2011年5月アーカイブ

『裏店とんぼ―研ぎ師人情始末』稲葉 稔

直心影流の使い手でもある元八王子千人同心荒金菊之助は、現在は浪人として長屋で研ぎ師をして暮らしている。 知り合いの子供の父親が殺されたことから、従兄弟である南町奉行所の臨時廻り同心横山秀蔵の協力を経て下手人を追っていく・・。

訳ありの元同心が貧乏長屋暮らしの中で関わる事件を現役同心と助け合いながら解決していく。
シリーズになっているようだし設定もおもしろそうだと思って手に取った。

人情あり、正義あり、斬り合いありといかにも時代小説なのだが、セリフや振る舞いだろうか、どことなく現代風である。
人情物とすると浅いし、剣豪物というほどの切り合いもなく、何となくむずむずしたまま話が進む。

そもそも菊之助の振る舞いが中途半端な印象である。
長屋のおせっかいにしては粘っこいし、人間関係も都合がよく運びすぎる気がした。
もっと心に染みたりはらはらしたい。

時代小説で面白い新シリーズを探しているのだが、こちらは個人的にはぱっとしなかった。
残念。

読了日:2011.5.29
★★★☆☆

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2011年5月31日

ruru (23:30)

カテゴリ:国内小説一般その他の作家(一般)

『世直し大明神<おんな飛脚人>』出久根 達郎

江戸の定飛脚屋十六屋の主人茂右衛門は清太郎とまどかに店を譲ることを決意。 そんな中江戸では安政の大地震が起こる。 激震後の十六屋の周囲では不穏な出来事が続き・・。

『おんな飛脚人』の続編。
すっかり十六屋の中心となったまどかと清太郎は益々店を守り立てようと仕事に精を出す。

そんな時安政の大地震が起こり、店にも被害が。

丁度こんな時なので大地震の描写はあまり読みたくないものがあったが、基本的には江戸人情物語なのでなんとか読んだ。

十六屋の主人茂右衛門とふさは、清太郎とまどかを夫婦養子にして店を譲ることを考えるが、今回は途中で地震が起こってしまい店や二人のその後については曖昧なまま終わってしまった。
含みを持たせた終わりなので続編があってもよさそうだが、今のところ出ていないよう・・。

清太郎とまどかが盛り立てる飛脚問屋物語も面白そうなので続編に期待。

読了日:2011.5.22
★★★☆☆

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2011年5月24日

ruru (00:07)

カテゴリ:国内小説一般出久根 達郎

『おんな飛脚人』出久根 達郎

足の速さが自慢のまどかと清太郎は同じ日に飛脚問屋十六屋で働き始める。 主人の病気が原因で飛脚が逃げ出してしまった十六屋で、二人は即戦力として活躍していく。 二人にはそれぞれ飛脚になった理由があって・・。 飛脚が運ぶ手紙と人情の物語。

珍しい女飛脚人という設定。
飛脚問屋でも町でもすんなり受け入れられていくのはやや違和感があるものの、珍しい主人公で面白い。

手紙を運ぶ中での人間ドラマ、主人公のまどかと清太郎の恋物語、二人の隠された背景など読みどころがたくさんあって楽しかった。
飛脚問屋の様子も想像ができて良かった。

確かに手紙には様々なドラマが詰まっているわけだから話は広げやすい。
出久根さんの時代小説はどうも淡々としているのでほろりときたり笑ったりという喜怒哀楽には乏しいのだが、飛脚を中心に眺める江戸風景をたっぷり楽しむことができた点では面白い時代小説だった。

読了日:2011.5.21
★★★☆☆

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2011年5月23日

ruru (23:41)

カテゴリ:国内小説一般出久根 達郎

『たった1分で人生が変わる 片づけの習慣』小松 易

”かたづけ士”なる著者による片付け本。

片付け方と心の持ちよう。
そこから変わる気持ちや人間関係。

すぐ読み終わる軽い本だった。
片づけが苦手な人が読むとどうなのかわからないが、自分がそうでもないので当たり前のことばかりの印象だった。
片づけをするようにすれば、人生を変えられるーというのは確かにあるとは思うので苦手な人は読んでみてもいいかもしれない。

面白かったのは、

・脳は21日間同じ動作を繰り返すことで、その行動を「習慣」として認識する。

というところ。

頭に入れておこう。

読了日:2011.5.
★★★☆☆

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ruru (23:18)

カテゴリ:ビジネス・自己啓発

『孤舟』渡辺 淳一

大手広告代理店を定年退職した威一郎を待っていたのは、暇を持て余し妻と衝突する日々だった。 第二の人生の有意義な過ごし方とは・・。

定年退職後燃え尽きたように目的を失う人も多いというが、それにしてもこの主人公はひどい。
家族の気持ちの方が共感できる。

定年後戸惑いながらも第二の人生を歩き始める話かと思って読んでいたが、いつまでもぐだぐだと堂々巡りしているだけで疲れた。
しかも浮上していくきっかけがデートクラブっていうのは何なんだろう・・。
連載が「マリソル」だったようなので何か計算があったのか、著者流に恋愛を入れたかったのか。

若い女性との会話で気が晴れるのはわからなくもないが、もう少し合理的かつ前向きに物事を考えて欲しいのだが。
悲哀というには長々と続くし、なんだか精気が吸い取られるような小説だった。

同年輩の方の感想はどうなのだろう。
実家の父が読んでいたようだが、共感したと言われたら怖いので感想は聞かないようにしようと思う(苦笑)

読了日:2011.5.
★★☆☆☆

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2011年5月11日

ruru (00:06)

カテゴリ:国内小説一般その他の作家(一般)

『意外に日本人だけ知らない日本史』デュラン れい子

『一度も植民地になったことがない日本』からの第3弾。
第2弾もあったらしいが、書店ではこちらと二冊並んで売られていたので気づかずに購入してしまった。
しかしエッセイなので飛ばしたところで特に気にはならない。

今回もタイトルと中身はやや不一致。
日本史の話ではあるが、"外国人との会話で気づいた日本史"といった程度のエッセイ集である。

一歩外へ出てみると気づかされること、外国人との会話から日本がこんな風に見られていると知ることの面白さがある。

日本人はディテールにこだわるという箇所には笑った。
確かにキャラ弁などは日本独特な気がするし、それに南米の人が合わせるのは大変そう。

日本の良いところや悪いところ、常識となっていること意外と知らないこと。
著者と考えが異なるところもあるが、1つの見方として気づかされることもあって面白かった。

読了日:2011.5.
★★★★☆

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2011年5月10日

ruru (23:41)

カテゴリ:エッセイ・随筆・対談

『一度も植民地になったことがない日本』デュラン れい子

特に政治的な話ではなく、ヨーロッパに30年以上住む著者のエッセイ集である。
夫はスウェーデン人でオランダ・フランスに在住。
様々な国籍の人と海外で触れ合う中で知る"外から見た日本"を軽いタッチで紹介している。
タイトルは「日本という国をそういう見方で見ている外国人に会いました」というところからついているだけである。

政治的なことからふとした習慣まで、内容は多岐に渡っている。
「○○人はこうだ」的紋切り型の話もあれば、個人レベルでの体験からくる理解や誤解などもある。

海外で外国人と会話をすれば、どんな一般人でも"日本代表"となってしまう。
日本人に好意的な人もいれば悪意を持っている人にも出会う。
日本に生まれ育っていてもいざ問われるとわからないことも多いものだ。
奮闘する著者の心情が伝わってきて、共感したり同情したり、時に反発を感じたりと楽しく読めた。

特別気負って読む本ではなく、さらっと気軽に読める本。
日本にずっといては気づかないことも多く、視野が広がって面白い。

読了日:2011.5.4
★★★★☆

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2011年5月 7日

ruru (16:43)

カテゴリ:エッセイ・随筆・対談

『柴笛と地図』三木 卓

敗戦後中国から着の身着のまま引き揚げてきた加納一家。 高校生となった豊三は社会科学研究部で社会運動に参加し、文芸部で小説を書く。 不自由な左足への劣等感を抱えた貧困生活の中で、感性豊かな高校生活を送る豊三の青春。

『裸足と貝殻』続編。

前回は、餓死寸前で中国から引き揚げてきた加納一家が故郷の静岡に落ち着くまでが描かれていた。
母は教職に就き、祖父は野天理髪師となり、兄は東京の大学へ進み、豊三は中学を卒業した。

敗戦と貧困は子供にも様々な影響を与え、強制的に精神を鍛え上げていく。
現代との精神年齢の差は驚くほどだが、これは著者の分身豊三だけではないだろう。
混沌とした社会の中で、子供たちは政治や思想、国の在り方までに心を砕き、自分の生活向上を望んでいる。
こうした深慮に満ちた青春時代を過ごした青年たちが、その後の高度成長期を支えていったのだろう。

不自由な左足に劣等感を抱え、父親もなく貧しい生活を送る豊三は、自然と共産主義へと傾倒していく。
豊三はただの高校生でそれほど深入りをしていたわけでもないが、党員獲得の経緯や社会での有り様などを少しは理解することができた気がする。

豊三自身は党への疑心をぬぐうことができず、フェードアウト。
部活動も社会科学研究部から文芸部へと場を移していく。
所詮末端の党員の面倒までは見てくれぬだろうという冷静な気持ちは、子供ながらも生活に根ざした現実主義者だ。

勉強に、読書に、音楽に恋。
個性豊かな先輩や友人との交流の中での豊三の青春は充実感に満ちている。
問題は山積みで生活自体は厳しいものだが眩しさを感じるほどだ。

前作は中学卒業で、今作は高校卒業で話は終わる。
まだまだ先が読みたい気持ちになるが、続編は出ていないようだ。
豊三のその後は著者自身の作品に見ることができるのかもしれない。
こちらの作品も豊かな感性と細やかな心理描写が心地よいものだったが、他の作品もきっと素晴らしいだろうと期待できる。
実はこの2冊まで読んだことがなかったのだが、今後色々と読んでみたい。

読了日:2011.5.2
★★★★★

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2011年5月 3日

ruru (12:50)

カテゴリ:国内小説一般三木 卓

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