荻原 浩(一般)の最近のブログ記事

『花のさくら通り』荻原 浩


花のさくら通り
荻原 浩

ユニバーサル広告社は資金難により郊外の商店街にある和菓子屋2階へ移転。
現状を憂い立ち上がった若手店主たちを助けて商店街再生をプロデュースすることに。
敵は頑固な老舗店主たち・・?
ユニバーサル広告社シリーズ3作目。

2作目を読んでいなかったが、話は繋がる。
御馴染みのユニバーサル広告社メンバーが活躍する荻原流のコミカルな人情話だ。

ポスター制作の依頼をきっかけに、仕事以上の思い入れを持って寂れた商店街の再生を請け負っていくという流れ。

個性豊かな登場人物たちの動きやセリフは軽快で、商店街再生というテーマも身近で読みやすい。
杉山の娘への思いもほろりとさせられる。

しかしどうも読後の満足感が乏しい。
部分的なテンポは良いのだが、商店街再生以外の寄り道ストーリーが多いせいか全体的に間延びした印象を受けた。

いつもこの著者なら引き込まれてあっという間に読み終わってしまうのに、何となくダラダラとやっと読んだという状況が残念。
もう少し余計なところをそぎ落としてアップテンポでまとめて欲しかったと思う。

読了日:2012.12.
★★★☆☆

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2012年12月29日

ruru (12:38)

カテゴリ:国内小説一般荻原 浩(一般)

『千年樹』荻原 浩

死んだ国司の子の口から零れ落ちたくすの実。
千年の時を経て、土地のシンボルとなったくすの木の下では様々な人生が行き交うー。
死を考えた雅也の前に現れた子ども、根元の穴から出てきた戦時中の子どものおもちゃ、子どもを授かった夫婦と貧しさのために殺さなくてはならない母、秘密の文通や隠し場所に使われる洞・・時代を交差しながらくすの木が見つめる人間模様を描いた連作短編集。

くすの木という存在を軸に繰り広げられる人生。
時代は時に遡り、現代に戻り、また遡り・・。

樹齢千年の木が見守ってきた人間の営みを厳かに描いているのでは、というイメージで読み始めたが、どちらかというと憎しみや悲しみが取り付いているような恐ろしさを感じる話ばかりでやや暗いテイストの作品だった。

過去と現代の登場人物たちの対比が巧く読みやすい。
血なまぐささが強いので、もう少し綺麗なストーリーの方が好みで満足できたと思う。

読了日:2012.8.
★★★★☆

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2012年8月29日

ruru (23:01)

カテゴリ:国内小説一般荻原 浩(一般)

『オロロ畑でつかまえて』荻原 浩

過疎化に悩む牛穴村青年会は、村おこしを倒産寸前の広告会社へ依頼する。
アル中のクリエイティブディレクター・杉山が考えたとんでもないキャンペーンとは・・。

荻原浩デビュー作にして小説すばる新人賞を受賞した作品。

牛穴村は、秘境とも言えるような田舎村。
東京の大学を出た旅館の跡取り慎一を中心とした青年会も、メンバーが減り続ける一方である。

東京の広告代理店へ村おこしを依頼することに決めたものの、引き受けてくれたのは倒産寸前のユニバーサル広告社。

人は良いが物を知らない青年たちと才能はあるが我が強いディレクターたちがタッグを組んで繰り広げるどたばた劇。

狙い定めた人物像と適当な展開に引っかかるものはあるが、テンポが良くユーモアたっぷりで楽しめる。
軽い小説なので気楽な娯楽小説としてはまずまず。

読了日:2012.8.
★★★★☆

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ruru (21:54)

カテゴリ:国内小説一般荻原 浩(一般)

『さよなら、そしてこんにちは』荻原 浩

葬儀会社に勤める陽介は、笑い上戸で泣き上戸。
亡くなった人を見送りながらも、もうすぐ生まれる娘のことを考えると笑いが止まらない。
病院の霊安室と分娩室を行き来しながら感じる人の生。『さよなら、そしてこんにちは』他7編から成る短編集。

ユーモアがありながらほろっとくる荻原テイストの短編集。

商売上人の死に感情移入しないよう心がけている陽介だが、こらえ切れない時もある。
はたまた葬儀の進行をしながら、生まれてくる娘を思ってにやけてしまうことも。

生と死を身近で感じる男の喜びと悲しみの対比が良かった。
軽いトーンで進み最後にぐっと締める流れが巧い。


リストラされた父に不登校の息子。
家族揃って移住した先は想像以上のど田舎で・・。『ビューティフルライフ』

頼りない父にメルヘンな母。
今時女子高生の姉に不登校の自分。

どたばた田舎暮らしには、家族の思いやりが詰まっている。
すべての物事はコインの裏と表。
リスタートで失ったものと得たもの。
笑ってしんみりの温かな物語だった。


スーパーの食品仕入れを担当する孝司は、売り上げに大きく影響する主婦向け番組のチェックに余念がない。
テレビで取り上げられる食品の情報を事前に知りたい!孝司の取った行動は・・。『スーパーマンの憂鬱』

テレビの情報に左右される仕入れに振り回されるスーパーの男・スーパーマン。
毎日変わる情報に飛びつく消費者への皮肉とスーパー仕入れの苦労がユーモアたっぷりに描かれている。
笑いの中に社会人としての共感と同情を感じる話で面白かった。


子供向け番組ナイトレンジャーの俳優にはまる主婦由美子。
姑の目を気にして、放映時間前はいつもハラハラ。
熱い思いは募り、とうとう後楽園遊園地へ出かけた由美子が見たものは・・。『美獣戦隊ナイトレンジャー』

主婦だってときめきが欲しいとテレビに熱視線を送っていた由美子が、本人会いたさに行動を起こす。
夢と現実、主婦の純情さと逞しさが微笑ましい。


寿司職人辰五郎は腕に自信はあるのだが店はちっとも流行らない。
常連客は取材は拒否していると思っているが、実はただ来ないだけなのだ。
ところがある夜グルメ評論家らしき男が店に来て・・。『寿し辰のいちばん長い日』

頑固だがマスコミに弱い辰五郎。
つい調子に乗ってしまう人間の浅はかさが巧く表現されているが、『スーパーマンの憂鬱』と似ている印象があったのが残念。


アマチュアに毛が生えた程度の料理研究家美也子。
進まない原稿、初めてのテレビ局取材にインタビュー。
焦る美也子のめまぐるしい一日。『スローライフ』

スローライフの流行に乗って売れ始めた料理研究家が、とてもスローとは思えない忙しさに振り回される。
切迫した精神状態を笑いの中に描いていて、単純におかしい。


重福寺の住職覚念は、妻と娘にクリスマス・パーティーをしたいと迫られる。
意を決してクリスマスグッズを買いに出るが、この姿を檀家や恩師の慈海老師に知られたら・・。『重福寺のメリークリスマス』

家族のために一生懸命な覚念が微笑ましい。
仕事の立場と家族の中での立場。
葛藤する男の奮闘が面白おかしく描かれている。
宗派など愛があれば関係ない!


どれも人間の悲喜こもごもが描かれていて面白かった。
ただマスコミに踊らされるという点で似たような印象の作品が多かったので完全にパターンが分かれていたら尚楽しめたかもしれない。

読了日:2012.8.22
★★★★☆

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2012年8月25日

ruru (10:53)

カテゴリ:国内小説一般荻原 浩(一般)

『母恋旅烏』荻原 浩

元大衆演劇役者の父清太郎は、役者の経験を活かしてレンタル家族派遣業を始めるがどうも上手くいかない。 無理やりつき合わされていた家族は少しずつバラバラになっていき、清太郎はかつて世話になった大衆演劇一座に戻るのだが、ここでも一筋縄ではいかないことばかり・・。

家族がバラバラになる中でそれぞれの道をみつけたり、逆に絆が深まったり。
破天荒な父清太郎に振り回される花菱家のどたばた人情コメディと言えばいいだろうか。

最初家族レンタル業から入るので、このレンタル業の中での出来事が描かれているのかと思ったが、どちらかというと大衆演劇がメインだった。

家族のそれぞれに強めのキャラクター設定をしていたり、笑いあり哀愁ありと盛りだくさんのエンタメ小説。
荻原さんは好きな作家の一人でどんなジャンルの小説でも巧いと思う。
そのためさらりと読めてしまったのだが、内容的にもさらりと薄味な気はした。
娯楽だからこれでいいのかもしれない。
あまり読後残るものはないが、それなりに楽しく読めた。

読了日:2011.11
★★★☆☆

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2011年11月23日

ruru (20:57)

カテゴリ:国内小説一般荻原 浩(一般)

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