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『続・泥流地帯』三浦 綾子

十勝岳の泥流は、田畑も家族も友人も一瞬にして奪っていった。
死んだ祖父たちの思いを胸に、硫黄にまみれた土地を再生しようと懸命に働く拓一・耕作兄弟だったが、試練は次々と襲い掛かる。
真面目に生きる人々が報われるときはくるのかー。

『泥流地帯』続編。

祖父母が開拓に入って30年。
懸命に切り開いてきた土地は全て泥流の下に埋れてしまった。
土地を捨てる人も多いが、拓一は村の復興を誓う。

荒れた土地に立ち向かい、復興に反対する街の人たちと反目する日々。
あれほど待ち望んでいた母が帰郷したというのに、11年という年月が壁となりなかなか打ち解けることができない。

父親が作った膨大な借金を抱えて遊女として働く福子を一途に思う拓一。
妓楼の主人である父親と反目する節子の愛を受け入れた耕作の恋の行方。

若い兄弟に次々と訪れる苦難と葛藤は、続編でも留まる気配はない。
前作ではあまり登場しなかったキリスト教も少々顔を出しながら、人生の報いを問うという壮大なテーマを掲げた作品となっている。

拓一のあまりの聖人君子ぶりに違和感を感じつつも、自分の弱い心を恥じて兄を尊敬する耕作の視点で話が進むことで、一般的な人間の目線の高さで考えさせられ、受け入れられやすい内容になっていると思う。

現実は決して善因善果・悪因悪果ではない。
どう受け止めてどう行動するかが大切なのであるー。

勧善懲悪、因果応報ですっきりしたいのが人情だが、現実同様この小説ではそれは許されない。
真面目に働いても貧しい者は貧しいままで、悪は栄えて善良な人々の前に立ちはだかる。

切なくむなしい人生の中にあっても、正しく生きようとする若者たちの姿が美しい。

結末が暗示するのはやはり前途多難な未来だが、希望を感じられる清清しさがある。
何とか安心して読み終えることが出来て良かった。

読了日:2012.9.
★★★★★

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2012年9月12日

ruru (10:32)

カテゴリ:国内小説一般三浦 綾子

『泥流地帯』三浦 綾子

父を亡くし、働きに出た母を想いながら祖父母と暮らす拓一・耕作兄弟。
貧しさの中互いを思いやり正しくあろうと懸命に生きる家族を、十勝岳から流れ出た泥流が容赦なく襲うー。

大正15年に起きた十勝岳の噴火によって流れ出た泥流は、上富良野の開拓地の村を押し流し、多くの死者を出したという。
この災害をテーマに、真面目に生きることの意味と人生の試練の意味を問いかける作品となっている。

貧しい水のみ百姓であっても、懸命に働き人のためにあろうとする祖父や兄拓一、友人の父。
そして子どもたちのことを暖かく見守ってくれる先生との出会い。
耕作は身近な善き人たちから多くのことを学びながらまっすぐに成長していく。

頭の良い耕作を上の学校へ行かせたいと願う家族、家族のために断念する耕作。
手に職をつけようと街に出たまま病気で帰れない母、呼び戻せない家族。
売られてしまった思い人福子を取り返そうと金を貯める拓一、自分の身の上を受け入れ諦めながら生きる福子。
大切な人を思い合う気持ちが切ないばかりだ。

貧しさと苦難にあっても、前を向いて生きる人々を襲ったのは十勝岳の泥流だった。
あっという間に流され死んでいった人々。
自分たちを律し、荒地を耕し開墾してきた数十年があっという間に泥の下へ・・。

行いの素晴らしい人々があっけなく死んでいく姿と対比して、ここでは他人を苦しめてきた人間たちが何事もなく生き残る姿が描かれている。
姉富を苛め抜いた姑は葬儀の場で「心がけがいいもんは助かるよ。」という心無い言葉を吐き、悪しき存在の象徴であった料理屋の主人深城は、被災地で要領よく金儲けを始める。

そんな彼らを見て真面目に生きることへの疑問を感じる耕作に兄拓一がかける言葉とは・・。

三浦綾子なのでキリスト教のテーマに即しているが、表立ってはあまり出てこない。
人はどう生きるべきなのか、運命を受け入れることの意味を考えさせられる。
他人がどうであろうと、また大きな力が容赦なく襲ってこようとも自分が正しいと思える道を進まねばならないのだという強いメッセージを感じる。

物語としては、理不尽なことばかりが続きやるせなさが胸にこみ上げてきて平静ではいられないのだが、それでも著者が訴えたいことが心に響いてくるのでぐっとこらえて読むしかない。

続編があるのですぐにでも読みたいのだが、そちらでも苦難の連続らしいので想像しただけで心が重くなり躊躇しているところだ。

読了日:2012.8.28
★★★★★

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2012年8月30日

ruru (00:06)

カテゴリ:国内小説一般三浦 綾子

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