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『さよなら渓谷』吉田 修一

さよなら渓谷 『さよなら渓谷』吉田 修一 新潮社 2008-06

都心からの景勝地として人気の桂川渓谷がある街で4歳の男の子の遺体が発見される。母親が疑われ、市営団地にはマスコミの人間が張り込みを続けている。その中の一人である記者の渡辺は、隣家の夫婦の夫に前科があることを知り興味を抱く。過去の事件を調べている中母親は逮捕され、隣家の夫の共犯が疑われるが・・?

 一つの殺人事件が描かれているがこちらは本題ではなく、隣家の夫婦にスポットライトを当てている。夏の暑さの気だるさややるせない生活の匂いが漂ってくるような情景描写のため重たい空気感が漂う作品なのだが、何故かスイスイと読み進められる。

 個人的には『悪人』より面白い作品だと思った。この作品でも加害者の”悪人ではない部分”に重きを置いている点は似ている。加害者も被害者も過去を消すことができずもがき苦しんでいる哀れさが切々と伝わってくる。双方の人生が交わる時何が起きるのか?

 理解できないような同感できるような・・人間の感情の深さを感じる作品だった。

読了日:2008.9.28
★★★★☆


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2008年9月29日

ruru (21:44)

カテゴリ:国内ミステリー吉田 修一

『悪人』吉田 修一

悪人
『悪人』
吉田 修一
朝日新聞社 2007-04-06

OLが出会い系サイトで知り合った男に殺された。
娘を失い自分の知らない娘の姿に苦悩する父親、最初に容疑をかけられたOLの片思い相手の高慢な大学生、ふとしたことで罪を犯してしまった不器用な青年、その青年を愛してしまった寂しいOL、青年の母親、祖父母、以前青年が愛した風俗嬢など登場人物が多く、ミステリーというよりはそれぞれの心情が丹念に綴られた一般小説の趣き。かなりの長編だが一気に読んでしまう引き付け感はある。どの人物も存在しそうな普通の人間でリアルだ。
犯人は最初から悪人なのか?原因を作った被害者も悪人ではないか?きっかけを作った大学生は・・?
殺人を根底におきながらも作者が描きたかったのはそれぞれの矛盾した自己、人間の内面の複雑さではないだろうか。
犯人と被害者が子供の頃接点を持っていたというのも長編ならではじっくり考えられた設定だと感じた。

読了日:2008.4.13
★★★★☆


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2008年4月15日

ruru (23:46)

カテゴリ:国内ミステリー吉田 修一

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