明野 照葉の最近のブログ記事

『ひとごろし』明野 照葉

フリーライターの泰史は、なじみの店で働くようになった弓恵に惹かれていく。 物静かで人を寄せ付けない雰囲気を持つ弓恵。 少しずつ二人の距離は縮まっていくが、弓恵には人には言えぬ過去があった・・。

タイトルにあるのでネタバレしてしまうが、好きになった女性が実は殺人犯だったという話である。
現在の彼女への愛と過去との葛藤を描くのかと思いきや、そんな単純ではないのが明野流。

実は未だ狂気に支配されていた弓恵は、泰史を得たことで徐々に本性を現してくる。
家族思いの異母妹萌子は、泰史にまとわりつき、弓恵の排除に動きだす。

二人に執着されることに異常なほど過敏な泰史。
問題ある女性に惹かれたとしても、それは単なる興味でしかないというおかしさ。
途中までは泰史が追い込まれていく気の毒な話なのかと思っていたが、どうも違う。
泰史という人間も大きな問題を抱えている。

主要人物が三者三様に人間関係の距離の取り方を間違えている。
そこから生まれる狂気。
ホラーというほどでもないが、何か落ち着かない怖さを感じた。

心理サスペンスとしての緊迫感はあるのだが、色々なことが解決しないまま終結に向かっていくので読後感としてはやや物足りないのは残念。

読了日:2010.12
★★★☆☆

↓ブログランキング参加中です。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

タグ

2010年12月26日

ruru (03:16)

カテゴリ:国内ミステリー明野 照葉

『汝の名』明野 照葉

会社社長の陶子は計算高いキャリアウーマン。 内向的な性格の妹久恵が家の雑用をこなし、二人は共同生活を送っていた。 支配的な陶子に盲目的に使える久恵。 しかし、男とも損得でしか付き合うことがなかった陶子に運命的な出逢いが訪れたことで二人の関係は変わっていく・・。

女性の心理描写に定評がある作者だが、この作品もドロドロとした女のエグさがよく表現されている。

野心家で計算高い陶子と一見自我がないようにも見えるほど隷属的な久恵。
二人の関係は一方的なようでいて実は依存し合っており、決して陶子ばかりが優位なわけではない。

二人の犯罪などが完全にスルーされていくので、ストーリーの深みは物足りなかったように思う。
女の葛藤を描くのであれば事件性はなくても良さそうだし、事件が関与するのならもう少し突っ込んでミステリの要素を深めて書いて欲しい。
犯罪の部分も人の心につけ込んだ嫌なものになっているので、薄い背景として流されてしまうのには疑問を感じる。

心理描写には長けているので、全く違うタイプの女友達の関係性をサスペンス調に描いた作品という点では面白さはあった。

読了日:2010.12
★★★☆☆

↓ブログランキング参加中です。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

タグ

ruru (02:49)

カテゴリ:国内ミステリー明野 照葉

『さえずる舌』明野照葉

さえずる舌 著者: 明野照葉 出版社: 光文社 サイズ: 文庫 ページ数: 363p 発行年月: 2009年03月

産業カウンセラーの真幌は女性としては異例の成功を果たし、手を広げたヒーリングサロンなどの運営も軌道に乗ってきたところだった。しかし、知性も美貌も人並みはずれた芽衣をスタッフに迎えたことで職場の人間関係に歪みが生じてくる。芽衣は人の心を弄ぶトラブルメーカーだったのだ。

温厚で人が良い真幌とスタッフたちが、圧倒的な存在感を放つ芽衣に翻弄されていく。 嫉妬や僻み、疑心といった誰もが持つ心の闇の部分を、芽衣の言葉は巧に引き出してしまうのだ。

カリスマ性を持つ芽衣の言葉には力があり、彼女の気持ち一つで周りの人間たちは持ち上げられたり陥れられたりするのだが、その手法は見事すぎてこんな人間がいたらと背筋が寒くなる・・。

読みながらざらざらとした嫌な気持ちになるのだが、途中で真幌が芽衣の問題点に気付いて追い詰めていくのでまだ良いかも。

結末は解決したようでいて暗い余韻が残るのでハッピーな気持ちにはなれないが、人の内面を責めていく怖さが身に染みてきて小説としては巧いと思った。

ふと手にとった作品だったが当たりだったかも。


読了日:2009.4
★★★★★

人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログへ

タグ

2009年5月 1日

ruru (21:46)

カテゴリ:国内ミステリー明野 照葉

このページの先頭へ