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『十五万両の代償 十一代将軍家斉の生涯 (講談社文庫)』佐藤 雅美

寛政の改革から華やかな化政文化へ。 将軍徳川家斉と父一橋治済は、意のままにならない田沼意次・松平定信を退け、水野忠成を重用。 水野は期待に答え、貨幣の改鋳などで幕府の財政を立て直していく。

あまり良いイメージのない徳川家斉と悪評高き水野忠成。
家斉を主人公としつつ、水野忠成の業績に重きを置き、彼らの評価を見直させるような視点で書かれているのが興味深い。
徹底的に水野忠成に好印象なところが今まで経験がなかったことで不思議な感覚。

一応小説なのだが、淡々と当時の出来事や事件、改革の内容や権力闘争などが続くので、誰か登場人物に心を移して没頭するような作品ではなく、ひたすら歴史をなぞることで読み進めるような作品。
また、おそらく調べ上げたことを全て書きたいという欲があったのだとは思うが、時代が前後したり、1つの事件の説明が詳細すぎたりと冗長的な印象があって読みやすいとは言えない。

それでも、幕府という官僚機構の内部や改革の裏側などが事細かに取り上げられていて面白かった。
子供を養子に出すたびに持参金が幾ら~などの内訳、老中と大名たちの駆け引き、領地替えの手続き、御三家・御三卿との関係性など、漠然とイメージしていたことがはっきり認識できて読み応えがある一冊だった。

著者の主観による小説とは言え、家斉や水野忠成のイメージが変わってしまったのはしてやられたという感じ。

読了日:2012.6.19
★★★★☆

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2012年6月19日

ruru (22:53)

カテゴリ:国内小説一般佐藤 雅美

『首を斬られにきたの御番所―縮尻鏡三郎』佐藤 雅美

元評定所留役だった排郷鏡三郎は、現在捕縛した者を取り締まる大番屋の元締を務めている。 大番屋の管理と取調べが仕事だが、時にはやっかいな相談事が持ち込まれて大忙し。 一方娘の知穂は頼りない夫三九郎との別れを考えているようで・・。

ふと手に取った時代小説だが、シリーズ物らしい。
エリート街道からそれてしまった鏡三郎が、人脈と経験を活かしながら江戸の町人や武家社会で起こる揉め事を解決していくというストーリー。

最近は宇江佐さんにはまっていたが、どこか暗くて現実的。
こちらは割と淡々と相談事や事件を解決していく淡白な時代小説で、気軽に読めて悪くない。
事件が解決していく中に、ちょっとした人生の機微や人の心を移しこんでいて読み心地も良い。

後に引かずさらりと読める小説だった。
すぐに次を読みたいという衝動はないが、暇を見て読んでいきたいと思えるシリーズ。

読了日:2012.4.8
★★★★☆

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2012年4月 9日

ruru (20:24)

カテゴリ:国内小説一般佐藤 雅美

『町医 北村宗哲』佐藤 雅美

江戸で評判の医師宗哲は、過去には人を斬って16年もの逃亡生活を送っていたため、裏家業の人間にも顔が利く。 持ち込まれる厄介ごとを医師として、また裏の人脈を活かしながら解決していく。

人望厚い医師ながら実は凶状持ちという設定は面白い。
渡世者が改心して突然医師になったのかと思いきや、そもそもが医学生だったのについ事件を起こしたということで納得。

表では医師、しかし実は裏家業を仕切る親分・・・というわけではなく、過去のなりいきから裏家業の男たちに多少顔が効くという程度。
すぱっと力で解決するだけでないところので、その曖昧さに好みが分かれるかもしれない。

しかしそれなりに裏から手を回すことができたり、医師としての見識から難題を解決したりのバランスが面白い。

登場人物たちにはあまり魅力を感じなかったが、所々に入る時代考証的なうんちくが興味深く、読み応えある時代小説だった。

読了日:2011.11
★★★★☆

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2011年11月24日

ruru (20:13)

カテゴリ:国内小説一般佐藤 雅美

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