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『新世界より 上・下』貴志 祐介

呪力を身につけることが必須の近未来。 穏やかな暮らしの一方少しずつ減っていく子供たち。 6人組が5人組に、5人組が4人になり、何事もなかったかのようにメンバーは入れ替わって再び5人に。 この世界の真実に気付き始めた早季たちを襲う現実と新たな戦いの行方は・・。

SFファンタジーというべきなのだろうか。
かなりの長編で、割と読むのは早い方だが2日に渡ってしまった。

前半は奇妙な町のルール、取り巻く不気味な生き物たちなどとにかくざわざわと落ち着かない雰囲気と世界観に期待を持って読み進めることができる。
ただ一方で何となく予想できるような、どこかで見たような話だとも感じた。

呪力を持つ人間の支配や淘汰されていく子供たち、人間に似たようなバケネズミの存在などはありがちだが、面白かったのは呪力で人を殺せないという設定。
これがあってこその物語の展開ではあるが巧く生きている。

作者に筆力があるのでそれなりに飽きることなく読めるのだが、主人公の早季が世界の真実に気付いていくところは良いとして、段々激しい戦闘がメインとなり、アメリカ映画でも見ているような冒険物語になっていったのはやや興ざめだった。
対峙するものが町のルールでなく外部のバケネズミへと変わっていったところと、残虐性が増していく展開に嫌悪感が沸いてあまり楽しめないのだ。

バケネズミと戦うことで自分たちの在り方に気付かされるという点はわかるのだが、血みどろ過ぎる気がする。
一応最後には人間の残酷さと愚かさが明らかになるわけだから、物理的な死を積み重ねるよりも大どんでん返しの精神的ショックだけで衝撃を感じられるような作品だったらもっと満足度が高かったように思う。

作者の熱は感じられる。
スケールの大きな大作なことは確か。

読了日:2011.11
★★★☆☆

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2011年11月11日

ruru (20:40)

カテゴリ:国内ミステリー貴志 祐介

『硝子のハンマー』貴志 祐介

硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2)硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2) (2007/10) 貴志 祐介

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株式上場を控えた介護会社の社長が撲殺死体で発見された。
厳重なセキュリティで守られた社長室に入ることができたのは、隣室で仮眠をしていた専務のみ。
弁護士青砥純子は専務の無実を証明するために、防犯コンサルタント榎本径の力を借りて密室の謎に挑む。

暗証番号に防犯カメラで守られた役員フロアが舞台である。
犯行は日曜日の昼時で、フロアには社長に専務、秘書が一人がいたのみ。

純子と経は、外部からの進入ルートを1つ1つ探りながら検証していく。

 

久しぶりにこれは面白い!と思えた推理小説。

こういった推理物は、もやもやといくつかの可能性を頭に浮かべながら読み進めることが多いのだが、思いつくトリックをあまりにもきれいに潰されていくのが痛快だった。

後半は倒叙になる。

最初のうちは作者の狙い通りこの人物の正体を錯覚してしまい、やられたなという感じ。

 

こちらはこちらで長い1つの物語となっていて読み応えがある。

最終的なトリックはやや弱い気もしたが、話運びが巧いので読後感は充実している。

 

行動力溢れ、正義に燃え立つ純子と裏の顔を持ち、冷静に推理を進める経のコンビが良い。

純子が経の裏の顔を笑い飛ばしているところには違和感を感じるが、探偵と助手という組み合わせとしてはバランスが良いのではないだろうか。

 

犯人、被害者関係者らの人間関係や背景も綿密に計算され、うまく織り交ざっているので疑問や飽きがこない。

経の正体だけが気になってしまうのだが、読者の興味を引くよう上手く設定されていると思う。

 

文庫版を読んだのだが、法月倫太郎との対談も収められている。

作者の意図などが明かされておりこちらもおもしろい。

 

読了日:2009.12.4
★★★★★


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2009年12月 7日

ruru (12:41)

カテゴリ:国内ミステリー貴志 祐介

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