貫井 徳郎(ミステリー)の最近のブログ記事

『被害者は誰? 』貫井 徳郎

吉祥院は知的で眉目秀麗の売れっ子ミステリー作家。
後輩の桂島刑事が持ち込む難事件を次々と軽やかに推理していく。
白骨死体の身元が特定できない『被害者は誰?』、不倫が目撃されたことで起こった殺人『目撃者は誰?』、吉祥院が過去に解決した事件をモチーフにした小説から探偵役を推理する『探偵は誰?』、病院に現れる美しく怪しい女性の正体は・・『名探偵は誰?』4編から成る本格ミステリ集。

叙述トリックの連作短編集。

一見完璧だが性格に問題アリの探偵役吉祥院とワトソン役にぴったりの人が良い刑事桂島コンビの組み合わせはオーソドックスで受け入れやすい。
会話のテンポが良いのでさらさら読める。

トリックはパターンと言えばパターンの作りだが、読みながら気軽に推理を楽しむことができた。

最近の重い空気の作品とは大分違い、ユーモアのある娯楽要素の強い作品で面白かった。
ノリは『悪党たちは千里を走る』のような感じ。
丁度そういう作風の時期だったのかもしれない。
貫井さんのノリの良い作品は上質なのでまた書いて欲しいのだが・・。


読了日:2013.12.
★★★★☆

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2013年12月11日

ruru (20:46)

カテゴリ:国内ミステリー貫井 徳郎(ミステリー)

『微笑む人』貫井 徳郎


微笑む人
貫井 徳郎

エリート銀行員の仁藤が妻子殺害の容疑で逮捕される。
動機は本の置き場を作るためという彼の言葉に世間は騒然となる。
穏やかに微笑む仁藤の人生を追うと、彼の周囲には不審な死が渦巻いていた。
果たして彼の本性とは・?

人間は何らかの理解と解釈をしたい生き物だ。
仁藤は他人には理解しがたい動機を語り、過去を追えば他にも怪しい死が周囲にいくつも見つかる。

不条理小説を目指したのだろうか。

何となく書きたいことはわかるのだが、小説として面白かったとは言えない。
読後「そりゃないだろ、貫井さん!」とつぶやいてしまった。

もやもやと迷宮に落ち込んでいくような結末を楽しむ不条理小説は多々あるが、それには当てはまらないと思う。
考えさせられる結末というよりは混乱の中放り出されたような気分だ。

先が気になって一気に読んだが、残念な読後感。

読了日:2013.1.
★★★☆☆

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2013年2月 3日

ruru (22:55)

カテゴリ:国内ミステリー貫井 徳郎(ミステリー)

『神のふたつの貌』貫井 徳郎

牧師の息子早乙女は、一途に神の声をききたいと願い続けていた。 人が生きること、死ぬことは神が決めた運命なのか確かめたいー。 彼が求める信仰の道は殺人者としての道でもあった。

読み始めてすぐに以前読んだことがあったと気付いたが、結末を思い出せなかったので結局再度読むことに。

無痛症で神の声を真摯に求める早乙女は、人の痛みや生死に強い関心を持つ。
人の死は悲しみか、絶望か、虚無かーそれとも救いなのか。
それを確かめたいという気持ちから早乙女は信者の一人を殺す。
彼の魂は神の許へ還ったはずだが、自分はまだ神の声をきくことができない・・。

罪を重ねる早乙女の姿を追いながら、著者らしい叙述トリックを取り入れたミステリ。

トリックにはすぐに気付くが、どういった結末を迎えるのかは最後までわからなかった。
"早乙女"があまりにも人間らしくないことで、どこに感情を持っていけば良いのかわからず物語に入り込みにくい面もある。

宗教を軸とした点も最終章に明らかになるトリックも著者なりのパターンで驚きはないのだが、文章や構成が巧いのですらすらと読めてしまう。
重厚なミステリのように見せて淡々と進むので、どうも印象に残りにくいミステリだ。
また手にとってしまわないよう気をつけよう・・。

読了日:2012.4.17
★★★☆☆

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2012年4月17日

ruru (21:54)

カテゴリ:国内ミステリー貫井 徳郎(ミステリー)

『灰色の虹』貫井 徳郎

見に覚えのない殺人罪で服役した江木雅史は、出所後彼を追い込んだ人間たちへの復讐を誓う。 刑事・検事・弁護士・裁判官・・次々と殺されていく被害者の繋がりに気付いたのは、復讐を胸の奥に押さえ込んだ一刑事だった。

今回のテーマは冤罪。
気弱な青年が自白へと追い込まれ、してもいない殺人の罪をかぶせられてしまう。
さすが筆力の高い貫井さんだけあってこの追い込まれ方の圧迫感がすごい。
恐れ・焦り・希望・諦め・・江木と共に読んでいる方もギュウギュウと胃が絞り込まれるように追い込まれていく。

暴力的に自白を迫る刑事、事務的に処理するのみの検事、やる気のない弁護士、目立ちたがりの目撃者。
彼らに大きな悪意はないが、一人ひとりの不誠実さの積み重ねが江木とその家族の人生を破壊していく様が恐ろしい。

各章ごとに被害者の視点へと変わることで、それぞれの人生や人となりが浮かび上がってくる構成が面白い。
ただの悪人・被害者ではなく、彼らには彼らなりの正義や生活があることで復讐がもたらすむなしさが生々しく強調されていく。

対峙する刑事山名の存在感がもう少し欲しかったことと、結末の予想がついたことはやや残念だが、テーマに沿った重厚なミステリで読み応えがあった。

法律が人を裁くことは一見公正に思えるが、一度その枠内に囚われてしまうと逃れることができない恐ろしさがひしひしと伝わってきた。
これはミステリだが、実際にもまだまだ冤罪事件は多くあるように感じてぞっとしてしまった。

読了日:2011.7.30
★★★★★

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2011年7月31日

ruru (12:51)

カテゴリ:国内ミステリー貫井 徳郎(ミステリー)

『光と影の誘惑』貫井 徳郎

競馬場で出会った銀行員の西村と日雇い労働者の小林。 二人は銀行の現金強奪を企み、金を奪うことに成功する。 しかし事態は思わぬ方向へと進み新たな悲劇へと足を踏み入れていく・・。 表題作『光と影の誘惑』他中篇ミステリ4編。

『慟哭』での時間軸トリックがあまりに衝撃的だったのでなかなかそれを超える衝撃には出会えないが、貫井さんならではのトリックがふんだんに使われている中編集だった。
この本は再読だったらしく記憶にあるようなないような状態で読むことになってしまったのが残念。

『長く孤独な誘拐』では、子供を誘拐された夫婦が身代金の代わりに別の子供を誘拐させられるという意外性のある誘拐劇が展開される。
自分の子供のために周りが見えなくなる夫婦、金のために残忍な計画を立てる犯人、利用される子供たちの関係性が絡み合って心理サスペンスとしての完成度は高いが後味はよくない。
貫井さんの作品には翻弄される子供たちの存在にやるせない気持ちにさせられることが多い気がするが、こちらもそのような作品だった。

『二十四羽の目撃者』は異質なアメリカを舞台にしたミステリ。
全く別の作家が書いた探偵小説のような作りだが、面白かったと思う。
たまにはこういった作品が書きたいと考えたのだろうか?その点だけが不思議である。

『光と影の誘惑』『わが母の教えたまいし歌』は何となく展開が読めてしまった。
心理描写がとても巧いので惹きつけられるが、冒頭からあのパターンかと気付いてしまうものがあった。

寄せ集め感があった1冊だが、中身は濃かったと思う。
ちょっと物足りなさはあるが、初めて貫井作品を読むのなら良いかもしれない。

読了日:2011.2.28
★★★☆☆

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2011年3月 1日

ruru (15:54)

カテゴリ:国内ミステリー貫井 徳郎(ミステリー)

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