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『無痛』久坂部 羊

無痛 (幻冬舎文庫)無痛 (幻冬舎文庫) (2008/09) 久坂部 羊

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神戸の住宅街で教師一家四人が惨殺された。
現場の様子や遺留品の多さから犯人の異常性が疑われるが、犯人像が絞られないまま月日だけが過ぎていく。
そんな中、精神障害児童施設の少女サトミが自分が犯人だと職員の菜見子に告白をする。
菜見子は外見だけで症状がわかる医師為頼に少女を診てもらうことにしたのだが・・・。

最初に語られる一家殺人が話の軸だと思っていたが、そうではないらしい。

医師為頼は、見た目だけで症状がわかるが故に無駄な治療を施す空しさに襲われて、町の片隅で小さな診療所を営んでいる。

対照的な人物として、同様な診断ができながら日々医療の研究に力を入れ、病院を拡大していくやり手の医師白神が登場する。


彼らを中心に、情報不安定な少女サトミ、白神の元で働く無痛症のイバラ、菜見子をストーキングする元夫の佐田ら”通常ではない”登場人物たちの行動がかなり詳細に語られていく。

 

ミステリだと思って読んでいると、途中で一体この話は何の話なのかわからなくなる。

殺人事件の謎を解く作品ではない。

それよりも心神喪失で罪を免れる刑法第39条の是非を問うのが主眼と言えるだろう。

 

少年犯罪同様デリケートな問題であるが、この小説内には精神的な病気で苦しむ人、詐病する犯罪者や性格異常者ら様々な人物が登場し絡み合うことで問題提起をしている。

 

あえて言うならば刑事の早瀬が読者と同様の視点を持っているかもしれない。

案を練りこんで構成したのだなとは感じるしっかりした小説ではある。

 

ただ、あまりにもねちねちと異常な描写が多いので読んでいて気が重くなってくる。

殺人シーンがあまりにグロテスクなのも特徴。
医師が書いたのがよくわかる。
人体を組織で見る感覚は一般人にはないだろう・・。

それでいて投げ出すことなく一気に読めたので、文章や構成は巧いんだろうなと思う。

 

なかなかの長編で読み応えはあるが、共感を覚える箇所がないせいかどうにも読後感が良くない。

せめて結末位はカラッと終わって欲しかった。

 


読了日:2009.12.10
★★★☆☆


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2009年12月11日

ruru (15:50)

カテゴリ:国内ミステリー久坂部 羊

『破裂』久坂部 羊

破裂 上 (1) (幻冬舎文庫 く 7-2)破裂 下 (2) (幻冬舎文庫 く 7-3)

『破裂』
久坂部 羊
幻冬舎 2004-11


医療ミス、高齢化政策、尊厳死を絡めたミステリー。
フィクションならではの設定も感じるが、現代社会における問題点を上手くついている作品だと思った。
ジャーナリスト、医師、厚労省役人と登場人物も上手く配置されている。
読み応えも十分。

読了日:2007.9
★★★★☆

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2008年1月 6日

ruru (21:30)

カテゴリ:国内ミステリー久坂部 羊

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