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『孤宿の人 (上) (下) 』宮部 みゆき

江戸から金比羅代参へ向かう途中に置き去りにされた少女ほうは、丸海藩の井上家で女中として働き始める。 同じ頃、丸海藩では罪人である元勘定奉行加賀様をお預かりすることになり落ち着きを失っていた。 鬼と恐れられる加賀様の到着に合わせたように奇怪な事件が続き町中に不安が広がる中、ほうの立場も二転三転していく・・。

著者はこの作品は少女の成長物語だと述べている。
確かに愛情薄く阿呆の"ほう"と呼ばれ自分でもそう信じ込んでいた少女が、徐々に自分で考える力を身につけていく様は成長と言えるだろう。
ほうはたどたどしくも一歩一歩前に進み、物語後に丸海藩で生き生きと暮らすだろう姿を思い浮かべることができるのは少しほっとする。

しかし全体的なトーンとしてやるせなさがつきまとう。
ほうの設定はもちろん、次々と人が死に続ける展開には宮部さんに何かあったんだろうかと訝しい思いを感じてしまうほどだ。

丸海藩は架空の藩だが、繊細な風景描写やそこに住まう人々の生き生きとした心理描写に引き込まれてしまうのはさすがの筆力。
すっかり物語の世界に心が入り込んでしまうのだが、その分心を寄せた人々の死が次々と死んでいくのは切な過ぎる・・。

加賀様にしてもモデルとなった鳥居耀蔵の人生とは大分異なる哀しいものとなっているし、ここまで丸海藩をかき回す必要があったのだろうか。
加賀様がもう少し早く登場してその心情を掘り下げてもらいながらほうの成長を描いてもらった方が、悲しい中にもまだ納得がいった気がする。

しかし穏やかさを取り戻した結末は希望の始まりとも言えるのかもしれない。

読了日:2011.3
★★★★☆

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2011年3月23日

ruru (01:47)

カテゴリ:国内小説一般宮部 みゆき

『堪忍箱』宮部 みゆき

堪忍箱 (新潮文庫)堪忍箱 (新潮文庫)
(2001/10)
宮部 みゆき

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近江屋に伝わる小さな黒い文箱。 蓋を開けたら災いが降りかかると言われる家宝を持ち出すために火事から逃げ遅れた祖父と母。 譲り受けたお駒の心はざわめいて・・。 表題作「堪忍箱」他時代小説短編集。

宮部みゆきの時代小説を初めて読んだ。
人の深層心理を巧みに描く宮部さんのことなので、かなり期待して読み始めたのだが意外とつまらなくて逆に驚いた。

確かに人の心の闇やざわめきを書こうとしているのはわかるのだが、時代小説特有の人情モノでもなし、推理捕り物でもなしでやや中途半端な印象だ。

読むのをやめようかと思いつつ何とか読んでいると急に後半は面白くなってきた。
「お墓の下まで」以下4作は人の気持ちの多面性がよく表されていて良かったと思う。

文庫の収録順が良くないかもしれない。
全8作がうまく混ざっていれば面白い話もあるしそうでもないのもあるなあ、となるのだが、最初から続けてつまらない思いをさせられると最後まで読む気が失せる場合もあるだろう。

個人的にはそのくらい前半と後半に差があったように感じる。
全体的にはやや物足りない1冊だった。
たった1冊で決められはしないが、宮部さんは現代の推理物の方がおもしろいのかもしれない。

読了日:2010.7.8
★★★☆☆

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2010年7月 8日

ruru (21:38)

カテゴリ:国内小説一般宮部 みゆき

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