薬丸 岳の最近のブログ記事

『神の子』上下 薬丸岳


神の子 上


神の子 下
薬丸岳

IQ160以上の知能を持ちながら、無戸籍で学校へ通ったこともなかった少年町田博史。 殺人の罪で少年院に入り、出所後預けられた家庭で家業を手伝いながら大学へ通いだす。 彼を追う闇の組織の存在を感じながらも、周囲の人々との関係を深めながら初めての学校生活を送るようになり少しずつ変わり始めるが・・。

知能と心がアンバランスな少年が痛々しい。
著者のことだから嫌な結末はないだろうと思いつつも、前半は読んでいて悲しい気持ちで一杯だった。

人との関わりへの拒絶は激しいが、頑なだった少年の心は周囲の人々との触れ合いで少しずつ変化していく。
彼との距離を縮めていく悦子や楓、為井たちとの人間関係に焦点を置きながら物語は展開していく。

全編に渡って強大な組織の存在を匂わせておきながらもその対決の方はあっけなく感じた。
ムロイの存在感も途中でかなり薄れてしまった。
上下巻で収めるためには仕方なかったのかもしれないが、全体的に散漫な印象が残ってしまったのが残念。

結末は明るい未来が見えてほっとした。


読了日:2015.5.8
★★★★☆

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2015年5月27日

ruru (17:26)

カテゴリ:国内ミステリー薬丸 岳

『その鏡は嘘をつく』薬丸 岳

痴漢容疑をかけられたエリート医師が鏡張りの部屋で死体となって見つかる。 検事志藤は事件の背景に不信感を持ち独自の調査を始める。 一方現場に現れた夏目刑事にも興味を覚え・・。 二人が行き着いた真相とは。

夏目刑事のシリーズだが、志藤の視点が多い。
とらえどころのない夏目とは全く違う存在感の強いタイプだが、そのコントラストが良い味を出している。
今後も活躍してほしい魅力的なキャラクターだった。

事件の内容は気分の悪いものだがミステリとしては楽しめた。
繊細な心理描写はさすが。

読了日:2014.9
★★★★☆

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2014年9月27日

ruru (08:23)

カテゴリ:国内ミステリー薬丸 岳

『友罪』薬丸 岳

ジャーナリスト志望ながら食い詰めて小さな工場に勤務し始めた益田。
当日に入社した同僚鈴木と触れ合ううちに、彼が14年前世間を震撼させた少年事件の犯人ではないかと疑い始める・・。

もし会社の同僚が凶悪な少年犯罪の犯人だったとしたら・・?
疑念ばかりが大きくなる中関係性は深まっていく。

今現在の彼と過去の彼は同一なのか否か。

益田は中学生の頃友人を自殺で失った経験を持つ。
友人への罪悪感と今の鈴木との関係性、ルポを書けばジャーナリストになれるかもしれないというチャンスへの葛藤。

益田の思いは過去と現在を行き来し、逡巡が重苦しく続く。

一方でジャーナリズムとは何かも問いかける。
真実を伝えるだけではなく、他人を無責任に追い詰めることもある報道。

この工場にはもう一人過去に怯える女性社員がおり、鈴木に似たものを感じて近づいていく。

益田や彼女は鈴木にとってどんな存在になり得たのか・・。
最後に益田が辿り着いた境地とは・・。


現実社会の事件や事象をモチーフにした作品を書く著者らしい作品だった。
誰もが知る特殊な少年犯罪を取り上げている。
実際に現実としてどこかで進行中であることを考えるとあまりに難しいテーマで、小説という形で読むことに何か抵抗を感じてしまった。
まとまりは良く一気に読める。


読了日:2014.4.
★★★★☆

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2014年4月 8日

ruru (08:31)

カテゴリ:国内ミステリー薬丸 岳

『死命』薬丸 岳


死命
薬丸岳

榊信一は自分の余命を知り、残りの人生を思い通りに生きることを決意する。
それは抑えてきた殺人願望を満たすというものだった。
一方で連続殺人事件を追う刑事蒼井も病に侵され、犯人逮捕にその命を賭ける。
どちらが先に命尽きるか・・信一と蒼井の最期の戦いが始まる。

展開が早く読みやすいのでノンストップで即読了。

薬丸さんはいつも社会問題を取り上げるが、今回はデイトレや派遣、MDMAなどがちりばめられているものの重点は別のところに置いた様子。

時間に追われて殺し続ける男と追う男の人生が交差していく流れは緊張感があって惹きつけられるが、犯人と刑事共々同じ病で余命が僅かという設定は少ししつこい気がした。

また、信一の過去もわかりやすく、最後の衝撃がそれほどなかったのもやや物足りない。
信一の元恋人澄乃については意外な展開で驚いたが。

ミステリとしてはそれなりなのだが、著者だからこそもっと上を期待してしまう。
読み始めるとすぐに物語に引き込まれて一気に読ませてしまうところはさすが。


読了日:2013.1.
★★★★☆

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2013年2月 5日

ruru (23:09)

カテゴリ:国内ミステリー薬丸 岳

『ハードラック』薬丸 岳

派遣切りでネットカフェ難民となった相沢仁。 困窮極まった仁は闇の掲示板で仲間を集い、とある別荘に強盗に入る。 しかし殴られて意識を失っている間に別荘が燃え、焼け跡から三人の死体が見つかったことで殺人犯として追われることに。 無実を証明するために、逃亡しながら自分を嵌めた闇の仲間たちを探す仁だったが・・。

常に社会問題をミステリに取り入れていく薬丸さんだが、今回は派遣切り・ネットカフェ難民・振り込め詐欺などを題材にしている。

主人公は何となくうまくいかないことが続いただけの平凡な青年。
帰る家がないわけではないが、意地とプライドで頼ることができない。
家がなければ仕事にありつけず、仕事がなければ家を借りることもできないという悪循環をさまよっていた仁は、なけなしの貯金を騙し取られたことをきっかけに、闇の世界へと足を踏み入れていく。

主軸は仁がハンドルネームしか知らない仲間を探しながら真相を追うところにあるが、世相を反映したリアリティ溢れるミステリに引き込まれて一気に読んでしまった。
ネットという身近な手段から簡単に闇への入り口が開くことや浅慮が招く後戻りできない怖さが現実的だ。
一般人と犯罪者の薄い壁や罪悪感が希薄なまま軽犯罪に関わることの罪深さが巧く描かれている。

現実的なテーマのためいつもながら後味は悪いが読み応えある1冊だった。

読了日:2012.2.
★★★★☆

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2012年2月20日

ruru (12:28)

カテゴリ:国内ミステリー薬丸 岳

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