2012年5月アーカイブ

『ジーヴスと朝のよろこび (ウッドハウス・コレクション)』P.G. ウッドハウス

苦手な人々が集うスティープル・バンプレイには絶対に行きたくないバーティー。 しかし魚釣りがしたいジーヴスは、パーシー伯父さんからの相談を受けて否応なしにバーティーが出かけざるを得ない状況を作り出す。 案の定、かの地ではとんでもないごたごたがバーティーに襲い掛かり・・。

相変わらずの富裕層のおばかなどたばたをジーヴスの頭脳で解決していく展開。
毎回恋愛、焼きもち、年長者の誤解、子供のいたずらと同じパターンなのでそろそろ飽きてきた。

もう少し色々なパターンでジーヴスの頭脳を活かしてもらいたいものだが、パターン化されているからこそ面白い部分もあるので仕方ないのかもしれない。

使用人の立場ながら主人を意のままに操るジーヴスの余裕が愉快。

順序バラバラに読み進めているが、それほど問題はないようだ。
次はしばらく空けて読んでみようかと思う。

読了日:2012.5.27
★★★★☆

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2012年5月30日

ruru (22:36)

カテゴリ:海外小説一般P.G. ウッドハウス

『サンキュー、ジーヴス (ウッドハウス・コレクション)』P.G. ウッドハウス

バンジョレレに熱を上げるバーティーにジーヴスが辞表を提出した! しかしロンドンのフラットから友人チャッフィーのコテージへ移ったバーティーは、新たにチャッフィーの執事となったジーヴスと再会するのだった。

今回は何と最初にジーヴスがバーティーの元を去ってしまう。
しかしチャッフィーの領地で起こる相変わらずのどたばた騒動を解決するために、バーティーはジーヴスと共闘。
いつもと代わり映えしない展開となり、最後は無事ジーヴスも戻ってきて一件落着となる。

時代を感じるような(現在ではこれはどうなのかと思うような)内容もあるが、とにかくくだらなくて笑える。
いつもどこか足りなくて可哀想な目に合うバーティーだが、少しは良いこともあった様子なのでまあ良しというところか。

読了日:2012.5.
★★★★☆

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2012年5月29日

ruru (22:03)

カテゴリ:海外小説一般P.G. ウッドハウス

『よろずや平四郎活人剣〈上〉 〈下〉 』藤沢 周平

千石旗本神名家の末子平四郎は、実家を出て裏店で「よろず揉め事仲裁」の仕事を始める。 夫婦喧嘩に人探し、商売上の揉め事など・・仲裁をする中で見えてくる市井の人々の様々な人生。 一方目付である兄監物は鳥居耀蔵を張る仕事を平四郎に手伝わせるのだった・・。

平四郎はのんきな旗本の冷や飯食いだが、剣の力は抜きん出ている。
兄監物に呼び出されての護衛は億劫だし、仲裁稼業は弁論で済ませたいと思っているがそうは行かない。
ほとんどの場合斬り合いが発生し、腕前を見せつけてくれる。

人情あり、ちゃんばらあり、歴史的な絡みありと盛りだくさんの連作集。
町に溶け込みながら成長していく平四郎の自立までを追うことができて面白い。
元許婚の早苗の存在も話に深みを持たせている。
真面目で人の良い北見や自分勝手だが憎めない明石といった道場仲間の存在感も大きい。

からっとした気分で読める時代小説で一気に上下巻を読んでしまった。
もっと続きがあっても良さそう。

読了日:2012.5.
★★★★☆

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2012年5月28日

ruru (22:02)

カテゴリ:国内小説一般藤沢 周平

『ルポ 資源大陸アフリカ 暴力が結ぶ貧困と繁栄』白戸 圭一

毎日新聞社ヨハネスブルク特派員だった著者の体当たり取材によるアフリカルポ。
最初から最後まで衝撃の嵐。

まず、たった一人でサハラ砂漠以南48カ国を担当するという途方のなさ、命をかけた取材の過酷さ、危険を顧みず飛び込んでいく記者魂に驚かされる。

それでいて日本で紹介される記事はごくわずか。
確かに日本の新聞でアフリカに割かれるスペースは小さい。
この本を読むまで深く考えたことはなかったが。
アフリカ大陸は広く、日本にとってはまだまだ遠いということを痛感した。

何とかアフリカの実情を知って欲しいという著者の情熱がひしひしと伝わってくる。
おそらく自分自身が一番知りたい気持ちが強いのだろう。

アパルトヘイトが崩壊しても格差は広がり犯罪が増え続ける南アフリカ共和国。
石油輸出で潤うナイジェリアが生み出す組織犯罪。
虐殺が続くコンゴ、国民が政府軍に襲われるスーダン、無政府地帯となったソマリア。

いくつかのアフリカの国について「先進世界と途上国を結ぶ暴力」「格差を下敷きとした暴力」という二視点でまとめられているが、平和な日本に暮らす自分には想像を絶する暴力が蔓延していることにどうしたらいいのかという自問と悲しみを深く感じた。

強盗、殺人、レイプ、人身売買、汚職、内戦、虐殺・・激しい暴力が子供から老人までを容赦なく襲う。
それらは貧富の差や民族の違いによるものだけではない。
欧米諸国の思惑で武器が流れ、中国から流れるオイルマネーは非人道行為を助成している。
日本も例外ではなく、石油を輸入することで手を貸していることに変わりはないとも言える。

濃密なルポタージュだが、あまりに予備知識がなさ過ぎてもっと知りたい気持ちばかりが残った。
おそらくもっと情報は貯蓄されているのだろうから、是非もっと本を出して欲しい。

読了日:2012.5.
★★★★★

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2012年5月19日

ruru (20:38)

カテゴリ:社会・ルポ・ノンフィクション

『破船』吉村 昭

貧しい漁村に暮らす伊作は、3年の年季で身売りしていった父の留守を預かり漁に励んでいた。 村ではどの家でも家族の誰かを身売りした金でぎりぎりの生活をしており、皆「お船様」を待っている。 この村は船の難破を誘い奪った積荷を分配することで、何とか生き延びてきたのだ。 二冬続きの「お船様」に沸いた村だったが、その船は大きな厄災を運んできたのだった・・。

吉村昭の小説の読後はいつもひれ伏したい気持ちでいっぱいになる。
淡々とした叙述的な文章の中に常に"人間"そのものが描かれていて、その内容にも巧みさにも衝撃を受けるからだ。

波打ち際で流木を集めながら「家に運べばかなりの薪ができるのに、死人を焼くのに使ってしまうことが惜しく思えた。」9歳の少年。

人の死を悼む思いもわかないほどの貧しさ。
読み始めてすぐに村の状況を想像することができる。

絶望的なまでに貧しい暮らし。
たった9歳の子供が一家を背負い、船を襲う日を心待ちにしている。
兄弟は飢えで死に、自分も友人も、思いを寄せる少女もやがて売られていくとわかっている。
病気や怪我を負った人間に分ける食料はなく、誰かが死ねば食い扶持が減ったと感じる。

物語は、伊作の視点から父がいない3年間を、同情や悲しみなどが入り込む隙がないほどひたすら残酷に救いなく淡々と綴られていく。
飢えと戦う日々、村の閉塞感と連帯、遂に来た「お船様」への興奮と緊張、つかの間の安息、村を襲った悲劇・・。

吉村昭と言えばノンフィクション小説だが、これも元になった話があるのだろうか。
時代はどうやら江戸らしいが、島の小さな集落の閉ざされた習俗として実際にあったのかもしれない。

結末も秀逸。
気持ちは晴れないが、唯一伊作の希望が見えた気がした。

読み出したら止められないし、読んだら気持ちが沈むことは間違いない。
鬼気迫る人間の"生"には恐ろしさすら感じた。
しかし本当に小説として素晴らしい一冊だった。

読了日:2012.5.
★★★★★

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2012年5月18日

ruru (20:45)

カテゴリ:国内小説一般吉村 昭

『龍を見た男』藤沢 周平

荒々しいはぐれ漁師の源四郎は、最近甥の虎蔵を自分の船に乗せている。 妻のおりくは近くの寺へ安全祈願に行くことを提案するが、神仏を信じない源四郎ははねつける。 そんな中不意の事故で虎蔵は海に沈み、一人漁に出た源四郎の船も沖へと流され・・。『龍を見た男』他9編。

主人公たちは町人、泥棒、漁師、武士などと様々だが、それぞれの喜びや悲しみ、意地や信念など人間の心情が繊細に描かれている珠玉の作品集となっている。

意地を張り合う兄妹の仲を取り持つ口の聞けない音吉の心に打たれたり(『帰ってきた女』)、隣の家に遊びに来る少女が売られたことを知って心を砕く老夫婦の人情にじんときたり(『弾む声』)、妻の過去が急に気になりだした下駄職人清兵衛の心の動きから夫婦のあり方に心を寄せたり(『女下駄』)、絶縁した友人が切腹したと聞き名誉回復に走り回る助太夫に武士の頑固さと男の友情を感じたり(『切腹』)・・・とそれぞれ全く異なる雰囲気の短編小説集なのだが、どれも読み応えがあって良い話ばかりだった。

今更藤沢周平をあれこれ評すのはおこがましいし、何も言うこともない。
極上の読書時間を過ごさせてもらった。

読了日:2012.5.
★★★★★

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2012年5月17日

ruru (21:06)

カテゴリ:国内小説一般藤沢 周平

『でかした、ジーヴス!』P.G. ウッドハウス

口うるさいアガサ伯母さんの邸宅へ三週間滞在することになったバーティー。 伯母さんが客のフィルマー閣下のために行儀良くすることを強いたり、アメリカに行ったはずのビンゴが何故か従兄弟トーマスの家庭教師をしていたり、そのトーマスはお客に大きないたずらを計画していたりと悩ましいことが多い。 バーティーはビンゴが仕事を続けられるようにトーマスのいたずらを何とか阻止しようと努力するが・・。

恋に仕事に親戚関係に・・ドタバタ揉め事が起こっても必ずジーヴスが解決してくれる。
憎めないおばかなおぼっちゃまたちと切れ者執事のユーモア小説。

このシリーズの面白いところは、お金持ちたちのばかばかしい悩み事がどんどん悪化していく過程と、最後にはジーヴスがまとめて軽く解決してしまうところにある。

ジーヴスは時に丁重に主人であるバーティーを軽んじる。
この辺りのご主人と執事のパワーバランスが肝。

ただただ楽しんで読める小説で最近気に入っている。
日本で発売されている分は全て読んでみるつもり。

読了:2012.5.
★★★★☆

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2012年5月16日

ruru (22:36)

カテゴリ:海外小説一般P.G. ウッドハウス

『比類なきジーヴス』P.G. ウッドハウス

バーティーの旧友リトル・ビンゴは常に恋に落ちている。 しかしそれは常に不相応な恋のため、伯父さんからの生活費を止められる危険も秘めている。 バーティーは執事ジーヴスの知恵を借りて彼の危機を救おうとするが・・。

『よしきた、ジーヴス』が面白かったのでシリーズの1巻目を読んでみた。
と言っても邦訳の順番の問題なのか、内容的には最初と言うわけではなさそうだ。

こちらは短編集。
友人や親戚らに振り回されるバーティーが、自ら知恵を絞って事態を悪化させたり、ジーヴスが完璧に始末したりの繰り返し。

一向に反省のないバーティーやその友人らお金持ち連中のばかばかしい日々も、彼らを手のひらで踊らせてしまうジーヴスの解決策もユーモアに満ちていて面白い。

結局ジーヴスの思い通りに事が運ぶという展開がお決まりのパターン。
バーティーのセンスの悪いファッションアイテムが始末されるのも毎回同じ。

途中どんなに事態が悪化しても必ず解決(または逃走?)するので安心して読める気楽な小説だ。

時代の古さをあまり感じることもなく、一昔前のイギリスの雰囲気を何となく思い浮かべれば十分楽しめる。


読了日:2012.5.
★★★★☆

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2012年5月15日

ruru (22:35)

カテゴリ:海外小説一般P.G. ウッドハウス

『酒田さ行ぐさげ 日本橋人情横丁』宇江佐 真理

廻船問屋網屋の江戸店を酒田の出店の番頭権助が尋ねてきた。 江戸店の一番番頭栄助は、ぐずでのろまな朋輩権助を馬鹿にしていたものだが、久しぶりに会った権助は酒田で成功し、美しい妻を伴い羽振りが良かった。 妬みを感じた栄助だったが、権助の心情を聞いて複雑な気持ちとなる。『酒田さ行ぐさげ』他6編の時代小説集。

日本橋を舞台にした江戸人情物語集。
宇江佐さんにしては珍しくじめっとした暗さが少ない。
表題作『酒田さ行ぐさげ』はやや物悲しい終わり方だが他の作品は割とすっきりした人情物ばかりでほっとできる。

意地の悪い両親がいれば、可愛がってくれる夫婦や人生を教えてくれる師がいる。
生活が落ちてうらびれても、互いに助け合い凛として生きることができる。

江戸の町での濃密な人間関係にほろりときたり、人の強さを感じたり。

一話一話趣が違って楽しめたのも良かった。
久しぶりに読後感が良い宇江佐さんの短編集だった。

読了日:2012.5.2
★★★★☆

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2012年5月 3日

ruru (20:24)

カテゴリ:国内小説一般宇江佐 真理

『よしきた、ジーヴス』P.G. ウッドハウス

二ヶ月間のカンヌ休暇から戻ったバーティー。 主人を迎えた執事のジーヴスは、バーティーの友人ガッシーから恋愛相談を受けていることを打ち明ける。 自分のお気に入りのメスジャケットを受け入れず、周りから頼られるジーヴスに対抗して、バーティーは友人の悩みは自分が解決するのだと張り切るのだが・・。

有名なシリーズだが今回初めて読んだ。
1作目ではないはずだが、こちらから読んでもそれほど問題なく読むことが出来た。

ジーヴスシリーズには短編集もあるようだがこちらは長編。
要領の悪い主人の周りで起こる問題を冷静沈着な執事が解決していくユーモア小説である。

この作品では、イモリ好きの変人ガッシーから詩的少女趣味のバセット嬢へのプロポーズ、婚約破棄をした従姉妹のアンジェラとタッピーの関係修復、ダリア叔母さんがトム叔父さんから事業の資金援助を受けるための手伝いと大きく分けて3つの問題が横たわっている。

善意をもって役立とうとバーティーが動けば動くほど事態は悪化して人間関係はもつれていく。
とうとう最後にジーヴスに任せると、全てが一夜で解決してしまうというあっけなさ。

人は良いがどこか抜けている主人バーティーと完璧執事ジーヴスの会話がウィットに富んでいて面白い。
ジーヴスは控えめながら決して自分の考えは曲げない。
二人の間で問題となっていたメスジャケットの最後の運命といったら・・!

バーティーによるかき回しが長すぎて途中にやや飽きはきたものの、会話や展開がユーモアたっぷりで楽しめる。
だめな方へだめな方へと事態を混乱させていった始末を、本人を利用してしれっと解決してしまうジーヴスの完璧ぶりが笑える。

世界で確固たる評価を受けているのもわかる。
古き良きイギリスを舞台にした気楽に楽しめる娯楽小説だ。


読了日:2012.5.1
★★★★☆

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2012年5月 2日

ruru (15:23)

カテゴリ:海外小説一般P.G. ウッドハウス

『海に帰る日』ジョン バンヴィル

妻を亡くした老美術史家マックスは、心の傷が癒えぬまま子供の頃を過ごした海辺の町へと向かう。 妻との最期の日々、幼き頃海へ消えた双子の姉弟の記憶が交錯し彼を翻弄するー。

最近新潮クレストブックが面白く、遠ざかっていた海外小説に興味を持ち始めていたのだが、こちらはあまり好みでなかった。

最愛の妻の死から立ち直れないマックスは、自分の根を求めて海辺の街へとやってくる。
あちらこちらで蘇る子供時代の記憶。
交錯する妻との思い出と最期の日々。

老年を迎えた男が妻を亡くした苦しみを子供時代のもう1つの死と重ね合わせながら回想していく。
繊細な心理描写は良いのだが、あまりに長く現代と過去の行き来が続くことと、うす暗い作品の雰囲気がどうも好きになれなかった。

訳の加減もあると思うが、海外小説によくある詩的で情緒豊かだが退屈な小説という印象。
悪くはないのだが、読み進めるのに骨が折れる作品だった。

読了日:2012.4.30
★★★☆☆

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2012年5月 1日

ruru (10:34)

カテゴリ:海外小説一般その他の作家(海外小説一般)

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