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『占星術殺人事件 改訂完全版』島田 荘司

40年前に起こり、未だ謎が解かれていない猟奇殺人。 それは、画家である梅沢が6人の娘たちの肉体から完璧な女=アゾートを創るという小説を遺して殺害されるが、その後小説通りに娘たちは肉体の一部が切り取られた死体で見つかったというものである。 御手洗と石岡は事件を解決するために、関係者に会うべく京都へ向かう。

感想を一言で言うなら何と凝った小説か、といったところ。
綿密に設定された猟奇殺人の前提条件、犯人であろうべき梅沢の密室殺人、アゾート殺人と一線を化す長女の殺人、日本全国に散らばる死体発見現場などなど・・・何重にもトリックと謎が重なり合い絡み合って複雑な内容になっている。

御手洗と石岡が可能性を潰しあいながら推理していく過程ばかりだと、やや冗長的に感じてしまいそうだが、過去の書簡に話が飛んだり、別行動で動き回ったりと飽きさせない作りも良かった。
あまりに不可能に感じることが多いので、次々と登場する間接的関係者にも程よく気が飛ぶのも面白い。

事件が昭和11年のもので、解いているのも昭和54年と古いものなので違和感があるところもあるが、本格ミステリとしてはやはり評価が高いだけあって読み応えは十分。

期待が高くハードルが上がっていたこともあり、激しく心揺さぶられる・・とまでの感動はなかったが今更ながら読んでみて良かったと思う。

読了日:2011.1.15
★★★★☆

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2011年1月16日

ruru (00:21)

カテゴリ:国内ミステリー島田 荘司

『死者が飲む水 改訂完全版』島田 荘司

札幌の実業家赤渡雄造の家に届いた二つのトランク。娘たちから両親へのプレゼントが入っていたはずのトランクの中身は赤渡自身のバラバラ死体に摩り替わっていた。 死因は溺死。 誰もが口を揃えて温厚な人間だったという赤渡が、何故このような酷い殺され方をせねばならなかったのか。 水戸と東京にいる娘を訪ねたまま消息を絶っていた赤渡の足跡を追って牛越刑事が東京へ飛ぶ。

御手洗シリーズかと思っていたら登場せず。
脇役の牛越刑事による地道な捜査と推理によって解決する作品だった。
そのためかスパッと解決せずにあちらこちらへ脱線し、途中やや冗長的に感じるところがあった。
まあ、牛越刑事の意外な活躍もなかなか面白い。

やや昔の作品のため、時代背景が古いがそれはあまり気にならない。
私は「そういえば東北新幹線ってなかったよなあ・・」などと懐かしい気持ちになったが、もっと若い人が読むと違和感があるかもしれない。

バラバラ殺人という猟奇的事件のような、時刻表を駆使したトラベルミステリのような、刑事が主役の泥臭い推理小説のような色々な要素が混ざっているので、展開と着地点が見えづらく落ち着かないものがあったように思う。

しかしトリックなどは凝っていていかにも島田荘司らしい作品だった。

読了日:2011.1
★★★☆☆

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2011年1月 7日

ruru (23:42)

カテゴリ:国内ミステリー島田 荘司

『上高地の切り裂きジャック』島田 荘司

腹を切り裂かれた女優の死体が上高地で見つかった。 すぐに容疑者は見つかるが、横浜にいたというアリバイがあり殺害を否定する。 御手洗潔が事件の真相に迫る。 表題作他『山手の幽霊』収録。

表題作は猟奇的な事件であまり気分よく読めず、謎解きについてもあまりすっきりしなかった。
トリック云々というよりは気持ち悪いというか・・個人によって見解が異なりそうである。
探偵役御手洗の登場が電話のみで点のみの存在感というのも物足りない。

『山手の幽霊』の方が、本格的なトリックで御手洗も活躍していて良かった。
ただ、中篇のためか独白で締められている部分を物語中で上手く読めた方が満足できた気がする。

御手洗シリーズを読んでみようと何冊かストックしているので、他の作品に期待したいと思う。

読了日:2011.1.1
★★★☆☆

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2011年1月 3日

ruru (10:06)

カテゴリ:国内ミステリー島田 荘司

『斜め屋敷の犯罪 改訂完全版』島田 荘司

宗谷岬に傾斜して建つ奇妙な館「斜め屋敷」。 クリスマスパーティーに訪れた招待客が、翌朝死体で発見された。 雪上に足跡すらない犯行に、駆けつけた警察官たちは頭を悩ませる。 そして第2の事件が・・!

新本格の金字塔とも言われる作品だが、実は初見である。

人里離れた奇妙な館。
雪降る聖夜のパーティに訪れた一癖も二癖もありそうな招待客たち。
密室、一見関連が無さそうなおかしな出来事の数々に謎のトリック、そして連続殺人。

本格も本格。
王道の中の王道で、謎解きを存分に楽しむことができた。
犯人は何となくわかるが、トリックに関してはやはり最後まで解らず・・。
動機などを含め、考え込まれている作品でさすがというところ。
読み応えは十分である。

ただ、探偵役御手洗の登場がかなり終盤となっており、最後の謎解きだけをとってつけてこなすような印象だったのがやや物足りなかった。
もう少し探偵の存在感を出してくれると、感情移入しやすく、解決時のすっきり感が高まったように思う。

読了日:2010.12
★★★★☆

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2010年12月27日

ruru (22:18)

カテゴリ:国内ミステリー島田 荘司

『写楽 閉じた国の幻』島田 荘司

写楽 閉じた国の幻写楽 閉じた国の幻
(2010/06)
島田 荘司

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北斎研究者の佐藤は、木村蒹葭堂関連の資料として1点の肉筆画に出会う。 作者不詳のこの肉筆画が謎の浮世絵師東洲斎写楽のものではないかと考え始めた佐藤は、その正体に一つの仮説を立てその足取りを追い始める。

東洲斎写楽の正体を追うミステリーである。
写楽の正体に関しては諸説があって謎だという以上の知識がなかったのだが、「写楽をモチーフとして取り上げたミステリー」という枠を超えてあまりに本格的に謎解きがなされているので驚いた。
しかも何だか納得してしまうものがある説得力。
島田氏の考える新説はあり得る気がしてきた・・。

主軸としては、全てを失った浮世絵研究家が絶望の中で生きるために写楽を追うというもの。
時折江戸時代へと遡り、蔦屋重三郎らが生き生きと動いてくれる趣向が楽しい。
写楽の正体を追う過程については、エンタテイメント性に溢れる上質なミステリーでページをめくる手が止まらない面白さだった。

ただし作者が後書きで書いているように、登場人物たちの背景などが曖昧なままなので何となくモヤモヤしたものが終始立ち込める。
私としては片桐教授の存在が一番不可解だった。
オランダとの繋がりで必要人物なのだろうが、冒頭の事故についてあまり取り上げられていない分その存在感が浮いているような気がしたのだ。
息子の事故に関係する人物とあまりにも親密になりすぎる違和感もぬぐえなかった。

作者によればそういった写楽以外のストーリーはページ数の都合で端折られたらしい。
確かに今の時点でかなりのボリュームなので致し方ないところか。
10年来のミス、とまで書いているのは余程悔しかったのだろう。
もう一つのストーリーについて続編を匂わせているので期待したい。

しかし、絵だけでなく自らの正体においても後世これだけ楽しませてくれる写楽の魅力は本当にすごいと思ってしまう・・。

読了日:2010.8.17
★★★★☆

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2010年8月19日

ruru (10:41)

カテゴリ:国内ミステリー島田 荘司

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