余話』宇江佐 真理

よりを戻した髪結い伊三次と深川芸者お文。 しかし材木商伊勢屋忠兵衛はお文のことを諦めきれず、はねつけたお文に家の修理代を請求するなどしつこく付きまとってくる。 とうとうお文の家は火付けにあって炎上する・・。

貧乏髪結いで下っ引きを務める伊三次と売れっ子深川芸者お文の恋と、周囲で起こる事件の数々を描いたシリーズ第三弾。
前作から少し時間を空けてしまったが、読み始めてすぐにシリーズの空気を思い出すことができた。

まずは伊三次と不破が和解したのでほっとした。
そうでなければ捕り物が盛り上がらずにつまらない。

それにしても「護持院ヶ原」で見せた不破の修験者ぶりには違和感があった。
しかし後書きに趣向を変えたストーリーも書きたかったとあり、作者がそのつもりなら仕方がないかと納得することに。

伊三次とお文の気持ちはしっかりと結ばれたようで安定はしたものの、今度は伊勢屋忠兵衛の悋気が様々な事件を引き起こしていく。

最終話「さらば深川」では、とうとうお文の家は火付けで燃え尽き、夫婦となって伊三次の裏店で暮らすことが決まる。
やっと迎えた二人の門出はめでたいはずだが、どこか物悲しい空気で終わる。

焼け出されたお文に伊三次は所帯を持とうと持ちかけ、
「もっと前にその台詞、聞きたかったねえ」
と言いながらもお文は潮時なのかと求婚を受ける。

自分が貧乏髪結いであることで、家付き芸者に引け目を感じて求婚できなかった伊三次。
そんな伊三次の気持ちを察しながらも、自信を持って求婚して欲しかったお文。

お文が焼け出されたことで二人の距離が近づくという現実が寂しい。

男女二人の複雑な思いが交差し合ってやっと迎えた二人の門出は、いかにも宇江佐さんらしい複雑さを持たせた展開だ。

楽観的なスタートではないが、それでも二人がやっと夫婦になることに喜びと期待を感じながら終わった本作。
次回から二人の夫婦生活が描かれていくのかと思うと読むのが楽しみである。

読了日:2010.10.14
★★★★☆

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2010年10月15日

ruru (16:11)

カテゴリ:国内小説一般宇江佐 真理

『マリア・プロジェクト』楡 周平

フィリピン・マニラ郊外にある研究施設では、胎児の卵子を使って処女をも懐妊させるという「マリア・プロジェクト」が極秘裏に進められていた。 更に彼らは、創り出された子供たちやスラム街からさらってきた子供たちを臓器移植にも利用していた。 商社マンとしてマニラに赴任していた瀬島は、かつての恋人諒子が中絶した胎児の卵子が実験に使用されていることを知り、家族を拉致されたスラム街の男たちと共に奪回を計画する。

全てが金次第で戸籍制度も機能していない国でなら、本国ではできない実験ができる。
乗り込んできた外国人らが財力によって人体実験を繰り返している。
スラムから子供が消えたところで警察など当てにできないという恐ろしい背景。

この話はフィクションだが、貧富の差が命の重さの差と比例しているのは現実だと思う。
自分の知らないところで、本当にこのようなことが起きているのではないかと想像して背筋が寒くなった。

この小説には2種類の研究が軸として描かれている。
1つはオーダーベイビー。
富裕層の夫婦からの注文に合わせ、高スペックな卵子を使用して代理母に子供を産ませる実験。
代理母は処女の方が良い、キリストの母マリアのように。

2つ目は、人工授精の際に予備として生み出した命の使い道としての臓器移植。
予備の肉体は同じDNAでの臓器移植をも可能とし、拒絶反応を避けることができる。

人間の尊厳を踏みにじり命を弄ぶ研究者たちに怒りを感じ、また詳細に描かれていく実験の様子に吐き気すら感じながらも引き込まれて一気に読んでしまった。

人工授精や臓器移植は元々人間を救う為に生まれた医療技術なのだとわかってはいるが、人の手で命を創り出したり、他人の死の上に成り立っている技術であるという現実から逃げることはできない。
倫理観や良心という薄い膜1枚で成り立っている怖さを常に感じる。

さすが社会派の楡さん。
毎回微妙な社会問題を上手く小説に取り込んで作り上げてしまうのが本当にすごい。

主人公の瀬島・元恋人諒子の感傷的かつ受動的なところと、後半アクション映画のようになっていったのは個人的には好みでないのだが、読み応えは十分で考えさせられる作品だった。

読了日:2010.10.11
★★★★☆

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2010年10月13日

ruru (01:50)

カテゴリ:国内小説一般楡 周平

『確信犯』大門 剛明

広島で会社社長吉岡が洋傘で刺されて殺害され、1000万円奪われるという事件が起きた。 小学生の息子拓実の目撃証言により、従業員の中川が起訴されるが無罪となる。 14年後、中川は自分が真犯人であったと告白して病死。 そして当時中川に無罪を言い渡した判事が洋傘で刺された死体となって発見され、容疑は吉岡拓実に向けられる。彼は復讐を正義とみなす確信犯なのか?当時の判事補だった弁護士正木響子は事件について調べ始めるが・・。

証拠不十分で無罪となった男が過去の罪を告白する。
裁判に関わった元判事らは、それぞれが自らの過ちに向かい合う。
真相に行き着き殺害された末永、彼の後を継ぎ事件を解決しようとする正木、選挙を控え問題から避け続ける穂積。

判決が出れば司法関係者にとっての事案は終わるが、遺族の人生はその後も続く。

あまり魅力のある登場人物がいないのは物足りないところだが、司法格差への問題提起が主軸にありながらミステリという娯楽性も存分に活かされていて読み応えがあった。
複雑に絡み合った人間関係が過去と現在の事件を浮き彫りにしていく流れもお見事。
また、タイトルの確信犯に何重もの意味を持たせたことで深みが出ていて面白い。

作品中では裁判員制度ばかりが注目されるが司法の改革は他にも多々あることを強調している。
確かに私も法テラスというのを初めて知った。

>>法テラスHP

現実に行われている司法改革に興味を持っていきたい。

読了日:2010.10.9
★★★★☆

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2010年10月 9日

ruru (11:51)

カテゴリ:国内ミステリーその他の作家(ミステリー)

『昭和質店の客』佐江 衆一

満蒙開拓団として満州に渡った柳田保男と父徳三郎、浅草のレヴューガールテンプル染子とその恋人でニューギニア戦線に送られた矢野進。 浅草昭和質店の常連客たち、それぞれの戦争と昭和。

この話は戦争を挟んで3人が辿った激動の運命が描かれており、それらは昭和初期浅草にあった"昭和質店"という場所で交差することで繋がっている。
全く異なる立場から見た戦争と昭和を描きながらも、質店を共通項として1つの壮大な長編としてまとめ上げられているところがお見事。

話は主に3つの軸から成り立っている。

柳田保男の満蒙開拓団自決事件とソ連抑留。
テンプル染子の恋人の復員を待ち続ける女の情。
矢野進の熾烈なニューギニア戦線。

彼らは夢を見る。

保男は自決させた家族の夢を。
染子は無事に帰ってきた恋人の夢を。
進は自ら手を下した敵兵たちの夢を。

貧しい農村の暮らしから脱することを願い、好きな人と家庭を持ちたい。
夢と希望に溢れる若者だった彼らは、とことん戦争に翻弄され過酷な運命を辿ることとなる。
その理不尽な残酷さに胸が塞がれて涙が溢れる。

それぞれの独白という形を取っているため感傷的な気分になりやすいのかもしれないが、どこが泣けるかと言われても最初から最後までとしか言いようがない。
何しろプロローグからハンカチ無しでは読むことができないのである。
そういった意味では、文章はとても読みやすいがページをめくるのに気力が必要な作品だった。

ところどころ冷静に、被害者でありながらも時に加害者ともなっていたのが現実だと感じることもあった。
その辺り客観的な視点もわざと盛り込んだのだろう。
もはや戦後ではない~とは随分昔の言葉だが、最近の外交問題を見ていて戦争はまだ続いているかもしれないと思った人も多いはず。
しかし、憎むべきは戦争であって国民ではないのだと改めて強く感じた。

3人それぞれの戦争を描くだけでも十分読み応えがある作品ができると思うが、1つの作品にまとまっていることで戦争を多面的に体験することができ、余計にその悲惨さが強調されている。

この作品はフィクションだが、先人の誰かが体験したノンフィクションでもあることを忘れてはいけないと思う。
穏やかな雰囲気をかもし出す表紙の雰囲気と内容とのギャップが、読後は胸に迫ってくる。

開拓団ではないが、私の祖母も満州の引揚者。
その体験はほとんど語ってもらえないまま痴呆になってしまったが、穏やかな老後を送ってもらえるよう大切にしなければと強く感じた。

読了日:2010.10.8
★★★★★

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2010年10月 8日

ruru (19:49)

カテゴリ:国内小説一般その他の作家(一般)

『幽霊人命救助隊』高野 和明

浪人生の高岡祐一は、断崖の上で老ヤクザ、気弱な中年男、アンニュイな若い女と出会う。 彼らは皆自ら死を選んだ者たちだった。 そこへ神が現れ、天国へ行きたければ下界へ降りて自殺志願者100人を救えと命令する。 オレンジ色のレスキュー服に身を包み、4人の救助作戦が始まった!

人物設定や展開など漫画的な娯楽小説。

自殺を考えている人を見つけて救うことで命の尊さを感じ、死を選んだ自らに向き合っていく、というのが大筋のストーリーである。

自殺者だからこそ死のうとしている人の気持ちが理解できる反面、客観的に眺めると解決可能な悩みに苦しんでいたことがはっきりわかってくる。

寂しければ勇気を出して人に話しかけよう、ネガティブな思考に囚われているのなら病院へ行こう、借金で悩んでいるなら弁護士に相談しよう、と意外と解決方法は簡単だということに、既に自殺済みの4人も気付いていく。

「自分は死ぬ必要がなかったんじゃないか・・」
主観と客観という感覚の違い一つで、未来は変えることができる。
今はどんなに苦しくても自殺という道を選ぶ必要はないということを熱い思いで書きたかったのだろう。
真面目なテーマながら文章は軽快なので、軽い小説の感覚で読み進むことができる。

テーマも話の展開もそれなりに面白いのだが、やや冗長的に感じた。
100人の救助者の中からピックアップして描いているのでそれなりのパターン数を踏みたいのだろうが、行き着くところは1つなのでエピソードが多すぎる。

漫画やドラマの連載なら逆に話数があって良いかもしれないが、小説ならもう少しコンパクトで良かった気がする。
4人の抱えていた苦しみに類似した自殺希望者や関係者のストーリーで十分テーマを活かせたのではないだろうか。
ところどころ飽きそうになったが、読みやすい文章なので一気に読み切ることはできた。

ちょっと良かった言葉。
「未来が定まっていない以上、すべての絶望は勘違いである」

読了日:2010.10.5
★★★☆☆

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2010年10月 6日

ruru (15:58)

カテゴリ:国内ミステリーその他の作家(ミステリー)

『御書物同心日記 虫姫』出久根 達郎

『御書物同心日記』『続 御書物同心日記』に続くシリーズ第3弾。
御書物方同心・東雲丈太郎の周りで起こる書物に関係した事件の数々。

御書物同心は時には命を懸けて上様の書物を取り扱うが、日常の仕事としては虫食いの修理や陰干し、寄贈目録の確認などの作業が中心である。
そんな地味な仕事の息抜きとして、丈太郎は町人に化けて古本屋の仕入れを手伝ったり値踏みをしたり。

本の虫丈太郎の生活はどこまでいっても本尽くしである。

今巻では、馴染みの古本屋喜助の娘しんからのアプローチが綴られているので少しは華やぎがあった。
とは言え、丈太郎自身は身分違いの恋に悩むわけでもなく、ぼんやりとかわすだけの草食男子ぶりなので盛り上がりがあるわけではない。

結局のところひたすら本の話。
だが、そこが面白い。

帯にあるような「怪事件」というほどの事件は起こらないが、様々な本に絡めながら江戸人情を描き出しており、飽きずに一気に読める。
第4弾はまだ出ていないようだが、是非続編も読みたい。


読了日:2010.10.4
★★★★☆


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ruru (15:23)

カテゴリ:国内小説一般出久根 達郎

『おぅねぇすてぃ』宇江佐 真理

江戸から明治へと時代が移った頃。 叔父が経営する函館の商社で働く雨竜千吉と幼馴染で米国人と結婚していたお順は互いに惹かれ合っていた。 二人は一緒になろうと約束をするが、お順の離婚には条件がつけられ二人はすれ違い続けていく・・。

混沌とした明治初期の恋物語である。
英語を勉強する千吉と米国人に嫁いだお順の恋が軸なので、貿易や留学、英語、外国人などが深く関わってくるため江戸の時代小説とは大分趣が異なっている。

明治維新直後のめまぐるしい日本の変化を感じることができるところが面白い。
特に西洋寄りの登場人物たちということもあるが、たった数年でこれほどの変化があったのかと思うと目が回りそうである。

肝心の千吉とお順の恋愛についてはどこか淡々としていて気持ちが入り込めなかったが、明治初期の日本を感じられるのは良かった。

考えようによってはこの時代こそが自由恋愛の始まりとも言えるので、そういった視点で見ると外国人と結婚しては離婚をしたり、未だに遊女という存在があったりと恋愛も時代を反映して混沌としていたのかもしれない。

個人的には江戸物の方が好きだが、たまにはハイカラな気分を味わいたい時に。
内容としてはいかにも宇江佐作品という作りなので安心して読める。

読了日:2010.9
★★★☆☆

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2010年10月 2日

ruru (01:06)

カテゴリ:国内小説一般宇江佐 真理

『わらの女』カトリーヌ・アルレー

ハンブルク出身の30代女性ヒルデガルデは金持ちの結婚相手を探していた。 新聞の求縁広告をきっかけに大富豪の妻となったヒルデガルデだったが、夫が急死。 この結婚には思わぬ罠が仕掛けられていたことに気付くのだったが・・。

ヒルデガルデは打算的な女性として描かれているが、100%そう思い込めないのは私だけだろうか。
戦争で何もかも失いたった一人で生きてきた女性が、多少のことに目をつぶっても金持ちと結婚したいと考えることに醜さを感じることができない。

逆にこのおかしな結婚話に乗ってしまう無邪気さに不安を感じ、完膚なきまで叩きのめされていく様に同情してしまう。
まさかと思いながらも迎えた結末をどうも受け入れがたい。

個人的な感想としては納得できないのだが、古典ミステリとしてはやはり名作だろう。
追い込まれていくヒルデガルデの心理描写も、犯人の用意周到な罠もお見事。

ヒルデガルデがもっといやらしい悪女だったら読後にすっきりできたかもしれないが、読み応えについては十分満足できる。
何十年も傑作と言われ続ける作品は、時代背景が変わっても色褪せることがないということがよくわかる。

読了日:2010.9
★★★★☆

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『其の一日』諸田 玲子

安政七年三月三日、井伊家の密偵可寿江は主君でありかつての恋人でもある直弼に水戸浪士の不穏な動きを知らせようと屋敷の周りをうろつくのだが・・。 桜田門外の変・箕輪心中などの事件を題材にした江戸の運命の一日を描いた短編集。

時代は全て江戸だが、"一日"を描くところが共通なだけで話はそれぞれ全く別の短編集である。

この日権力を失う男の心情、夫に遊女と心中された妻の心の葛藤、恋川春町の息子が知った祖父と父の死の真相、事件を前にした井伊直弼の元恋人による回想など。

特別な一日にスポットを当てて渦中の主人公の心の動きを追っているのだが、繊細な心理描写が素晴らしい。
愛しさや憎しみ、切なさなど複雑な気持ちを持て余しながら懸命に生きている登場人物たちの息遣いが今にも聞こえてきそうである。

1日という短い瞬間を切り取りながら、登場人物たちの人生そのものを描き上げていく手法がお見事。
人物像にブレが無くはっきりと浮き上がってくるため、短編という短い時間ながらもその世界にしっかりと入り込んでしまう。

また歴史上の事件を題材にしているため、背景を理解しやすくとても読みやすい。
時代小説が苦手な人でも読みやすいのではないだろうか。

さらりと読めるが心に残るような深みのある作品だった。

読了日:2010.9
★★★★☆

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2010年10月 1日

ruru (11:37)

カテゴリ:国内小説一般その他の作家(一般)

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