西村 健の最近のブログ記事

『地の底のヤマ』西村 健

大牟田市の警察官猿渡鉄男にはこの町を守らねばならない使命感があった。
警察官だった父が殺され、仲間との秘密を共用した炭塵爆発事故のあの日。
その後に犯した大きな罪の意識からは未だ逃れることはできない。
町の活気、炭鉱事故、労働争議、組合、CO中毒患者、やくざの闘争、石炭産業の斜陽化・・一人の男が見つめた炭鉱の町の半世紀。

町で尊敬の念を集めていた父の後を継ぐように警察官となった鉄男。
自ら犯した罪とは?
父を殺した犯人とは・・?

市内で起こる事件の捜査に当たるミステリでありながら、鉄男自身が抱える心の闇と炭鉱の町の歴史や風俗を浮かび上がらせていく。

とにかく長い。
早読みの自分でもたっぷり2日かかった。
読書が苦手な人は絶対読了できないことを保障する。(あの厚さを見て手にも取らないだろうが・・)

もう少しコンパクトにもなり得たと思うが、作者の熱い思いがこの長編にさせたのだろう。

読むのは大変だったが、縁遠かった炭鉱の町の歴史を知ることができて良い経験となった。
風土・風俗について納得がいき、抽象的なイメージが詳細になったと思う。

大牟田市には行ったことがないが、荒々しさと人情が混在する町を見事に描ききっているのではないか。
登場する数々のお店は実在するらしいので地元の方はもっと楽しめるだろう。

事件の背景にある特殊な土地柄を描いたミステリとしても、一つの町・一人の男の大河小説としても読める力作だった。


読了日:2013.6.11
★★★★☆

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2013年6月11日

ruru (19:01)

カテゴリ:国内小説一般西村 健

『残火』西村 健

伝説の極道花田秀次によって議員会館から闇献金1億円が盗まれる。
議員関係者、極道、警察が追う中、花田は北へと逃避行を続ける。
足を洗い穏やかに暮らしていたはずの花田に何があったのか。
その心中には壮大な計画が秘められていた・・。

昔気質の任侠極道花田の最期の一花。

経済やくざとなった弟分の矢村、定年退職した元マル暴刑事久能という旧知の二人に追われながら、一路目的のために進み続ける。

最後の最後まで花田の真意が読めず、ハイスピードな展開で一気に読了。

男たちの義侠心、姐さんの格好良さや銃撃戦など、痛快で派手な仁侠映画のような内容。

解説によれば高倉健の仁侠映画や昔の映画を知っていればなお楽しめるよう。
残念ながらどの作品も観たことがなく白紙状態で読んだのは魅力半減だったかもしれない。

"日本冒険小説協会大賞"受賞作ということで、冒険小説と言われれば確かにそうかと思う。

からっと読める娯楽小説として単純に面白かった。


読了日:2013.5.29
★★★★☆

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2013年5月31日

ruru (15:27)

カテゴリ:国内小説一般西村 健

『笑い犬』西村 健

笑い犬 (講談社文庫 に 28-8)
『笑い犬』
西村 健
講談社 2008-06-13

銀行の支店長だった芳賀は、融資に関する詐欺と脅迫の罪で実刑判決を受ける。
組織の為に自分一人が罪をかぶることとなり刑務所暮らしを始めた彼は、精神的に追い詰められいつの間にか不気味な笑いを身につけるようになった。

負け犬であり組織の犬であった芳賀は、刑務所内で笑い犬と呼ばれるようになり、自分を貶めた銀行上層部への疑惑を持つようになる。

「刑務所小説と企業小説と家族小説を、革新的に融合した力作」とあるように、3つの性質を併せ持つ読み応えのある作品だった。

刑務所暮らしを経て自らの人生を振り返りながら"成長"していく過程が面白い。

長々と描かれる刑務所での生活も芳賀の心理描写が上手く描かれ飽きさせない。

読了日:2008.6.19
★★★★☆

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2008年6月19日

ruru (23:20)

カテゴリ:国内小説一般西村 健

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