2014年6月アーカイブ

『総員起シ』吉村 昭

昭和19年6月、訓練中に沈没した「伊号第三十三潜水艦」。 9年後に引き揚げ作業が行われると中からは時を止めた遺体が発見されるー「総員起シ」 戦時中浜に流れ着く無数の兵士の遺体。それらの多くが腕を切り落とされていたー「海の棺」他史実に基づく戦争小説短編集。

ただ粛々と戦争が語られていく。
海外の戦場ではなく国内でのできごとを集めている。
兵士以外の視点も多い。

綿密な取材を元に描かれているのでとてもリアルに胸に迫ってくる。

切なさや空しさ、悲しみに静かに浸っているうちに、今現代に生きていることさえ忘れてしまう。

さすが吉村昭としか言いようがない。

派手な玉砕ものだけでなくこういった丁寧な作品にももっと光が当たるようになると良いのだが。

読了日:2014.6.
★★★★★

↓ブログランキング参加中です。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

タグ

2014年6月 9日

ruru (00:45)

カテゴリ:国内小説一般吉村 昭

『白ゆき姫殺人事件』湊 かなえ

美人OLの遺体が発見され、ネットでは様々な憶測が飛び交う。
容疑者は地味な同僚OLか?
被害者と周囲の人々の個人情報が無防備にさらされていく中、事件の真相はどこにあるのか・・。

予想した通りの展開、軽いミステリですぐに読み終わる。
真相や犯人は関係なくただ現代ツールを利用して実験的に書きたかっただけなのだろう。
新しいツールや社会現象などを取り入れたミステリは多々あるが、中身が薄く記憶に残ることはなさそう。

パソコン通信をテーマにした乃南アサ『ライン』を思い出した。
今となっては古い内容だが、バーチャルとリアルの世界観と人間関係の変化などが巧く描かれていたものだ。
比較しても仕方ないが・・。

映像化で話題になっていたが、並行して小説を売ろうと短期間で仕上げて出版されたのだろうか。
映像の方が手法によっては面白くまとまるのかもしれない。


読了日:2014.6.
★★★☆☆

↓ブログランキング参加中です。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

タグ

ruru (00:38)

カテゴリ:国内ミステリー湊 かなえ

『原罪』遠藤武文

長野の雪中酒を仕込んだ雪山の中で心臓が貫かれ棺に手厚く葬られた遺体が発見される。
酒造会社の周辺を洗い始めた城取ら警察は、最近執拗にクレームをつけてきていた一人の男を突き止めるが・・。

現在と過去、更なる過去を行き来しながら物語は進む。
全てが絡まりあって結末へ向かっていく筋立てはお見事。
登場人物たちが最初の事件へどう関係していくのかが気になって一気に読んでしまった。

他の作品で描かれていたのか本作だけではわからなかった城取の過去と重要人物然として登場する割にあまり意味を成さない四月朔日の存在が気になったが、重厚なミステリで面白かった。

『プリズン・トリック』はあまり気に入らなかったが、これなら他の作品も読んでみたくなる。


読了日:2014.6.
★★★★☆

↓ブログランキング参加中です。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ


タグ

このページの先頭へ