浅田 次郎の最近のブログ記事

『日輪の遺産』浅田 次郎

競馬場で出会った老人から受け取った手帳。
そこには終戦間際、帝国陸軍がマッカーサーから奪い隠した財宝について書かれていた。
50年の時を経て、国の未来を信じ命をかけた人々の人生が浮かび上がってくる・・。

戦っていたのは前線にいた兵士だけでなく、戦争はあの8月15日にすっかり終わってしまったわけではない。
財宝の運搬という極秘任務にかかわった軍人、役人と少女たち。
それぞれの信念と戦後を追う物語となっている。

創造された物語ではあるものの、軍の財宝や終戦後の人生などあり得そうな現実感がある。

現代と過去、登場人物たちの視点を行き来しながら真相に迫っていく構成や繊細な心理描写はさすが。
先が読めるようで読めないまま、ぐいぐい引き込まれていく。

エンタメ性とシリアスな人間ドラマの混合具合や丹羽や海老沢の人間像など色々と中途半端な気はした。
それでも国の未来を信じた人々の真摯な思いには純粋に胸打たれ、心に残る。


読了日:2014.8.
★★★★☆

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2014年8月21日

ruru (10:32)

カテゴリ:国内小説一般浅田 次郎

『お腹召しませ』浅田 次郎

入婿の不始末から腹を切ることになった又兵衛。
覚悟は決めたもののあまりにもことが周到に進んでいくのが面白くない・・。『お腹召しませ』他武士の顛末短編集。

エッセイの後小説に突入するという不思議な作り。
現代から江戸へのタイムスリップにやや違和感があるものの、作品が誕生するきっかけなどを知ることができるのは面白い。

武士というしがらみに現代人の感覚で斬り込んだ人情物語というところだろうか。
お家のために望まぬ結婚をしたり、腹を切らされたりと武士の社会は理不尽なことばかりである。

その理不尽さをどこまでも人間くさく追求している。

くすりと笑えたり、ほろりときたり。
軽く読めるが読後は満足。
さすがの浅田次郎。


読了日:2013.4.15
★★★★☆

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2013年4月17日

ruru (00:54)

カテゴリ:国内小説一般浅田 次郎

『赤猫異聞』浅田 次郎


赤猫異聞
浅田 次郎

明治元年暮れに起きた江戸の火事で伝馬町の囚人たちが解き放ちになった。
重罪人の信州無宿繁松・白魚のお仙・旗本の息子七之丞は、解き放ちの際に「三人共々戻れば無罪放免、一人でも戻らなければ戻った者も死罪」と申し渡される。
一蓮托生となった三人だったが、それぞれの思いの中命を懸けて意趣返しに向かう・・。

江戸から明治へ時代が変わったばかりの混乱の中、火事の際の囚人たちの解き放ちが行われる。
これは戻れば罪一等を減じるが、逃げれば誰でも死罪と言う江戸の決まりごとである。

義理で牢に入ったものの何故か死罪とされた繁松、男にはめられて重罪人となったお仙、鳥羽伏見でも上野でも死に損ない官軍を斬って回っていた七之丞。
筋が通った傑物ながら恨みを抱える者ばかり。
彼らはそれぞれ意趣返しに向かうが、そこで見たものは・・。

御一新の混乱の江戸で「江戸の華」たる解き放ち。
「天下の御法はわが胸にあり」と忠義を尽くす男。

時代の変容に関わらず信念を貫く生き様には心打たれるもの。

義理人情あり、正義あり、涙ありで読み応えのある時代小説だった。
インタビュー形式の回想記となっているのも面白く、さすが浅田次郎である。

読了日:2013.2.
★★★★☆

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2013年2月 8日

ruru (15:41)

カテゴリ:国内小説一般浅田 次郎

『ハッピー・リタイアメント』浅田 次郎

財務官僚樋口慎太郎と自衛官大友勉が55歳にして紹介された再就職先JAMS。 仕事内容は何もせずに定年を待つこと。 天国のような天下り先に喜ぶ二人だったが、庶務係の葵と共に真のハッピーリタイアメントを求めて"仕事"をすることになる。

天下りと定年退職をテーマに浅田流におちょくったような娯楽小説。

ひたすら真面目に務めてきたノンキャリアの二人が、何も仕事がない天下り先を手放しで喜んでしまう辺りに人間の浅ましさを感じる。
愚民化思想という言葉が使われていたが、人は環境次第で如何様にもなるのである。

しかし、それで終わっては物語は始まらず・・。
二人は元銀行員の葵の提案に乗って、独自に仕事を始めることとなる。
大金を手にして早期退職=ハッピーリタイアメントを求めて。

ここに書かれているような腐った天下り先は山ほどありそうに思える。
ところどころにちりばめられた社会風刺は時代を反映していてホットだ。

結末としてはやや意表をつかれたものの、全体的にとにかく明るく読みやすい。
ただあまり内容はないので心には残らなそうである。

読了日:2010.10.21
★★★☆☆

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2010年10月21日

ruru (12:12)

カテゴリ:国内小説一般浅田 次郎

『珍妃の井戸』浅田次郎

珍妃の井戸 著者: 浅田次郎 出版社: 講談社 サイズ: 文庫 ページ数: 402p 発行年月: 2005年04月

清朝最末期の北京。 混乱する宮廷で、皇帝の寵愛を一身に受けていた珍妃が井戸に落とされ命を落としていた。 日独英露の高官4人は、謎の女性ミセス・チャンに焚きつけられ犯人をつきとめようとするのだが・・。

歴史と真実は必ずしも一致していないところが探究心が湧く面白いところだと思う。 この作品も、西太后が殺したとされる通説とは別の結論を持たせた想像による創作である。

義和団事件後の北京を舞台に、各国高官らを聞き手として様々な証言から珍妃の死の真相を追うストーリー展開は凝っていて面白いのだが、読み進めながらかなりもやもやしてくる。

あまりにも矛盾だらけの証言を追っていく中では、納得させられ翻されの繰り返しでさっぱり犯人がわからないのだ。

結末は意外ながらあり得るとも思えるものだったが、頭が固いので思い込みの歴史が邪魔して一歩引いて読んでしまった分乗れなかった気がする。

光緒帝と珍妃の純愛をテーマにしており歴史の真実を問う作品ではないのだから、肩の力を抜いて読んだ方が楽しめるかも。

「純愛に涙した」とか「清朝末期の歴史はこうだったのか」とか素直に読めない自分にちょっとがっかり(笑)

ただ、この手の小説を久しぶりに読んだが歴史と想像の融合はやはり面白い。
近い内にまたこういった作品を読みたくなった。

読了日:2009.2.1
★★★★☆


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2009年2月 1日

ruru (22:36)

カテゴリ:国内小説一般浅田 次郎

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