2011年7月アーカイブ

『灰色の虹』貫井 徳郎

見に覚えのない殺人罪で服役した江木雅史は、出所後彼を追い込んだ人間たちへの復讐を誓う。 刑事・検事・弁護士・裁判官・・次々と殺されていく被害者の繋がりに気付いたのは、復讐を胸の奥に押さえ込んだ一刑事だった。

今回のテーマは冤罪。
気弱な青年が自白へと追い込まれ、してもいない殺人の罪をかぶせられてしまう。
さすが筆力の高い貫井さんだけあってこの追い込まれ方の圧迫感がすごい。
恐れ・焦り・希望・諦め・・江木と共に読んでいる方もギュウギュウと胃が絞り込まれるように追い込まれていく。

暴力的に自白を迫る刑事、事務的に処理するのみの検事、やる気のない弁護士、目立ちたがりの目撃者。
彼らに大きな悪意はないが、一人ひとりの不誠実さの積み重ねが江木とその家族の人生を破壊していく様が恐ろしい。

各章ごとに被害者の視点へと変わることで、それぞれの人生や人となりが浮かび上がってくる構成が面白い。
ただの悪人・被害者ではなく、彼らには彼らなりの正義や生活があることで復讐がもたらすむなしさが生々しく強調されていく。

対峙する刑事山名の存在感がもう少し欲しかったことと、結末の予想がついたことはやや残念だが、テーマに沿った重厚なミステリで読み応えがあった。

法律が人を裁くことは一見公正に思えるが、一度その枠内に囚われてしまうと逃れることができない恐ろしさがひしひしと伝わってきた。
これはミステリだが、実際にもまだまだ冤罪事件は多くあるように感じてぞっとしてしまった。

読了日:2011.7.30
★★★★★

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2011年7月31日

ruru (12:51)

カテゴリ:国内ミステリー貫井 徳郎(ミステリー)

『幸福の方程式』山田 昌弘

消費という観点から幸福感を考える。
物質的豊かさと幸福は関係しないとわかっていながら、我々が消費活動を続けるのは何故なのか。

景気の悪化と共に消費は消極的なものへと変貌している。
買い物という幸福活動から飢えや苦痛から逃れるための消費が主になってしまっている。

しかしながら趣味には惜しみなく金を費やす。
生活を豊かにする消費から個人によって価値が変わるオタク的消費へ。
これらは自尊心を満たす幸福。
自分一人の満足感である。

もう1つの幸福は他者からの承認にある。
他人とのつながりのための消費などがあげられる。
お金を払ってのボランティアなどが流行しているのも自分を認めて欲しいから。

かつては不便さを補う商品を購入できることが幸せだったが、現在は物が溢れて不便さを楽しむ時代になった。
手書きや家庭菜園、手作りにはまる。


などなど・・。
消費の内容は時代と共に変わるし、人々の幸福感も変わる。
幸福は自分の中にしかないにもかかわらず、他者とのつながりがなければたどり着けないところがややこしくも面白いところか。

宗教的・哲学的でなく社会学的な幸福本なので好き嫌いはあるかもしれない。

読了日:2011.7
★★★☆☆

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2011年7月21日

ruru (00:32)

カテゴリ:ビジネス・自己啓発

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