2011年1月アーカイブ

『愚行録』貫井 徳郎

東京都練馬区で一家4人の惨殺事件が起こる。 非の打ち所のないように見えていた家族。 行きずりの犯行なのか、それとも怨恨なのか? 周囲へのインタビューによりエリート夫婦の人間性が浮き彫りにされていく。

一家惨殺という事件を描いたミステリではあるが、タイトルに「愚行録」とあるように人間の"愚行"の記録という意味合いの方が高い。

被害者夫婦の知人へのインタビューと、とある妹から兄への独白が交互に収められている作り。
全文に渡って口語体だが、構成も文章も巧いので、語られる内容も語り手の人間性もありありと浮かんできて飽きることなく一気に読み終えた。

若くして都内の一軒家に越してきたエリート夫婦。
一見怨みを買うように思えない人柄だが、周囲の人間たちの語りから徐々に彼らの本質が見えてくる。

近所の野次馬根性の主婦から親しい知人へとインタビューは進んでいくのだが、じわじわと掘り下げていく構成が絶妙。

またインタビューに答える知人たちの、被害者を悼み事件の解決を望むという建前の中に見え隠れする興味、嫉妬、計算などの嫌らしさもよく表現されていた。
あからさまでなく口調や語る内容によって語り手の性格や思考を感じさせてくれるので、違和感無く人物設定や人間関係が頭に入ってくる。

妹から兄への独白についても人間の愚かさを誇張するもの。

作りとしては巧いなあと思うのだが、内容としては心が乾いていくような作品だった。

読了日:2011.1.30
★★★★☆

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2011年1月31日

ruru (11:34)

カテゴリ:国内ミステリー貫井 徳郎(ミステリー)

『同姓同名』新津 きよみ

唯木緑は幼馴染の田中紀之と婚約中だった。 結婚間近のある日、紀之は男にからまれた女性を助けようとして刺殺されてしまう。 「タナカミドリ」と言い残した紀之。 その名前に聞き覚えがあった緑は、名乗り出てこない女性を自ら探し当てるのだが・・。

正しい行動にも勇気と覚悟がいる昨今。
正義感の強い紀之は、男に絡まれている女性を助けて殺されてしまう。
通りすがりの事件のため犯人の目処はなかなかつかず、原因となった女性は名乗り出ても来ない。

もどかしさが募る中、緑は自ら動き出す。
手がかりから探し出した女性は田中緑という同年代の主婦だった。

自分が結婚後に名乗るはずだった氏名。
もうすぐ自分が送るはずだった結婚生活。

唯木緑は田中緑に憎しみを募らせる。

一方田中緑は結婚生活の閉塞感に萎縮しながら毎日を過ごしていた。
専業主婦の枠に反感を持ちながらもなかなか行動に移せない。
それほど満足しているわけでもないのに今の生活を失う怖さから名乗り出ていく勇気を持てずにいた。

同じ緑の対比がお見事。
結婚後性が変わることへの女のジレンマもうまく取り入れられている。
これはきっと男性にはわからないだろうと思いつつ読んだ。

後書きで作者が一番書きたいのは女同士の共感、絆といったことを書かれている。

唯木緑と田中緑は全く相反する女ではない。
いつどちらになるかはその時次第。
反発したり共感したり・・。

女性心理の反映が巧くて毎回唸らせられる。

読了日:2011.1.29
★★★★☆

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ruru (02:04)

カテゴリ:国内ミステリー新津 きよみ

『新装版 マジックミラー』有栖川 有栖

余呉湖畔の別荘で女性の絞殺体が発見される。 疑わしき彼女の夫とその双子の弟には完璧なアリバイがあった。 犯人不明のまま時は過ぎるが、納得の行かない被害者の妹ユカリと推理作家の空知は探偵に調査を依頼し夫の行動を見張る。 そんな中再度別荘内で新たな死体が見つかり・・。

犯人はわかりきっている。
しかし、時刻表とにらめっこのアリバイ崩し、第二の事件の時間経過などトリックがなかなか手ごわい。
双子というミステリの王道パターンについては面白みがないのだが、トリックへの作者のこだわりをひしひしと感じた。

被害者の恵への想いが、夫は軽すぎ、空知は重すぎること。
また友人関係の希薄さなど人物設定には違和感を感じたが、ミステリということでは面白く読むことができた。

後書きにアリバイ講義の作例が載っていた。
気になるのでチェックしておいて後日読んでみたいと思う。

読了日:2011.1.28
★★★★☆

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2011年1月30日

ruru (10:50)

カテゴリ:国内ミステリー有栖川 有栖

『スウェ-デン館の謎』有栖川 有栖

ミステリ作家有栖川有栖は、裏磐梯にあるスウェーデン館と呼ばれるログハウスでの殺人事件に遭遇する。 雪の足跡、不明な動機・・有栖は犯罪学者火村を呼び寄せ謎に挑む。 火村&アリスの国名シリーズ第二弾。

順序バラバラで読んでいるが国名シリーズ第二弾である。
今回は長編。
馴染み深い裏磐梯が舞台で嬉しいが殺人事件なのでそうも言ってられないか・・。

スウェーデン館と呼ばれる山中のログハウスの離れで、客の女性が殺される。
足跡を見る限り被害者と第一発見者しか離れに足を運んでいないが、第一発見者である館の主はアリスと一緒にいたというアリバイがある。

雪の足跡という定番トリックなのだが意外な謎解き、しかし単純と言えば単純なトリックで納得。
まあ普通起きるだろうという疑問も大いにあるが。

人物描写が紋切り型で魅力ある登場人物がいなかったのは物足りないが、御馴染みの火村・アリスの軽妙なやり取りやテンポの良さで一気に読んでしまった。

読了日:2011.1.28
★★★★☆

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ruru (10:47)

カテゴリ:国内ミステリー有栖川 有栖

『彼女の命日』新津 きよみ

35歳の楠木葉子は、父の代わりに母と妹を養ってきた一家の大黒柱。 恋人からのプロポーズ翌日に、葉子は何者かに刃物で刺されて死亡した。 1年後の命日。別の女性の身体を借りて覚醒した葉子は、自分の死後の様子を知る為に家族の元へ向かう・・。

家族に対して強い責任感を持ちながら重荷にも感じていた葉子は、母や妹と恋人、そして自分を殺した犯人のことが気になって成仏できずにいた。

目が覚めると他人の身体の中。
その後葉子は命日の1日だけ、この世に戻ってこられるようになる。

死後誰かの身体を借りて覚醒するというのはありふれた設定だが、葉子が感じる家族や恋人への複雑な思い、自分がいなくても世界が回っていく空しさ、身体を借りたことで関わった女性たちの人生への関与など、女性心理や人間模様の機微の描写が巧く、飽きさせない。

葉子の気持ちで読むので、妹夏美にいらいらしたりもするのだが、腹を立てる一方心配でたまらない姉妹愛もリアルで共感できる。
葉子の死により成長していく夏美を憎らしく思いながらもつい見守ってしまうのである。

新津さんは女性の心理描写が本当に巧い。
樋口一葉に絡めてある設定も面白いと思った。

犯人探しよりも家族との絆に重きを置いているのでミステリとは一線を画しているが、スピード感もあって一気に読んでしまった。

読了日:2011.1.28
★★★★☆

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2011年1月29日

ruru (01:14)

カテゴリ:国内ミステリー新津 きよみ

『崩れる 結婚にまつわる八つの風景』貫井 徳郎

自堕落な夫と身勝手な夫に嫌気が差す主婦(『崩れる』)、昔の彼女の付き纏いに怯える会社員(『怯える』)、同級生と昔の彼氏の結婚祝いに呼ばれた結婚願望のない翻訳家(『憑かれる』)・・・等結婚にまつわる8編の短編集。

結婚というテーマを掲げてはいるが、登場人物もサスペンス要素も全て異なる短編集。
しかし、タイトルに統一性があるように一緒に纏めるにふさわしい作品群だった。

追い詰められていく人間心理の描写が秀逸。
主人公は主婦であったりOLであったり新婚の夫であったりと全く異なる人物像にも関わらず、どの人物の心理も緻密でリアルに表されている。
男性にも関わらずこれほど女性心理を巧に描ける作家はなかなかいないだろう。

平和な日常が揺らぐ一線はどこにあるのか?
ストーリーもすぐ隣にありそうな現実感を伴ったちょっと怖いサスペンス集となっている。

改めて貫井ファンになった1冊。

読了日:2011.1.28
★★★★★

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『廃墟建築士』三崎 亜記

廃墟専門の建築士である私は、経営手腕により成功を納めた弟子に対し複雑な思いを抱いていた。 それでも自らの信念を曲げずに廃墟を作り続けていたが、国のあちらこちらで"偽装廃墟"が見つかって・・。 表題作他建築物をテーマにした三崎ワールド短編集。

七階の消滅を決定した行政と住民の闘いを描いた『七階闘争』。
廃墟に魅せられ廃墟のみを新たに作っていくという『廃墟建築士』。
夜になると野生を取り戻す『図書館』と調教師。
蔵を略奪者から守り抜こうとする『蔵守』。

次から次へとよくこんな設定が思い浮かぶなあと驚かされる三崎作品。
在り得ない設定だらけなのだが、何故かするりと受け入れられるのは全くのファンタジーではないからだろう。

パラレルワールドと言っていいのだろうか。
現代の日本をベースに、ある価値観だけが少しずれたような世界観が絶妙。

世相や行政を揶揄したメッセージが込められているようにも感じるし、特に意味はなく現実感を含んだだけの幻想小説とも取れる。

登場人物たちは全て淡々とした性格で人間味がなく、その世界に存在している部品でしかない。
そのため感情移入することはなく、ただただその世界観を楽しむ小説である。

ふわりとした印象の作風は何故か癖になってしまうから不思議だ。
つかみどころのなさが唯一無二の魅力なのではないだろうか。

単行本で読んだのだが、装丁も作品イメージに合っていて良かったと思う。

読了日:2011.1.27
★★★★☆

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2011年1月28日

ruru (23:03)

カテゴリ:国内小説一般三崎 亜紀

『ウエザ・リポート』宇江佐 真理

宇江佐さんのエッセイ集。

時代小説しか読んだことがなかったので、現代口語の文章が新鮮(笑)
函館での暮らし、家族、作品の裏話など・・作品以上に作家さんを近くに感じられて楽しめた。

時代小説家のエッセイというよりはさばさばした一主婦の日記のような・・宇江佐さんらしい1冊。
ファンの方は是非ご一読を。

読了日:2011.1.28

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ruru (22:12)

カテゴリ:国内小説一般宇江佐 真理

『十日えびす 花嵐浮世困話』宇江佐 真理

八重は若い頃に親の反対で一緒になることができなかった三右衛門の後添えに入るが、幸せはつかの間、三右衛門は急死してしまう。 義理の娘おみちを連れて堀江町に移ったものの、癖の強いご近所との付き合いに金の無心ばかりの義理息子、賛成できないおみちの恋愛など頭の痛いことが山ほど続く。 そんな中でも心温まる出来事もあり・・。江戸人情物語連作集。

三右衛門の死により継子たちとの溝を感じた八重が、様々な出来事を経て少しずつ距離を縮めていく様子がゆっくりと描かれている。
また、何度も引越しを考えてしまう堀江町にも1年をかけて徐々に馴染んでいくのである。

副題に「はなにあらしよのなかこんなもの」とあるだけあって、シビアな物語である。
江戸時代は人情があって良かった、などとほっこりしないのが宇江佐さんらしい。

一つ解決すればまた新たな問題が起こる。
次から次へとやってくる難題に頭を抱え、時には泣いて時には笑って。
思いがけず心が明るくなることがあれば、不条理な出来事に頭をガツンとやられることもある。
これぞ人の一生である。

もう少しハッピーで明るい話にしても良いではないかとも思うが、現代にも通ずる等身大の人情物語として良い作品だった。

読了日:2011.1.22
★★★★☆

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2011年1月24日

ruru (20:52)

カテゴリ:国内小説一般宇江佐 真理

『悪貨』島田 雅彦

ある日ホームレスが手にした大金は精巧な偽札だった! その後大量に流通した偽札は日本経済に混乱を引き起こす。 独自の経済理論により偽札をばらまく男、男に近づき真相を探ろうとする女刑事、男の師が実践する宗教団体「彼岸コミューン」、日本そのものを買い取ろうと画策する中国人など多くの人間たちの思惑が乱れ・・。

よく新聞の書評で本をチェックするのだが、絶賛されている本は大体外れる気がする。
期待を持って手にする反動かもしれないが、こちらもその感は否めなかった。

リーマンショック後誰もが感じている経済の閉塞感。
資本主義への問いかけとして世相を反映した小説である。
ただ経済小説かというとそこまで掘り下げているわけでもなく、どちらかというとエンターテイメント小説なのだろう。

偽札が色々な人の手に渡っていき、取り巻く人物たちの視点がめまぐるしく変わっていく展開はスピード感があって読みやすい。
しかし、全体的には大味で読後あまり残るものはなかったように感じた。

まず「彼岸コミューン」の思想が物語の機軸にあると思うのだが、池尻の最期があっけなく、その後物語の中で尻つぼみ的に存在感をなくしていくのが勿体無い。

また「銭洗い弁天」などと仰々しい名前の割に活躍のない燕燕、野々宮と郭解の関係性もあっさりとしていて攻防にもスリルがないため、裏組織の存在感も薄い。

大体野々宮とエリカの陳腐な恋愛は必要なのかどうか。
切れ者のはずの二人(全編通してそうは思えないがそういう設定)が出会ってただ惚れ合うだけで、何の影響も与え合っていない。

フクロウなどはバックストーリーも面白く好きなキャラクターだったが、全体的に登場人物たちが多く、それぞれに魅力がないというかそこまで描かれていないというか・・。
もっと絞り込んで一人ひとりの人格に厚みが欲しかったと思う。

読みやすく一気に読めるのだが、結末もだからなんなんだという感想である。

読了日:2011.1.21
★★★☆☆

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2011年1月23日

ruru (03:46)

カテゴリ:国内小説一般その他の作家(一般)

『ブラジル蝶の謎』有栖川 有栖

資産家の弟が屋敷で殺害された現場の天井はブラジル蝶の標本が覆い尽くしていた。 事件の真相と蝶が表す意味とは。 火村&アリスの国名シリーズ。

国名シリーズを順序バラバラで読んでいるが、短編集なのでそれほど気にならない。
今回はブラジル蝶。

殺害現場と蝶という組み合わせは雰囲気があって良いのだが、トリックがどうもぱっとしなかった気がする。
もっと蝶の特性を活かした様なトリックでいって欲しかった。
このストーリーだと蝶である意味があまりないのではないか。

他の作品も読んでいる時は面白いのだが、唸るようなトリックというのは無かった。

さらっと読むには読みやすくて良かったのだが。

読了日:2011.1.21
★★★☆☆

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2011年1月22日

ruru (14:35)

カテゴリ:国内ミステリー有栖川 有栖

『スイス時計の謎』有栖川 有栖

二年に一度の同窓会当日、メンバーの一人が殺害され、揃いで持っていたはずの腕時計が無くなった。 現場にはガラスの破片が・・。犯人は何故腕時計を持ち去ったのか? 火村&アリスの国名シリーズ。

ダイイングメッセージ、首なし死体、密室殺人など4編から成る短編集。
短編ということもあって大掛かりなトリックはないのだが、バラエティに富んでいて読み応えがあった。

表題作は時計の謎のロジックが面白かったし、アリスの青春時代の思い出まで触れており遊び心があって良かったと思う。

火村&アリス、船曳警部ら御馴染みの登場人物たちということで、気楽に読めて楽しむことができた。

読了日:2011.1.18
★★★★☆

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2011年1月19日

ruru (14:25)

カテゴリ:国内ミステリー有栖川 有栖

『アラミスと呼ばれた女』宇江佐 真理

お柳は子供の頃から父親にフランス語を習い、いつか通詞となって想いを寄せる榎本釜次郎(武揚)の下で働きたいと考えていた。 女性の通詞など考えられぬ時代、釜次郎はお柳に男装をさせ、蝦夷へと伴う。 幕末の混乱期から函館戦争、明治初期にかけて男装の通詞として榎本への愛に生きた女性の一生を描く。

アラミスは三銃士からきているあだ名である。
男装して通詞と働くお柳だったが、フランス人の軍人たちには本当の姿を見抜かれていたようだ。

時代が大きく変わる幕末に、語学堪能な女性が榎本に尽くして・・という話なのだが、お柳の心情を追いながらも淡々と函館戦争と榎本の生き様を描いている部分が多いこともあり、感情移入しにくかったように思う。

お柳が折角語学堪能ながらも、芸者になったり男装して通詞になったりと、時代は移り変わろうとしていても、まだまだ旧時代に囚われている女の現実とジレンマを感じさせてくれるキャラクターとなっていて面白い。

しかし、お柳自体が語学を生かす夢を持っている女性というよりは、榎本に尽くすことのみが生きがいというような女性なので、男装してフランス軍人たちと共に幕府軍と戦場を巡るという特殊な経験をしながらも、結局は恋情に振り回される平凡な女としてしか内面が表されていないのが残念である。

函館戦争が書きたかったのか、お柳という女性の人生が書きたかったのか輪郭がぼんやりとしていた印象だ。

読了日:2011.1.17
★★★☆☆

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2011年1月18日

ruru (00:47)

カテゴリ:国内小説一般宇江佐 真理

『ライン』乃南 アサ

三浪のプレッシャーからパソコン通信の世界に逃げ込んでいた薫。 ハンドルネームKAHORUこと薫の周りで起こる殺人事件。 架空世界と現実世界の狭間で何が起こっているのか・・?

久しぶりの乃南アサ。
読みやすいので驚くほどすぐに読み終わった。

今や当たり前の題材となっているネット世界の怖さを取り上げた20年ほど前の作品。
そのためやや古さや物足りなさを感じるものの、展開のスピードが良く、ぐいぐい惹きこまれて一気に読んでしまった。

ネットという広い世界を取り上げながら身近な世界で展開していくのは単純すぎる気がする。
しかし、遠い顔の見せない世界だと好き勝手をしたところで意外と近くの現実世界と繋がっているものだという警鐘とも取れるかもしれない。

主人公の心理描写なども繊細に描かれていて全体的には面白かった。

読了日:2011.1.16
★★★★☆

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2011年1月17日

ruru (00:06)

カテゴリ:国内ミステリー乃南 アサ(ミステリー)

『占星術殺人事件 改訂完全版』島田 荘司

40年前に起こり、未だ謎が解かれていない猟奇殺人。 それは、画家である梅沢が6人の娘たちの肉体から完璧な女=アゾートを創るという小説を遺して殺害されるが、その後小説通りに娘たちは肉体の一部が切り取られた死体で見つかったというものである。 御手洗と石岡は事件を解決するために、関係者に会うべく京都へ向かう。

感想を一言で言うなら何と凝った小説か、といったところ。
綿密に設定された猟奇殺人の前提条件、犯人であろうべき梅沢の密室殺人、アゾート殺人と一線を化す長女の殺人、日本全国に散らばる死体発見現場などなど・・・何重にもトリックと謎が重なり合い絡み合って複雑な内容になっている。

御手洗と石岡が可能性を潰しあいながら推理していく過程ばかりだと、やや冗長的に感じてしまいそうだが、過去の書簡に話が飛んだり、別行動で動き回ったりと飽きさせない作りも良かった。
あまりに不可能に感じることが多いので、次々と登場する間接的関係者にも程よく気が飛ぶのも面白い。

事件が昭和11年のもので、解いているのも昭和54年と古いものなので違和感があるところもあるが、本格ミステリとしてはやはり評価が高いだけあって読み応えは十分。

期待が高くハードルが上がっていたこともあり、激しく心揺さぶられる・・とまでの感動はなかったが今更ながら読んでみて良かったと思う。

読了日:2011.1.15
★★★★☆

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2011年1月16日

ruru (00:21)

カテゴリ:国内ミステリー島田 荘司

『伊香保温泉殺人事件』吉村 達也

志垣警部と和久井刑事は"オリジナル全国湯けむりかるた"創作コンテストで優勝して伊香保温泉に招かれる。 湯めぐりをしながら伊香保温泉にたどり着いた二人を待っていたのは、主催者一行に起きた転落死事件と殺人メッセージの書かれたかるただった。

『八甲田山殺人事件』に続いて読んだシリーズ2冊目だが、2時間サスペンスのような軽いミステリが持ち味らしい。
登場人物たちのやり取りも無駄にノリが良く、どうも落ち着かない。

それでも推理をきかせながら読んでいたのだが、あまり面白い真相ではなかった。
残ったままの謎もありなんとなくすっきりしない。
小説を読んでいるというよりはサスペンスドラマを見ている印象で、物足りないものがあった。

軽く時間を使いたい時には良いかもしれない。

読了日;2011.1
★★★☆☆

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2011年1月15日

ruru (23:21)

カテゴリ:国内ミステリー吉村 達也

『憂き世店 松前藩士物語』宇江佐 真理

移封により浪人となった松前藩士の相田総八郎。 藩の帰封を願いながら、妻なみと江戸の徳兵衛店にてつつましい生活を送っている。 賑やかな近所の人たちと触れ合いながら若い夫婦は成長していく。

意識したわけではなかったが、直前に読んだ『桜花を見た』内『夷酋列像』と関係した作品だった。

『夷酋列像』は松前藩の帰封に尽力した家老蠣崎波響の物語だったが、今回は移封に合わせて解雇された一浪人の物語である。
波響の登場もある。

帰封を願いながらもかつかつのその日暮らし。
妻子のために内職に励む総八郎と地元から出てきて江戸に馴染んでいく妻なみを周囲の人々が暖かく見守る。

物語は武士の云々というよりは、裏店での人情話となっている。
舞台も北海道ではなく江戸のためタイトルのイメージとは違い、馴染み深い空気の小説だ。

貧しい暮らしに負けそうになったり、帰封を忘れて江戸に馴染んでしまったりと、揺れ動く一家の姿を10年以上の年月追い続ける。

最後はハッピーエンドながら切なさが残る結末。
いつも思うのだが、宇江佐作品は単純なハッピーエンドが少ない。
哀切物悲しいのも良さの一つではあるのだが、憎らしく思える時もある(苦笑)

読了日:2011.1.10
★★★★☆

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2011年1月11日

ruru (00:38)

カテゴリ:国内小説一般宇江佐 真理

『桜花を見た』宇江佐 真理

太物屋「いせ辰」の手代英助には誰にも言えぬ秘密があった。 それは、母親が遺言で北町奉行遠山佐衛門尉景元が父であると明かしたことである。 名乗り出る勇気を持てぬまま18歳になっていた英助に「いせ辰」の娘との縁談が持ち上がり・・。 表題作他江戸人情物語短編集。

『桜花を見た」は、遠山の金さんの隠し子の話である。
「いせ辰」の娘と結婚すれば、自分は完全に町人となってしまう。
1度は息子なのだと名乗り出たい、そして噂の桜の刺青を見たいと悩む英助。

遠山の金さん自体が歴史上の人物ながら作られたイメージができており、こちらの話もそういったイメージに沿った人物像で書かれている。

ぐずぐずとした英助に対し、体が不自由ながら思い切りの良い性格のお久美の組み合わせがお似合いで微笑ましい。

『別れ雲』は絵師歌川国直と年上女れんの恋物語。
人気絵師の国直はれんを一途に愛するが、店を再興したい父親は元の夫とよりを戻すようにれんに薦める。
お家再興と情熱的な年下の男の間で揺れる女心が現実的で切ない。

『酔いもせず』は北斎の娘お栄の話。
絵師として認められたいお栄は父北斎の影となっていることに不満を感じている。
それでいて、絵師である夫も父の弟子で自分の理解者である善次のことも父と比べてしまい受け入れることができない。

偉大な父を持つ娘の半生を書いたものでこちらも切ない話だった。

『夷酋列像』『シクシピリカ』は松前藩周りの話。
宇江佐さんが北海道なので松前藩を舞台とした作品が多々発表されている。

正直言って今まであまり縁がなく興味も薄かった松前藩だったが、最近詳しくなってきた^^;

こちらの二作は割と淡々と歴史上の人物を追ったような作り。
松前藩帰封のために力を尽くした蠣崎波響と蝦夷探検に情熱を注いだ最上徳内が主役である。

この二人も度々色々な作品に登場するので御馴染みになってきている。

今回は二作ともにたっぷりと彼らの人生を追っていて、人情物語というよりは歴史小説の趣きで、益々二人について詳しくなった気がして親近感が持てて面白かった。

前半は創作、後半は人物伝と異なる雰囲気を持つが、歴史上の人物というくくりで一冊にまとまったのだろう。
長屋での人情物語の方が好みではあるが、こういった作品も面白い。

読了日:2011.1.9
★★★☆☆

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2011年1月10日

ruru (21:38)

カテゴリ:国内小説一般宇江佐 真理

『富子すきすき』宇江佐 真理

赤穂浪士の討ち入りにより夫である吉良上野介を亡くした富子は、人生を振り返りながらかつての上野介の言葉を思い出していた。「富子すきすき・・」 表題作他全6作から成る江戸人情物語集。

表題作では、現代までも語り継がれる赤穂浪士の討ち入り後の吉良家を描く。
若き日の夫の愛情を支えに生きる妻、幕府の処置により表舞台から追いやられた息子たちのその後を憂う切ない物語になっている。
かなり感傷的ではあるが、夫を亡くし息子の不遇な身の上に苦しむ一女性の哀切が感じられる。

他の作品もあまり明るい話ではない。

『藤太の帯』は、俵籐太の百足退治を描いた帯が行く先々で持ち主にもたらす幸運の物語ではあるが、持ち主たちの悩みが重たく、からっとした気分では読めない。
しかしこれはまあまあハッピーエンドか。

『堀留の家』は親に捨てられた子供たちを育てる堀留の家に育った弥助らの親子の情を、『おいらの姉さん』は吉原での実らぬ恋、『面影ほろり』は少年市太郎の子供時代の切ない思い出、『びんしけん』は実直でもてない男の間の悪い恋を描いており、どれもふうとため息が出るようなストーリーばかりである。

表紙のイメージから勝手に明るい恋物語をイメージしていた反面か、肩透かしを食らった気分。
宇江佐さんは度々切ない話を書かれるので、いかにもと言えばその通りなのだが・・。

全体的に物悲しさ漂う一冊だったが、どれもまとまっていて読み応えは十分。

読了日:2011.1.7
★★★☆☆

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2011年1月 8日

ruru (01:24)

カテゴリ:国内小説一般宇江佐 真理

『死者が飲む水 改訂完全版』島田 荘司

札幌の実業家赤渡雄造の家に届いた二つのトランク。娘たちから両親へのプレゼントが入っていたはずのトランクの中身は赤渡自身のバラバラ死体に摩り替わっていた。 死因は溺死。 誰もが口を揃えて温厚な人間だったという赤渡が、何故このような酷い殺され方をせねばならなかったのか。 水戸と東京にいる娘を訪ねたまま消息を絶っていた赤渡の足跡を追って牛越刑事が東京へ飛ぶ。

御手洗シリーズかと思っていたら登場せず。
脇役の牛越刑事による地道な捜査と推理によって解決する作品だった。
そのためかスパッと解決せずにあちらこちらへ脱線し、途中やや冗長的に感じるところがあった。
まあ、牛越刑事の意外な活躍もなかなか面白い。

やや昔の作品のため、時代背景が古いがそれはあまり気にならない。
私は「そういえば東北新幹線ってなかったよなあ・・」などと懐かしい気持ちになったが、もっと若い人が読むと違和感があるかもしれない。

バラバラ殺人という猟奇的事件のような、時刻表を駆使したトラベルミステリのような、刑事が主役の泥臭い推理小説のような色々な要素が混ざっているので、展開と着地点が見えづらく落ち着かないものがあったように思う。

しかしトリックなどは凝っていていかにも島田荘司らしい作品だった。

読了日:2011.1
★★★☆☆

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2011年1月 7日

ruru (23:42)

カテゴリ:国内ミステリー島田 荘司

『上高地の切り裂きジャック』島田 荘司

腹を切り裂かれた女優の死体が上高地で見つかった。 すぐに容疑者は見つかるが、横浜にいたというアリバイがあり殺害を否定する。 御手洗潔が事件の真相に迫る。 表題作他『山手の幽霊』収録。

表題作は猟奇的な事件であまり気分よく読めず、謎解きについてもあまりすっきりしなかった。
トリック云々というよりは気持ち悪いというか・・個人によって見解が異なりそうである。
探偵役御手洗の登場が電話のみで点のみの存在感というのも物足りない。

『山手の幽霊』の方が、本格的なトリックで御手洗も活躍していて良かった。
ただ、中篇のためか独白で締められている部分を物語中で上手く読めた方が満足できた気がする。

御手洗シリーズを読んでみようと何冊かストックしているので、他の作品に期待したいと思う。

読了日:2011.1.1
★★★☆☆

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2011年1月 3日

ruru (10:06)

カテゴリ:国内ミステリー島田 荘司

『玄冶店の女』宇江佐 真理

妾宅が連なる玄冶店。 小間物問屋の主の世話で小間物屋を営む元・花魁のお玉、薬種問屋の隠居の世話になるお花、師匠の妾である芸者のお喜代ら日陰の女たちの切なくも力強い生き様の物語。

主に捨てられ、武士の青木との恋に悩むお玉、隠居に内緒で若い役者に入れあげるお花、病床の本妻を差し置いて後添えに望まれていることに納得できないお喜代。

同じ妾ながらそれぞれの悩みに胸を痛め、差さえあって生きる女性たち。
自分なりの生き方を貫こうという女性像がはっきりと浮き上がってきて引き込まれる。
後半登場してくるおゆりの存在も物語に深みを出している。

男性の影が薄く女性向けに偏っている気はするが、人情物の良さも味わえて面白かった。

読了日:2010.12.30
★★★☆☆

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2011年1月 1日

ruru (10:52)

カテゴリ:国内小説一般宇江佐 真理

あけましておめでとうございます♪

あけましておめでとうございます。

年末に1年の振り返り雑記を書くつもりでしたが、年が明けてしまいました^^;
ので。

お正月早々から2010年の読書を振り返りたいと思います。

昨年の読書と言えば

宇江佐真理イヤー

だったかと。

畠中さんの「しゃばけシリーズ」で久しぶりに時代小説にはまり、その流れで手に取った1冊『深川にゃんにゃん横丁』から始まった宇江佐作品の読書。

読みやすくて就寝前の読書に丁度良いことと、描かれる人情の機微に惹かれてはまってしまいました。

全作品読みきりたいとリストを作って読んできましたが、2010年中には読み終わりませんでした。
結構作品を出されているんですよね・・。
丁度2010年には『雷桜』が映画化されていましたが、こちらもまだ読んでいないので近い内に読まねば!


しばらくは時代小説はまりが続きそうですが、最近小説で現実逃避してばかりなので、大量の積読本となっているビジネス書や実用書も読んでいきたいと思います。

毎年振り返ってみると思ったほど読書できていないことが残念。

2011年も素晴らしい本や作家さんとの出会いを期待して、読書時間を作っていきたいです^^

それでは今年もよろしくお願い致します。

ruru

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ruru (09:56)

カテゴリ:雑記

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