宮部 みゆき(ミステリー)の最近のブログ記事

『ソロモンの偽証』宮部 みゆき

クリスマスの夜、中学校の校庭で雪に埋もれた生徒柏木卓也の遺体が見つかる。
当初自殺と思われたものの、不良少年大出俊次らによる殺人だとの告発状が届くことで学校関係者は混乱に陥る。
クラスメイト達はこの混乱を収めるべく、夏休みの課題として学校内裁判を催すことに・・。


3部からなる大長編だが続けて一気に読んでしまった。
繊細な心理描写と巧みな群像劇は宮部さんらしく読みごたえがあるが、長すぎるという感はある。
登場人物が多く視点が入り乱れるので仕方がないが、展開が遅くまだ先がこれだけあるのかと途中げんなりしてしまった。

様々な人間の絶望や悪意が絡み合って事件が予期せぬ方向へと膨らんでいくところはさすが。
子供中心に話が進んでいったのは意外だったし最初からこの展開を予定していたのかは疑問が残るがこれで良かったのかもしれない。

学校内裁判とは茶番だと思ったが、子供たちの真剣さが真に迫っていてつい引き込まれた。
その過程で見えてくる仲間たちの意外な一面や芽生えた友情、知ることへの勇気など様々な中学生の心情も丁寧に描かれている。

真実を知ることで前に踏み出すことができた子供たち。
残酷な事実も多々掘り出されていく。
それでもこの裁判で誰もが前を向く力を得て救われたのではないか。

大作だったのは確かだがもう少しコンパクトでも良かったとは思う。


読了日:2014.8.10
★★★★☆

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2014年8月13日

ruru (10:54)

カテゴリ:国内ミステリー宮部 みゆき(ミステリー)

『初ものがたり』宮部 みゆき

本所深川一帯を預かる岡っ引き茂七は、最近営業を始めたいなり寿司屋台の味が気に入っている。 元武士の親父との会話から捕り物のヒントを得ることも多く、難事件を抱えるとつい足が向いてしまう。 鰹、白魚、鮭に柿・・初ものがからんだ人情捕り物集。

食と事件という組み合わせはミステリの中では定番とも言える。
各話に登場する”食”と関連性がある事件簿という好きな構成なので読んでいて楽しかった。

食は突き詰めれば関わってくる人の嗜好や内面、人生まで見通せるところがあって話に深みを持たせてくれると思う。
この作品でも人の心を表現するために巧く使われている。

元武士で料理の腕を磨くことに余念のない屋台の親父、情に厚い岡っ引き茂七や下っ引きたち、周囲に敬われる霊能力者の少年など登場人物たちも多種多様で魅力的だ。

今後も続く連作短編集の体を取っているが、その後何年も続きは出ていないようだ。
親父の正体や長助の今後など気になることが多いまま終わっているので残念である。

今のところ宮部さんの時代小説で一番面白いと思ったので是非続きを出していただきたい。

読了日:2011.4.9
★★★★☆

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2011年4月10日

ruru (23:31)

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『幻色江戸ごよみ』宮部 みゆき

酒問屋伊丹屋で小火が出た。 出火元は神棚上の注連縄。 そこには子を思う母親の強い想いが込められていた・・『鬼子母火』他江戸を舞台にした幻想人情物語集。

12話の短編から成る1冊。
どの話もどこか不思議でそして切ない。

ほっとするような話もあるが、やりきれない哀しい物語が多い。
それでも読後にはむなしさよりも読ませてくれたという満足感の方が高い。

1話1話全く異なるごく短い物語ばかりだが、市井の人々の心の隅々にスポットを当てるような完成度が高い作品ばかりである。
どれか1話となっても甲乙つけがたくどれも良かった。

宮部さんが心理描写に長けているのは現代小説でも時代小説でも変わらないと強く感じた。
全編を通してややもの悲しいトーンではあるが、上質な時代小説短編集でお勧めしたい一冊。

読了日:2011.3
★★★★★

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2011年3月20日

ruru (21:49)

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『天狗風 霊験お初捕物控(二)』宮部 みゆき

風と共に姿を消す娘たち。 神隠しなのか事件なのか・・? 不思議な力を持つお初と算学道場に通う右京之介は、南町奉行根岸肥前の守の命により真相究明に乗り出す。

先日読んだ『震える岩 霊験お初捕物控』の続編。
右京之介は家を出て算学道場に通い始めている。

前作共に死人の執念による事件を追うことになるが、今回は本格的に物の怪といった趣が強く、お初の活躍も著しい。
折角お初に不思議な力があるのだからその方がすっきり読めるし、前作よりも面白かった。
化け猫の存在も愛らしくて私好みの作品になっていたので第三弾以降もこの路線で進んで欲しい。

宮部さんならではの繊細な女性心理描写もお見事。
こちらの作品後随分時は経っているようだが、右京之介との恋もできれば進んで欲しいし次回作を待ちたい。

読了日:2011.2.17
★★★★☆

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2011年2月28日

ruru (01:05)

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『東京下町殺人暮色』宮部 みゆき

刑事の父道雄と二人で下町に越してきた中学生の順。 町内のとある家での殺人事件の噂が流れ始めた頃、荒川ではバラバラ死体が見つかる。 噂と殺人事件の関連性はあるのか?順は噂の家を見に行くが・・。

川沿いで見つかるバラバラ死体、犯行声明、無軌道な若者・・『模倣犯』を思い出したが、こちらの方が先の作品のようだ。
つい比べてしまうが、『模倣犯』の方が完成度が高く傑作と言えるだろう。

しかし順の探偵ごっこと父道雄ら警察の捜査が絡み合っていく展開、関係者の心理描写など、目が離せずに一気に読んでしまった。
事件を謎解く中で、親子や友人などの人間関係の在り方が問われていくのも心理描写の巧い宮部さんならではの小説だと感じた下町におい。

軸となる殺人事件はかなり短絡的で残虐なものだが、主人公が素直な中学生であり、父を始め友人や家政婦などとりまく登場人物たちが善良が故に、それほど思い気持ちでなく読むことができる。

老人から子供まで、噂から殺人事件まで、東京大空襲から現代までと幅広い視点が盛り込まれているのが面白い。

読了日:2011.2.25
★★★☆☆

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2011年2月27日

ruru (23:54)

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