2013年5月アーカイブ

『糸車』宇江佐 真理

深川・常磐町にある宇右衛門店の店子お絹は、元松前藩家老の妻。
何かと気にかけてくれる同心持田や贔屓客の手を借り、小間物の行商をしながら行方知れずの息子勇太郎を探している。
息子の失踪は夫の死の秘密と関係があるようなのだが・・。

江戸人情物だが、しんみりとした作品。
最近宇江佐さんの作品は無常で切ないものが多いように思う。

以前は温かさと切なさのバランスがもう少し自分好みだったのだが、最近は読了後に寂しい気持ちになってしまう。

とは言え、町人との触れ合いや助け合い、家族のあり方や一人の女性の生き方など色々な要素を綺麗にまとめた連作短編集となっているところはさすがである。
あとは好みの問題か。


読了日:2013.5.30
★★★★☆

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2013年5月31日

ruru (15:42)

カテゴリ:国内小説一般宇江佐 真理

『残火』西村 健

伝説の極道花田秀次によって議員会館から闇献金1億円が盗まれる。
議員関係者、極道、警察が追う中、花田は北へと逃避行を続ける。
足を洗い穏やかに暮らしていたはずの花田に何があったのか。
その心中には壮大な計画が秘められていた・・。

昔気質の任侠極道花田の最期の一花。

経済やくざとなった弟分の矢村、定年退職した元マル暴刑事久能という旧知の二人に追われながら、一路目的のために進み続ける。

最後の最後まで花田の真意が読めず、ハイスピードな展開で一気に読了。

男たちの義侠心、姐さんの格好良さや銃撃戦など、痛快で派手な仁侠映画のような内容。

解説によれば高倉健の仁侠映画や昔の映画を知っていればなお楽しめるよう。
残念ながらどの作品も観たことがなく白紙状態で読んだのは魅力半減だったかもしれない。

"日本冒険小説協会大賞"受賞作ということで、冒険小説と言われれば確かにそうかと思う。

からっと読める娯楽小説として単純に面白かった。


読了日:2013.5.29
★★★★☆

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ruru (15:27)

カテゴリ:国内小説一般西村 健

『盤上の夜』宮内 悠介

「わたしは、この世界を抽象で塗り替えたいんですー」
四肢を失い囲碁盤を感覚器とするようになった由宇。
相田という支援者を得て囲碁界に名を残すが・・。
表題作『盤上の夜』他盤上の人知を超えた現象を追う連作短編集。

一人の記者が囲碁、チェッカー、麻雀、将棋などボードゲームの忘れられない一局を取材していくという流れ。

五感を研ぎ澄まし、精神を注ぎ込んだ対局からは人知を超えた現象が生まれる・・。

感覚的なものと連動するというのは理解できるし、卓上遊戯に限定してこれだけ掘り下げた物語を作っていく力はすごいと思う。

ただ個人的な好みで言えばあまり好きではない作品だった。

1話だけならまだしも、度々肉体的な欠損や精神病を用いているところが気に入らない。
安易といえば安易ではないか。

文章は巧く、独特の雰囲気はあるので他の作品も読んでみたいとは思う。


読了日:2013.5.
★★★☆☆

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『謎解きはディナーのあとで』東川 篤哉

宝生グループのお嬢様宝生麗子は国立署の新人刑事。
上司もまた風祭モータースの御曹司風祭警部。
そんな二人が直面する難解な事件は、常に麗子の執事である影山が見事な推理で解き明かしてくれるー。

ドラマ化もされたお嬢様刑事&執事探偵の連作ミステリ。

この特殊な設定が魅力であるべきだろうが、どうも活きている気がしない。
現場で次元の低いやり取りをするだけの風祭警部の必要性は感じられず、ましてや御曹司である意味がどこにあるのか。

言動やファッション、果てはディナーのメニューまで全てにおいて庶民的な麗子をご令嬢だと繰り返すのも違和感がある。
バーバリーやキャビアが金持ちの証という中途半端な描写をスルーした編集者に憤りを感じるほど。

執事という設定が欲しかったのだと思うが、この一冊を読む限り熱血女刑事と冷静な後輩刑事コンビの設定で十分だろう。
その方が話もすっきりしそうだ。

ミステリ部分は悪くないのだが、この中途半端な設定と無駄に多い説明文に邪魔をされてすらすらと読めない。
何か勿体無いいまひとつの作品だった。


読了日:2013.5.29
★★★☆☆

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2013年5月29日

ruru (22:46)

カテゴリ:国内ミステリーその他の作家(ミステリー)

『楡家の人びと 第2部』北 杜夫

失火による楡病院の焼失、カリスマ院長楡其一郎の突然の死。
跡を継いだ娘婿の徹吉は、病院の建て直しに奔走する。
妻の龍子とはそりが合わず、子供たちとも距離を置いて仕事と研究に没頭する徹吉。
病院は徐々に軌道に乗り始めるが、時代は第二次世界大戦へ突入し楡家に新たな試練が・・。

関東大震災を逃れたものの病院は失火により焼失。
建て直しが軌道に乗り始めた頃には戦時色が高まる激動の時代を迎える。

其一郎の息子たちの代と徹吉の子供たちの代がリンクする第二部。

物語中の徹吉は斎藤茂吉がモデルだが、短歌は一切登場せずやや神経質な研究者として描かれている。

第二部にして北杜夫こと周二が登場。
少し気弱な少年像は後年の躁うつ病と繋がるものを感じさせる。
斎藤茂太こと峻一の飛行機好きエピソードなどは、彼らの幼少期そのままなのだろうと想像できて面白い。

また周二の姉藍子の女王様キャラも楡家らしい存在感があって良い。

個性的な登場人物たちの人間ドラマであると共に、昭和初期という時代が見えてくる壮大な小説。

のんきで奇天烈な其一郎の時代から徐々に暗さが増して行くのが寂しく、第三部になかなか入ることができない。


読了日:2013.5.
★★★★★

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2013年5月26日

ruru (12:18)

カテゴリ:国内小説一般北 杜夫

『嘘をもうひとつだけ』東野 圭吾

バレエ団の事務員早川弘子が自宅マンション敷地内で転落死体となって発見される。
刑事加賀は同じマンションに住む事務局長寺西美千代に目をつけ、"嘘"を使って罠にかけるー。
表題作『嘘をもうひとつだけ』他加賀恭一郎シリーズ短編集。

『新参者』 『麒麟の翼』から遡るものの、同じシリーズだからと手に取ってみた。

感想としては薄味のミステリでやや物足りない一冊だった。

一話一話それなりにまとまっているものの、トリックも人間ドラマも小ぶりな印象。
悪くはないが、あまり記憶に残らない。

加賀の推理は冴えるが盛り上がりに欠けるのは、警察関係者が全く登場せずパートナー不在のせいかもしれない。


読了日:2013.5.25
★★★☆☆

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ruru (09:21)

カテゴリ:国内ミステリー東野 圭吾

『楡家の人びと 第1部』北 杜夫

ドクトル・メヂチーネこと楡其一郎が一代で築いた精神病院・楡病院。
異彩を放つ建築の大病院で暮らす一族を描く大河小説第一部。
繁栄を極める大正7年から、病院が焼失し、其一郎が倒れる昭和元年まで。

言わずと知れたことだが、北杜夫が自身の一族をモデルに描いた大河小説である。

祖父斎藤紀一が楡其一郎、父斎藤茂吉が徹吉、自身が周二、兄斎藤茂太が峻一。

随分昔にも読んだ本だが、昨年世田谷文学館で開催された「齋藤茂吉と『楡家の人びと』展」を観た際に買いなおした。
これは丁寧なパネル展示でとても良い展覧会だった。
先に小説を読み返しておかなかったのが悔やまれる。

第一部では、不思議な魅力を持つ其一郎と子供たちを中心に、楡病院での生活と人間関係が描き出されている。

一風変わった個性的な人々ばかりでモデルやネタに困ることは無かっただろう。

精神病院を舞台にしながらも自由奔放、患者への愛情も感じられる。

大正から昭和へと変わり行く時代背景と共に濃厚な人間ドラマが展開されるが、軽快な文章ですらすらと読める。

よく知る斎藤茂吉や斎藤茂太・北杜夫兄弟が頭に浮かんでくるし、描かれていることも現実に近いのだろうと想像しながら読むのがとても楽しい。

其一郎が亡くなり楡病院が傾き雲行きが怪しくなってきたところで終わる。
今後の展開を考えると、奇人変人のオンパレードに笑える第一部が一番明るくて面白いかもしれない。


読了日:2013.5.
★★★★★

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2013年5月23日

ruru (01:32)

カテゴリ:国内小説一般北 杜夫

『麒麟の翼』東野 圭吾

一人の男が日本橋麒麟像の下でナイフを胸に刺したまま息絶えた。
すぐに容疑者らしき男が見つかったものの、交通事故で意識不明の重体に陥り真相が明らかにならない。
従兄弟同士である捜査一課松宮と日本橋署加賀はコンビを組んで事件に当たる。
見えてきたのは意外な人間関係と過去だった・・。

『新参者』に続けて読んだ。
こちらも被害者と容疑者の人物像を洗い出しながら真相に迫っていく手法だが、人情物ではなくヒューマンドラマといったところか。
家族とコミュニケーションに重点を置いており、空気感もシリアスである。

加賀を追うことで日本橋の町並みがありありと浮かぶような土地の描写が良い。
あの派手な麒麟像をシンボルとして巧く使っている。

加賀のシリーズの面白さは、全く関係がなさそうな外堀から核へ向けてじりじりと進んでいく展開だろう。
こじつけることもなく自然と思わぬ真相へ集結していくところはさすが東野圭吾。

ただドラマティックな展開を狙い過ぎていたような気もする。
スピード感があって面白かったが、個人的にはじんとくる人情ミステリとなっていた『新参者』の方が完璧だったのではないかと思う。


読了日:2013.5.22
★★★★☆

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ruru (01:12)

カテゴリ:国内ミステリー東野 圭吾

『新参者』東野 圭吾

小伝馬町のマンションで一人暮らしの中年女性が絞殺される。
所轄の担当は練馬署から日本橋署に異動してきたばかりの刑事加賀恭一郎。
独特の鋭い視点で人情溢れる下町を回りながら少しずつ真相に近づいていく・・。

加賀が日本橋へ。
ビジネス街と下町情緒が混ざり合ったこの地域の魅力が感じられた。
良い舞台を選んだと思う。

"新参者"として足繁く足を運ぶことで地元の人間たちに溶け込んでいく加賀。
一方被害者にもこの地にやってきた理由があり、様々な人と交流を持っていた・・。

少しずつ明らかになっていく被害者の人物像、わずかな手がかりに繋がる人情ドラマがほろりときて心地良い。

軸となる事件は一つの長編小説なのだが、細かな謎解き短編連作のような作りになっていて一話ごとでも楽しめる。

事件の真相自体はそれほど凝ったものではないがすっきりした読後感。
今後の加賀の日本橋での活躍も期待できそうな終わり方で面白かった。


読了日:2013.5.21
★★★★★

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2013年5月22日

ruru (23:38)

カテゴリ:国内ミステリー東野 圭吾

『友川カズキ 歌詞集 1974-2010 ユメは日々元気に死んでゆく』


過去の歌詞137選。
歌詞集というか詩集というか。
文学。

3800円とそこそこ価格がするので一瞬躊躇したが、収録たっぷりの特典DVDが付属しているので妥当だろう。
歌詞集だけ読んでも十分感じるものがあるし、DVDでライヴも聴けて二度美味しい。

西村賢太との対談というのがまたシュールで良い。
なんとぴったりな組み合わせか。

たまに取り出して何度も読み返している。

これを購入した後、本棚の奥から中原中也も探し出した。
10代の頃好きだった気持ちを思い出す。

何となくブログに載せたくなったので、ここに記録。

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ruru (14:49)

カテゴリ:詩集

『ルネサンスとは何か。』


大分前から気になっていた本をラファエロ、ダヴィンチ展に合わせて読んでみた。

ミケランジェロを加えた3大巨匠だけでなく、意外と知らないルネサンス期の画家についても触れていて少しは知識が深まったように思う。
ヒエロニムス・ボスやデューラー、ブリューゲルなどもルネサンスに分けられる画家なのかと改めて確認。

宗教的な要素が強いのであまり興味がなかった時代だが、最近は主題を読み解けるようになってもっと楽しんでいきたいと考えるようになったところ。

作品写真も多く、読みやすい。
専門的過ぎて飽きることもなく、初心者には丁度良い一冊だった。


読了日:2013.5.
★★★★★

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ruru (13:57)

カテゴリ:趣味系

『ムカつく相手を一発で黙らせるオトナの対話術』バルバラ・ベルクハン


タイトル通りのコミュニケーション術。
カッとならずに一呼吸置いてポジティブに考えたり、沈黙や話をそらすことで対応。

技術について述べているようで、内容としては心構えが中心。

負の感情に捉われるほどばかばかしいことはない。
自分を大切に思えばこそ退却も必要。


・傷つけられたという感情は、相手の言葉ではなく、その言葉に対する私たちの解釈によって生まれる。
・発言の受け取り方は選択できる。
・相手の言うことに興味を持つ義務はない。
・横柄な人をおだてる→抱きしめられれば敵は動けなくなる。
・レベルの低いコミュニケーションを求める相手にベストを尽くす必要はない。
・最大の敵は頭の中→怒り、不安、嫉妬、失望。

訳者もあとがきで述べているが、言いたいことを言い合っている印象の欧米人でも同じ悩みがあるということは興味深い。


読了日:2013.5.16
★★★★☆

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2013年5月17日

ruru (13:10)

カテゴリ:ビジネス・自己啓発

『大往生したけりゃ医療とかかわるな』中村 仁一


特養医師である著者による「自然死」のすすめ。

タイトルや内容は刺激的にまとめてあるが、要は延命治療とQOLについて早い段階から考えておくことを提案している。
苦痛を伴ったり、自分の意思に反する延命治療を受けるよりも寿命を受け入れて自然な死を迎えようというもの。
基本的に後期高齢者医療が対象。

検診も治療も不要というのは極端な話だが、看取りの経験があれば医療への依存に対する疑問や後悔が必ずあるはず。
意識がはっきりしているうちに事前指示書を作成しておけば、家族も本人の希望を指針にできるし、内容によっては在宅介護も可能になる。

薦めている項目は「心肺蘇生」「気管切開」「人工呼吸器」「強制人工栄養」「水分補給」「人工透析」「輸血」「強力な抗生物質の使用」他。

介護は大変だが、著者の言うように老人から死について教えさせられる貴重な体験でもある。
離れて暮らしていれば見舞い程度で楽なものだと人に対して気持ちが尖ることもあったが、家族で最期について話し合えるのも介護があるからだと前向きな気持ちにもなれた。


読了日:2013.5.16
★★★★☆

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ruru (12:37)

カテゴリ:美容・健康

『超訳 ニーチェの言葉』白取 春彦


発売当初随分売れた本書。
最近の流行にのって余白はたっぷり、文字は少なめで読みやすく作られている。

長い間積読となっていたが、読み始めてみればすぐに読み終わった。

"超訳"なのでニーチェのいくつかの著作から部分的に抜き出してきた内容をまとめた形態である。
ニーチェの思想を理解する哲学の本というよりは、自分の心に響いた言葉を感じて刺激を受ける自己啓発本。

自分の行為は世界に響いている
いつも機嫌よく生きるコツ
無限の豊かさは自分にある
体験だけでは足りない
・・・

などいくつか良いなと思った言葉があった。
たまに読み返せば励まされるものがありそうだ。

こうやって真理を追究し後世まで多大な影響を遺すニーチェだが、その人生を考えると哲学とは何なのか考えさせられるものもある。
「喜ぼう。この人生、もっと喜ぼう。喜び、嬉しがって生きよう。」
その心中やいかに。


読了日:2013.5.
★★★★☆

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2013年5月11日

ruru (22:07)

カテゴリ:哲学・メンタル

『UFOの捕まえ方―天才・龍之介がゆく! 』柄刀 一

鹿角市でuFO騒動が起こる。
UFOが目撃された黒又山は何故か自衛隊によって封鎖され、街は緊張状態に。
一方同じ夜にシャンデリアの上に遺体が載せられ、飼い犬たちの内臓が持ち去られるという事件が起きていた。
不可解な現場状況とUFOは関係があるのかー?

龍之介シリーズ11弾。
中編1話と短編3話の組み合わせ。

表題作の『UFOの捕まえ方』は、超常現象の空気感を最大限に活かしながらもしっかりしたトリックに収めてある。
あり得ないような真相だったが、それなりに納得もできて面白かった。

一番良かったのは『身代金の奪い方』。
龍之介の意外な行動によって犯人に誤算が生じる様がお見事。
通常なら起こらないことが"龍之介が居合わせたから起きた"という展開が良い。

龍之介の館長ぶりも板についてきてまだまだ話はつきない様子で楽しみ。
今のところ11弾で止まっているようだが、是非続きも読みたい。


読了日:2013.5.
★★★★☆

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ruru (21:35)

カテゴリ:国内ミステリー柄刀 一

『消滅島RPGマーダー 天才・竜之介がゆく!』柄刀 一

墓参りのために奥城島を訪れた光章、龍之介、一美は不思議な島の伝承を聞く。
光章は宿の裏庭で燃える人間が地面に吸い込まれていく現場に遭遇する。
台風と度重なる地震の中次々と起こる奇妙な現象は伝承と関係があるのかー。

今回は島を舞台にした消失トリック長編。
と言っても孤島パターンではなく、島人も多々登場する。

自然現象がふんだんに使われており、登場人物が多いので結構惑わされる。
超常現象で済ませるのかとまんまと乗せられながら読み進めたが、期待を裏切らないしっかりとしたトリックだった。

伏線も巧くトリックは凝っていて面白かったと思う。
ただ盛りだくさんで主役の活躍が少ない気がしたのでもう少しコンパクトにまとまっている方が読みやすいかもしれない。

このシリーズは質が高いミステリなのでもっと人気が出ても良いと思うのだが・・。


読了日:2013.5.4
★★★★☆

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2013年5月 4日

ruru (22:22)

カテゴリ:国内ミステリー柄刀 一

『自分の頭で考える』外山 滋比古


必要なのは、強くてしなやかな<本物の思考力>。
外山先生による思考についてのエッセイ集。

忘却は記憶と同様に重要、伝記はライヴァルにこそ書いてもらうと良いなど自身の考えをまとめている。

専攻分野の違う人との勉強会について書かれているが、とても楽しそうだ。
我流のクラブをいくつか作ったという話は魅力的だった。
話すことでお互いに刺激を受けるような仲間はいくつになっても重要。

断りは候文に限ると言うのは笑えた。
また数十年書き続けた日記について、ただの気休めという結論に至ったとか。

文学や文章などについてもあれこれと書かれている。

あとがきの「知的というのは知識的というのではなく、思考的であると考えるべきではないかー。」に納得。

どちらかというと外山先生が考えをまとめるために作った本ではないか。
専門的な何かというのではなく、気軽に読める一冊。


読了日:2013.5.2
★★★★☆

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2013年5月 2日

ruru (21:43)

カテゴリ:エッセイ・随筆・対談

『朱の丸御用船』吉村 昭

鳥羽藩波切村では、難破船の積荷を隠し取る"瀬取り"が度々行われていた。
未だかつて露見したことはなかったが、御城米船の"瀬取り"をしたことで村人たちは徐々に追い詰められていくー。
天保元年に起きた波切騒動を題材にした歴史小説。

難船の積荷を村ぐるみで隠し取る行為は、波切村だけでなくどこの漁村でも多かれ少なかれ行われていた行為らしい。
本来は届け出ることとなっているが、証拠は海に沈むため発覚もしにくい。
米俵があれば米が取れない漁村では貴重な食糧となる。

架空の村人弥吉の視点で話は進むが、登場人物は全て史実に基づいているとのこと。
子供を生んだばかりの妻に白米を食べさせられることを喜びながら、常につきまとう後ろめたさ。

村の完全犯罪が少しずつ破綻していく様が淡々としかし緊迫感をもって描かれている。

御城米船の事情や役人側の視点などもあり、新たに知ることも多く興味深い。

同様の行為を描いた『破船』も読んだが、主題がやや異なることもあって生々しさが強かった。
小説としては『破船』の方が読み応えがあったように思う。

本作はやや淡白な印象だが、吉村氏ならではの気象や地理などに細かいこだわりを感じられる作品で歴史小説としては完璧なのでは。


読了日:2013.5.1
★★★★☆

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ruru (15:44)

カテゴリ:国内小説一般吉村 昭

『アンリ・ルソー 楽園の謎』岡谷 公二


画家アンリ・ルソーの生涯と作品の背景を追った評伝。

どこかおかしいのに惹きつけられるルソーの世界。

ここで語られるルソーの人となりは作品と完全にリンクする。

アンバランスで突出した個性、徹底的に一貫した筆致、純粋な嘘つきぶり。
スマートな美しさは皆無だが得も知れぬ魅力に惹きつけられる。

作品が笑いものになりながらも多くの文化人を惹きつけてやまなかったというルソー。
ジャリ、ピカソ、ブラック、ローランサン、ユトリロなどなど彼を取り囲む人々はとても豪華だ。

元官吏というイメージから本人はもう少し常識人なのかと思っていたが、作品は本人を現すということがよくわかった。
やはりルソーは変わっている。
趣味の画家ではなく純然たる芸術家だったのだとしみじみ感じた。

生活に困窮して自作の絵を科学液に浸してキャンバスに戻していたとか。
晩年には少しずつ認められていたようだが、買い上げが少なく残存作品数が少ないのは残念な限り。
生前唯一の個展には客は一人も来なかったというし、現在の人気を思えば切ない話だ。
何よりもっと作品が観たかった。

「陰気で醜い」とマチスの作風を嫌っていたというのは意外だった。
マチスの作品をそのように感じたことがないのだが、ルソーの感性とは合わなかったようだ。

著者があとがきで触れているルソーと日本については一番納得がいった。
日本画に慣れていた日本人だから、遠近法のないルソーの作品を受け入れる素地があったというのは確かにそうかもしれない。

好きな画家の一人ルソーのことをよく知ることができた。


読了日:2013.4.30
★★★★☆

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2013年5月 1日

ruru (10:44)

カテゴリ:自伝・伝記

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